株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

2018年06月

バーレーンの国家ファンド、オスール

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今回は再び中東に戻り、アラビア半島に橋で繋がっている島国、バーレーンを取りあげてみたい。
バーレーンはその昔、天然真珠の一大産地として有名で、博物館に入ると当時の漁民の生活とともに天然真珠が数多く展示されている。
日本の御木本幸吉氏が真珠の完全養殖を完成させ、なおその真珠は天然真珠より粒がそろった高品質だったことで、バーレーンの天然真珠ビジネスは衰退してしまった。
かといって反日的な感じは全くなく、逆に完全養殖を完成させた日本に対して尊敬の念を持っているという印象がある。
その後は油田が発見され産油国として成長し、また中東の金融センターとして発展してきた。
しかし、一時、原油が枯渇に直面し金融センターとしてもドバイに抜かれたが、再び海底油田が発見されたり、サウジとの関係を強化して生き抜いてきた。

バーレーンに行ったら、グランド・モスクを訪問するのがおすすめだ。
予約が必要で、靴を脱いで中に上がるのだが、日本語が堪能な、見事なあご髭のアラブ人が丁寧にモスクの中を案内してくれる。
しかも、イスラム教の教義、コーランを詳しく教えてくれるし、どんな質問でも答えてくれる。
イスラム教というとISの過激派などの紛争が絶えない印象を持つが、宗教そのものは真に平和的なもので、ちっとも危険なものではないことを理解させてくれる。
非常に勉強になった場所だ。
是非、イスラム教の正しい理解のためもグランド・モスクに行っていただきたいと思う。
バーレーンの人々は日本好きが多いので、日本人には居心地が良い国だ。

オスール(OSOOL)はそのバーレーンの社会保険と年金の運用会社SIO(ソーシャル・インシュアランス・オーガナイゼイション)から発展した運用会社だ。
もともとバーレーンは産油国とはいえ石油輸出量は小さく、さらに枯渇に直面し産油量は減少してきた。
イスラム」の比較的規制の緩い国であり、厳しい規制のあるサウジアラビアから週末に遊びにくるリゾート的な場所でもある。
酒も一部の店ではオーケーで、サービス業や観光事業が発展してきた。
そのため、資源系の国家資産の運用というより、公務員の社会保険や年金の運用ニーズが高い。
だから、OSOOLの運用方針もリスクを抑えた分散投資でオーソドックスな投資スタイルだ。
ここの運用ヘッドとは何回かミーティングしたが、日本株への長い投資経験を持っていた。
海外の投資会社では、長い経験を持つ人ほど日本株のパフォーマンスに不満も大きいという傾向があるが、まさにそうした典型的はタイプの運用ヘッドだった。
長い経験を持つだけになかなか頑強なアンチ日本株にもかかわらず、日本株の運用は続けているという、なんというか、憎しみと愛情のはざまにいるような担当者だ。
日本の関して、安倍政権に関して、日本企業に関して、いろんな議論、いろんな意見があるのが面白かったな。
アベノミクス以降、日本株のパフォーマンスも盛り返しやや不満も落ち着いてきた感じもあるが、どうしているのだろうか?




米中関税競争は世界不況をまねくか?

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市場関係者の話を聞いていると、貿易摩擦が激化し、関税の掛け合い、世界の貿易量が減少し、世界景気の景気後退を招くという懸念を言う評論家が多くいる。
もちろん、トランプの予測不可能な動きがあるので、先が読めず不安になるというのは普通の心理だ。
でも、あまりに通り一遍で無責任なコメントとしか思えない。

