
北方四島はカムチャッカ半島、樺太、千島列島、北海道北東につながるオホーツク文化圏に属する。
冬には海も凍る厳しい自然の中で人々は生活し独自の文化をはぐくんだ。
夏の狩猟期に狩りに出てそれらを保存食にして厳しい冬の栄養にする保存食の技術、寒さをしのぐため外気を遮断した家の作り方、海洋大型動物を狩猟するための船やモリその他の技術や道具、海洋動物の毛皮や内臓を利用した服や装飾、などなど網走の北方民族博物館に展示されている。
さらにシベリアからカムチャッカ半島、オホーツク海、ベーリング海を渡ってアラスカからカナダのエスキモーまで服装から狩猟道具まで共通の文化が見られる・・・巨大な文化圏だった。
北方四島の帰属が現在のロシアと日本の間で問題になるが、そんなことより大きな文化圏に属し,昔から人々はお互いに行き来きしていたかもしれない。
今の国境線が文化圏を人為的に分断し経済発展を阻害してきたことかもしれない。
東方経済フォーラムで、ロシアのプーチンが平和条約を締結しようという提案をした。
あまりに突然で日本側は消化不良だったが、プーチンにしてみれば、日本に最後のチャンスを与えたのかもしれない。
今回の東方フォーラムではっきりしたことは、中国が南アジアで苦戦する一帯一路政策を、ロシアやモンゴルを巻き込んで北アジアで展開しようとしていることだ。
すでにロシアと中国の共同事業案件は73件にのぼり、総額1000億ドル=11兆円というレベルに達しているらしい。
トランプによる両国への締め付けに対抗するように、プーチンー習近平ラインが強化される環境にあり、このままいくとロシアと中国で北アジアを牛耳られていく可能性も指摘されている。
でもオホーツク海域には中国もなかなか手を出せないので、今のうちなら日本が経済開発の主導権を握れる。
プーチンはそれを示唆しているのだろう。
日本は北方四島返還をずっと主張してきたが、大前研一氏によると、それも日本国民は真実を知らされていないということらしい。
戦後、ロシアが北海道の北半分を領土にするという提案を米国が拒否し、北方四島をロシアに渡したというのが真実だということだ。
つまり、ロシアは千島列島全体の領有を米国が認めたと認識している。
その後、日本とロシアの交渉により二島返還で平和条約を締結する案が出てきたが、これも米国が旧ソ連をけん制するため、沖縄返還と引き換えに合意困難な四島返還を日本に主張させ、日ロ平和条約の締結を妨げたということらしい。
日本がこだわっている四島返還も米ー旧ソ連の冷戦の事情で主張されたものだった。
となると、現実的でない四島返還にこだわりすぎると、二島返還も平和条約もオホーツク海開発の主導権も失ってしまう。
プーチンが強力な権力を持っている今だから二島返還ならロシア世論を抑えられると思っている。
今が日本の手でオホーツク海を変えるチャンスかもしれない。
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