まず、関税の引き上げ競争はマクロ経済にはたいしてマイナスにはならないことだ。
米国が500億ドルの中国製品に25%の追加関税を掛けると、米政府に25%分の税収が入る。
そして、これが何かしらの政府支出として米国経済に還流していく。
誰が関税を負担し、誰が政府支出で潤うかの凸凹があるが、マクロ的には中立だ。
このことは中国も同様で米国からの大豆、トウモロコシ、小麦、牛肉、車など500億ドル分に報復関税を掛けるが、関税分は消費者還元されるだろうから、やっぱりマクロ的には中立だ。
ただし中長期で中国の生産拠点がアジアシフトすると、長期的にはマイナス要因もあるが・・・
だから、これだけで世界貿易が縮小し、世界が不景気になるという議論は乱暴すぎるだろう。

もう一つは関税の引き上げには限界があることだ。
米国の対中国輸入は総額5000億ドルで、追加関税1300品目の輸入500億ドルは輸入総額の10%にすぎないし、さらに追加する余地は大きいとよく言われる。
一方、中国の対米輸入は1300億ドルしかないので、500億ドルの報復関税後、さらに追加する余地がほとんどない。
たしかに中国は米国から主に農産物などしか輸入していないし、追加関税を掛ける品目がない・・・だから、関税引上げ競争は中国に不利だというわけだ。

でも、米国も1300品目で500億ドルは一品目あたり3800万ドル=約40億円と、実はウェートの非常に小さい品目にしか追加関税対象にしていない。
実際、ウェートの大きい消費財、たとえばスマホなどには課税できない。
たとえば、iPhone。
部品の調達先は200社以上、クアルコムなど米企業40社以上、フォックスコンなど台湾40社以上、村田製など日本企業30社以上、サムスンなど韓国企業10社弱・・・・などなど。
しかも受託生産のフォックスコンは中国の従業員100万人近い巨大工場で生産する。
つまり、iPhoneは200社以上の企業が世界各地で生産した部品をフォックスコンやペガトロンなどの巨大中国拠点で組み立てて世界中に供給している。
じゃ、誰が関税を払うのか?・・・受託企業は生産を受託しているだけだし、輸入している米企業アップルが関税を負担するのも変な話。
要するに、国境のない企業活動に、追加関税という特定国を対象にした政策を押し付けることが無理筋だということだろう。

というわけで、あまり評論家の言うことをまじめに聞かない方がいいと思う。
関税競争自体はマクロ経済には中立で、しかもこのまま関税競争が無限に拡大していくことはありえない。
中国にも米国にも自ずから限界があり、中長期の技術覇権の問題はさておき、短期的にはあまりネガティブに考えない方がいいかもしれない。



雑草テロとの戦い(2)

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これはワシの庭の芝生の写真だ。
無残に雑草に荒らされておる。
このところ東京でいろいろ用事があり清里を離れていたわずか3週間で、一気に芝生が雑草に荒らさせてしまった。

昨年はこの雑草テロを甘く見て後に大変なことになった。
庭の半分以上にカヤが進出し、カヤに覆われた部分は地下茎でつながっているので簡単には駆除できない。
素人にはどうにもならない状態に追い込まれてしまった。
そこで今年は早めに雑草防衛ラインを設定し、雑草テロに対抗することにした。
作戦は・・・
(1)雑草防衛ラインを30センチほど掘り返して、地下茎を分断。
(2)雑草防衛ラインに砂利を敷きつめ、雑草を生えにくくすること。
(3)雑草防衛ラインに生えてきた雑草を徹底的に抜き取ること。
この雑草防衛ラインで砂利の防衛ラインを死守することで庭を雑草から守ろうというわけだ。

ところが、わずか3週間で雑草テロが急激に起こってきた。

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この写真は、5/23の「雑草テロとの戦い」で使ったものだ。
砂利をきれいに敷いて、雑草対策を取った。
砂利を敷くのに、約1トンの砂利をホームセンターで買い、300kgづつ自分の車に積み込み運んだ。
一袋15kgの砂利袋を運ぶので腰が痛くなった。
なんとか敷きつめたのがこの上の写真だ。
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これがほぼ同じアングルで撮影した雑草防衛ラインの現状だ。
砂利の部分にも雑草が生え始め、草ボーボーの状態になりつつある。
砂利の周りも雑草がかなり高く生い茂り始めた。
雑草防衛ラインが破られようとしている。
困ったものだ。
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上は雑草防衛ラインの写真だが、左側がとなりの空き地で、右側がワシの庭だ。
左の空き地の方から雑草が拡がり始め、砂利の雑草防衛ラインを侵食し始めている。
砂利が覆い隠され、見えなくなってきている状態だ。
この雑草の浸食力が半端ない。
雑草をなめてはいかん。

これは放置できない。
なんとかしないと、昨年の二の舞になってしまう。
そこで、新たな対策プログラムを策定することにした。
基本は孫氏の兵法にある、「敵を知り、味方を知り、百戦危うからず」だ。
まず、(1)敵を知る・・・雑草の種類、特徴、弱点を徹底的に研究すること。
(2)味方を知る・・・地下茎なのか一本一本独立しているのか、どんな除草剤が効くのか、草刈り機で除草するのか、などなど。
(3)実際に雑草テロを阻止する・・・雑草の種類に合わせた対抗策を実行する。

というわけで、庭に生えてきた雑草を研究することから始めることにした。



α(アルファ)とβ(ベータ)の話(3 α戦略)

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固有のリターンである「α」と市場全体のリターンに影響される部分である「β」を分離することで、いろいろ面白い運用ができる。
というわけで、前回はペアトレードの話をした。
ペアトレードは2銘柄のうち、1銘柄を売持ち(ショート)にもう1銘柄を買持ち(ロング)にする一番簡単なロングショートで、市場が上がろうが下がろうが絶対収益を稼ぐことができる運用だ。
ただし、個別銘柄をそのままロング/ショートにするので、固有のリターン(α)が強く出てくるし、個別銘柄の変動に含まれる市場変動部分(β)も不安定になる。
だから、個別のニューズで大きく影響されたり、市場が大きく変動した時(暴落や暴騰した場合)に市場の影響を中立化できない場合(市場の動きに影響される)も多い。
それだけ、ペアトレードのリターンは不安定できちんと結果を出すには運用者の細かい対応が必要だ。
運用者は市場の動きとぺトレードのリターンを細かく比較しモニターし、場合によっては個別銘柄のウェートを調整したり、先物を売買して市場リスクを調整することが求められる。
その意味では運用者の対応能力でリターンが変わってくる運用手法だといえる。

これに対してリスクの低いα戦略としては、マーケットニュートラルがある。
これはロング側に株式ポートフォリオ、ショート側に株式指数先物で市場リスクを相殺するα戦略だ。
一般にアクティブ運用は株価指数を上回るリターンを得ることが目的なので、株価指数先物の売り持ちで市場リスクを取り除くことはごくごく普通に見える。
要は株価指数を上回るリターンを出せば勝ち、下回れば負けと、素人にも分かりやすい。
でも、このマーケットニュートラルで高いリターンを上げるのは実は簡単ではない。

ポイントは二つある。
たとえば、自分の自信のある10銘柄をロングにして、日経先物をショートするとしよう。
この10銘柄が日経平均採用銘柄だとすると、ポジション上、この10銘柄がロングで、日経平均225銘柄のうちこの10銘柄を除いた215銘柄をショートしているのと同じになる。
しかし、ロングの10銘柄は自信のある銘柄だが、ショートの215銘柄はちゃんと調べているわけではない。
全銘柄を調べて自信を持ってショートしているならいいけど、実際はよく見ていないし調べていない銘柄が多いはずだ。
だから、勝てるかどうかはよく調べていない銘柄が下がってくれれば勝てる、下がってくれなければ負ける・・・つまり、運だ。

もう一つはポジションの無駄の問題だ。
このロング側の10銘柄が日経平均225の採用銘柄だとすると、日経先物の中にもロング銘柄が含まれているので、その部分はリターンを生み出さない。
10/225(約5%)の部分はロングとショートがかぶっているので、約5%はポジションの無駄となる。
さらに、市場が上昇した場合、先物売りに損失が出てしまう(現物では利益が出ている)ので証拠金を追加する(追証)必要がある。
そのために証拠金のために現金を別に保有しておく必要があるので、ポジションをフルに使えない・・・だいたいポジションの10-20%は現金で持つ・・・これもポジションの無駄になる。

という訳で、マーケットニュートラルには株価指数先物を売るのでショート銘柄を選べないこと、ポジションに無駄がでてしまうことなどの問題がある。
もちろん、ファンドマネージャーにとっては、普段やっているアクティブ運用の延長にある運用なので、親しみやすいといえるだろう。
でも、本当に高いリターンを上げようとしたら、マーケットニュートラルは使わない。






やさしい株式需給の話(6国内機関投資家)

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東証の投資部門別売買状況から株式需給を考えるコーナーだ。
外人投資家は東証売買高の半分以上を占め、また、発行株数の40%を所有する大口投資家だ。
しかし、その実体は外資系証券の自己勘定、アルゴ・トレーダー、ヘッジファンドなどの短期トレーディングから海外年金やソブリンファンド(国家ファンド)のような長期投資家までさまざまだ。
ここを理解していない評論家は多く、トンチンカンなコメントをしている人も多い。

今回から国内機関投資家に話を移そう。
東証が発表している投資部門別売買状況では、「委託計」の項目の中に小項目に「法人」があり、さらに法人内訳として、「投資信託」「事業法人」「その他法人」「金融機関」があり、さらに金融機関の内訳として、「生損保」「都銀・地銀」「信託銀行」などがある。

まず、投資信託(以下投信)だが、公募投信が主体で国内株投信への資金出入りによって買い越ししたり売り越したりする。
投信協会が投信資金の流出入を発表しているので、数字は簡単に得られる。
基本的にこの統計と連動しているので、国内投信に資金が流入していれば買い越しになるという比較的簡単に投信の動きを理解できる。
投信は日々解約や入金ができるので、頻繁に売り越しになったり買い越しになったりするのが特徴だ。

次の事業法人(以下事法)は、基本的に上場企業の株式の売買だ。
今や、バブル時代の流行った「財テク」ではないが、事法が運用目的で株式を売買することはほとんどない。
また、持ち合い株である銀行株を売却することもあるがそんなに多くはない。
ということで、事法の売買は自社株買いによるものが中心となる。
自社株買いも株主還元のため発行株数と減らす(一株当たりの価値を上げる)のが目的のものと、役員や従業員に発行するストックオプションのが目的のものと二種類ある。
株主還元のための自社株買いは買っただけでも発行株数から差し引かれるが、消却を実施して初めて本来の株主還元になる。
自社株を買っただけでは株式自体は存在しているので、経営者の判断でいつでも市場で売却し、元に戻すことができるからだ。
逆にストックオプションのための保有は本来一時的で、オプションが行使されれば、会社保有からオプションを行使した人に所有が移ることになる。
そして普通はすぐに売却されるので、東証の数字では個人の売りにカウントされる。
その他、公募増資やIPOもあるが、これらはプライマリー市場での株式の発行であり東証の投資部門別売買には反映されない。
ただし、この場合、IPOや公募で発行された株を受け取った人が市場で利食いをするので、東証の数字では個人の売りで出てくることが多い。
大雑把に言って、事法のIPOや公募増資で発行された株式は個人の売りとして市場には出てくる。
だから、個人が売り越し基調になるのはこのためだ。

その他法人は各種団体や宗教法人などが含まれるが、実態はよく分からない。
特に宗教法人は資金が豊富なところも多く、余資運用をしているはずだが統計がなく不明だ。

金融機関については次回に話そう。



ウィークリー雑感(6/25)

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サルでも反省はできる。
株山人も反省する。




あまりに話題がすっ飛ぶので、分かりにくいブログになってきた。
そこで週に一度、ワシが市場について思っている事、考えている事をじっくりと語ってみたいと思うんじゃ。

まず、考え方の基本にあるカネ余りについてじゃ。
アメリカの金融政策が連続的金利の引き上げに移行して2年、そろそろ引締めも後半に入ってくる。
欧州も債券買いの量的金融緩和の出口が近づいている。
日本もイールドカーブ・コントロールときれい事を言っているが、実質的テーパリングに入っている。
この状況で頭に入れておかなければならないのは、グローバルなカネ余りも最終局面だということだ。
だから、流動性の限界から、市場は部分物色/部分調整になる。
資産価格のすべてが上昇する局面はすでに終わっているのだ。
ただ、基本的なカネ余りは続いているので、どこかのアセット・クラスやセクターにはカネが流入し価格が上昇する一方、全く上昇しないアセットやセクターが出てくるわけだ。
問題はどこにカネが集中するかだ。

一つの候補は、キャピタルゲイン狙いのFANG系の割高/成長株。
もう一つは、米10年債への根強い需要から見て考えられるのが、3%を越える利回りのアセットクラス。
年初からの調整でも、FANG系成長株は株価指数に先行して新高値を取ってきているので候補であることは間違いない。
しかし、景気が成熟化しつつある局面でさらにリスクを増やす(FANG系を買うという)という選択を投資家ができるかは不明だ。
それより、安全な米10年債の3%で満足しようという投資家も多いのじゃないかと思う。
となると、たとえば、5-6%の利回りのある米リート、為替リスクを取りたくないなら4%の利回りのあるJリート、あるいは、5-6%の配当のある安定株あたりをワシは狙いたい。

ドイツの自動車ダイムラーが米関税引き上げなら業績の下方修正だと発表したが、これって完全にアメリカへの脅し、ブラフだろう。
テレビの市況番組を見ていると、これで慌てている評論家が多く、まるで滑稽だ。
5兆円の輸入品に25%の追加関税をかけると、約1兆5000億円の税収が米政府に入る。
そして、このカネは対中国の軍事費に使われるか、メキシコ国境の壁建設に使われるか、法人減税の穴埋めに使われるか分からないが、何かしらの政府支出になるので米国経済にはマイナスはない。
問題は関税を支払う輸出業者だが、競争力で大きな格差が出る。
競争力のある製品ならばアメリカ国内で価格転嫁できるので、最終的に米消費者が負担することになるが、この場合米消費者が損するものの、米政府の支出がその分だけ増えるので相殺され、米国経済に大きなマイナスはない。
しかし、競争力のない製品ならば価格転嫁できず、その輸出業者の利益がその分だけ削られる。
まあ、中国の生産業者はキツイだろうし、中国で生産すれば不利になるので生産のアジア・シフトが急速に進む。
次の不況は中国から始まるかもしれない。



仮想(暗号)通貨の謎

イケハヤ






・・・とブログに書いてビットコインを煽ったプロブロガーを自称する男。
ビットコインが急上昇していた昨年夏、初めてこのブログを見た。
仮想通貨への勧誘をしまくり、煽りに煽っていたのを思い出す。
当時のビットコイン価格は今と同じ6000ドル台で、そこから急騰し12月に19600ドルの高値を付けた後、知っての通り大暴落、このブログは一貫して押し目買いを主張し続けた。
3/25に「急落相場の読み方」で「半値八掛け型」の下落は即投げ、ナンピンは禁物と書いた。
ちなみにビットコイン相場はこの「半値八掛け型」の典型的なバブル暴落だ。
なのにこのブログではナンピンを一貫して勧めた。
そして、この自称プロブロガー氏は仮想通貨ブームを煽ってブログのページビューを増やし、1億円レベルのブログ収入を上げたと豪語し た。
なんじゃ、これは????
こんなの、詐欺に近いだろ!!!!
多くのブログ読者を煽って損をさせ、自分はブログ収入で稼ぐ・・・・????
こんな輩がいるから、日本の資産運用は信頼されない。

今年に入り、仮想通貨(一般的には暗号通貨と呼ばれるので、以後、暗号通貨とする)にはいろんな問題を起きた。
コインチェックの暗号通貨NEMの580億円の盗難流出事件・・・500億円を越える被害額を自腹で払ったのはビックリだが、流出の原因を突き止めていないし、ハッカーの追跡ソフトもその後どうなったのか分からないし、ブロックチェーンって本当に安全なのかも分からん。
最近でも韓国の交換業者ビッサムが35億円の暗号通貨を盗まれ、営業停止した。
ビットコイン交換所は零細企業が多くセキュリティや顧客保護に弱さがあり、日本でもビットフライヤー等々、金融庁が業務改善命令を乱発している。

ただ、問題が分散処理やブロックチェーンそのものにあるとしたら先行きは見えないし、ワシのような技術素人には全く理解できない・・・暗号通貨には謎が多すぎる。
BISのレポート・・・

仮想通貨が国際経済における真の交換手段としての役割を果たすにはあまりにも多くの操作や不正にさらされやすく、過剰な電力を消費し、あまりにも不安定だと指摘。コンピューターの分散型ネットワークを通じて発行や取引、記録の管理が行われる仮想通貨の非集中的性質についても、重要な強みではなく根本的な欠陥であるとの認識を示した。


でも、ワシャ、暗号通貨が投機対象ではなく通貨の代替資産になれば、大きな未来があると今でも思っている。
通貨の条件である、①価値の明示、②流通・交換の保証、③安心な貯蓄性、などを満たすことになれば、使いやすい暗号通貨として既存の貨幣を代替していくと期待している。
国内では日本円と一定比率で交換され、海外でも一定交換比率でドルやユーロで使える・・・インチキな交換所でなく東証のような安心できる交換所が設立され・・・銀行口座のように支払い決済も投資も貯蓄も一つの暗号通貨口座で完了する・・・そんな暗号通貨の素晴らしい未来だ。
それはまだまだ夢なのだろうか?



田舎の健康法(2)

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田舎は健康的というイメージに対して、ホントのところを書いてみたい。
田舎の生活は不自由である反面、不自由さを楽しむところにいろんな健康要素があるのではないかと思うが、生活の様々な部分で田舎の健康度を考えてみたいと思う。
前回は田舎の健康度を測るために、都会ではコストがかかる良質の空気や水、ついつい多くなる外食(もちろん外食が不健康かというとそういうわけではないが、外食が多いと栄養バランスが良くないのは指摘されている事実だ)を見てきた。
少し田舎のゴルフ事情にふれたが、今回は運動をさらに取りあげたい。

田舎では生活そのものが運動になる。
ワシの朝起きてからの一日のルーティンを振り返り、田舎生活を運動の視点から見てみよう。
毎朝、大体、6時から7時には目が覚める。
無理やり起きるわけではなく、自然に目が覚めることを重視している。
起きると、犬を小屋から出して、庭を一周する。
そこで、雑草の生えている様子、芝の状態(雑草があれば取り除く)を見て、水まきをする。
夏場は乾燥するので、30分から40分かけてたっぷりと水をまく。
これだけで、けっこう一汗をかくので、それなりの運動なのだろう。
その後、犬をリードで固定して、家に入り、コーヒー豆を挽いてコーヒーを入れる。
そして、朝食を作り・・・・中略・・・・・
犬の散歩の時間になる。
犬の散歩コースは二つあり、その日の天気で決める。
大体、2キロ半から3キロぐらいのコースで所要時間は45分程度だ。
一日2回の散歩が毎日のルーティンだ。
坂道が多く、3キロでも100メートル近くアップダウンがあるので、けっこうな運動量になる。

そのあとは、自転車に乗ったり、近くの山で山歩きをしたり、ゴルフをしたり・・・
これらの運動は別に機会に紹介したい。

今回は田舎の運動として大切なのは庭仕事だ。
雑草を手で引き抜いたり、1-2週に一度は芝刈りをしたり、状況により草刈り機を使って雑草を刈ったり・・・これがけっこうな重労働で、2-3時間やっているとだいたい汗びっしょりになる。
芝生の管理はけっこう知識も必要な重労働で・・・芝刈り、雑草取り、芝生の栄養剤の散布、場合によっては芝生専用の除草剤も使う。
夏場ならば、水まきは朝晩2回、雑草取りは毎日、芝刈りは1-2週に一度、栄養剤の散布は月一度、除草剤の散布は不定期だが数回はまく。
「雑草テロとの戦い」という記事を5/23に書いたが、これは冬になるまで戦いを続いていく長い物語であり、今年は、このブログ上でその都度、庭の状況を実況し説明をしていきたいと考えている。
田舎生活の最も困難でタフな仕事が雑草テロとの戦いであると思うからじゃ。

毎日のルーティンの合計運動量は、おそらく、都会だったらジムでの運動1-2時間ぐらいに相当するのではにだろうか?
ウォーキング5キロで1時間半、立ったり座ったり引っ張ったりという運動を1時間以上というメニューだ。

W杯は移民問題を凌駕する

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ワールドカップの熱戦が続いている。
日本の第二戦はセネガルが相手だ。
このセネガルはA代表23名中20名が二重国籍で、欧州移民の子供、欧州生まれだ。
今、欧州は移民問題で揺れているが、ことワールドカップでは移民の子供を取り合いしている。
もともと地理的に近い欧州とアフリカ、さらに旧植民地と宗主国の古い関係、最近の欧州への大量移民、いろいろ時代や背景は異なっているが、欧州は人種の坩堝化している。
これが最も端的に出ているのが、サッカー業界ではないだろうか?

メッシもアルゼンティンとスペイン、ネイマールもブラジルとスペインの二重国籍だ。
これは一旦欧州のどこかの国籍を得れば、その後は欧州のどの国のチームにも所属できるので移籍が自由になることも大きいが、制度としてもEUにはシェンゲン協定がありEU域内の移動の自由が保障されているのも大きい。
また、優秀な選手を各国で取り合いになる場合もある。
スペイン代表のディエゴコスタはブラジル出身で、ブラジルとスペインが代表選出で争った。
いずれにしても、欧州では重国籍も帰化も移民も多いし、しかも移民の子供は国籍を簡単に取れる(出生地主義)ので、もはや国籍自体の意味がはっきりしない。

ここ数年ISの脅威が拡がってきてから、市民の眼がテロや犯罪の方に向き、欧州各国で反移民の運動も拡大している。
移民の総数を制限するのか、シェンゲン協定内の国境管理を強化するのか、いろんな議論が出てきて収拾つかない状態だが、欧州の基本理念からすればおそらく非常に困難だと、ワシャ、思う。
個人的な意見ながら・・・・それはサッカーがあるからだ。
欧州の理念を一番端的に示すのが欧州サッカーで、市民の最大の関心事だからだ。
もし、EU域内の自由な移動を制限すれば、スーパースターを自分の応援するチームに取れないこともありえるし、移民なしでは各国とも強い代表チームを作れない。
そんな弱いサッカーを欧州市民は望まないし、受け入れることはないだろう。

ワールドカップは様々なお国事情が見えてきてとても興味深い。
次の対戦相手であるセネガルは欧州代表でなくセネガル代表でやろうと自ら選択したモチベーションの高い選手も多いだろうし、体力・運動能力は欧州のサッカーリーグの一流レベルだ。
手ごわい・・・・相手にとって不足はない。
がんばれ、日本!!!


投信のコストを考える(4 毎月分配)

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投信のコストを考えるコーナーの4回目だ。
前回は運用手数料を二重に払わされるファンドオブファンズやファンドラップについて見てきたが、今回は根強い人気がある毎月分配型の投信を取りあげてみたい。
最近、金融庁はこの毎月分配を目の敵のように攻撃しているが、一方、高齢投資家を中心に根強い人気があるのも事実だ。

毎月分配では、円コースがあり「生」のパフォーマンスが開示され、しかも日本株のオーソドックスなアクティブ投信である大和住銀投信投資顧問(長い名前だな)の 日本株厳選ファンドを例に話を進めていきたい。
円コースの目論見書を見てみよう。
販売手数料は3.5%+消費税で合計3.78%と高い。
信託報酬(運用フィー)は1.53%で運用会社0.7%、販売会社0.7%で分ける。
運用はファンドマネージャーがアクティブに選んだ厳選株に集中投資するスタイル。
複数の通貨選択がついており、外貨コースを選ぶと内外金利差を収益化できる(為替変動のリスクも負うことになるが)。
分配金はその期の配当や金利収益と売買益が原資だが、過去の売買益を取り崩して分配できるためその期に収益を越えて分配されている。
その場合には基準価額がその分下落するという注意書きが付いている。

「生」の日本株運用実績を示す円コースと、高金利の代表レアルコースのパフォーマンスを月次レポートで確認してみよう。
円コースの設定来パフォーマンスは+100.9%、最近1年は+7.8%+だ。
毎月分配は150円/月で、設定来ずっと保有していたとすると、合計9140円の分配金をもらえたことになる。
5月末現在の円コースの基準価額は9562円だ。

ブラジルレアルコースの設定来のパフォーマンスは+91.4%、最近1年は-1.2%だ。
分配金は100円/月で、設定来の合計分配金は10960円だ。
5月末現在のレアルコースの基準価額は4712円だ。

第一に、日本株アクティブ投信としては優れたパフォーマンスを上げていることだ。
もちろん2011年の設定がアベノミクス直前でタイミングに恵まれていたことも大きし、ファンドマネージャーの銘柄選択も素晴らしい。
それが円コースの7年で100%(2倍)を越えるパフォーマンスに表れている。
毎月150円の分配金をもらえて、基準価額は9500円台とほぼ分配金が丸々収益になったわけだ。

第二にレアルの通貨選択は日本の低金利の下、内外金利差を収益化できるのが大きな魅力だが、レアルが弱く金利差の収益を完全に吐き出してしまっている。
分配金こそ合計1万円を超える一方、基準価額は5000円割れに下落している。
設定当初に買った投資家は7年で50%(1.5倍)とそれなりの儲かったが、途中で購入した投資家は必ずしも儲かっていないかもしれない。
問題は基準価額が5000円割れても100円/月の分配金を出し続けていることだ。
年間の分配金は1200円にも達し、年20%以上の分配を続けていることになり、ファンドマネージャーにとっても資金が常に流出している状態で運用がしづらくなっているのは間違いない。

第三に毎月分配の投信の問題点を挙げてみたい。
その期の収益を越えて分配するので、複利効果が得られない。
分配金には利子配当課税の20%税金がかかってしまう。
・・・などの問題点がある。
一方、高齢者には不足する年金の一部を分配金で補填できるという生活の知恵もある。
また、投信の元本はいずれ相続で息子や娘に行くが、分配金は自分で使えるのがいいという高齢者もいる。

金融庁が、複利効果もなく節税効果もない、投資理論に合わない投信として毎月分配を嫌うのは一応理解はできる。
しかし、いろんな投資家がいるわけで、一概には問題視するものでもないだろう。
それよりもっと重要なことはアクティブ投信の運用能力の判断だ。
日本株厳選の「生」のパフォーマンス(円コース)は素晴らしいし、こうしたファンドマネージャーを選択することが投信で運用成果を上げる最大のポイントじゃと思う。





嘘も続ければ真実になる?

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人間には「刷り込み」という必殺技がある。
本来は卵がふ化したとき目の前にいる鳥を親鳥だと認識するという動物の行動が「刷り込み」であり、後天的な学習の一つだ。
知能の低い動物でも繰り返し刷り込みを行うことで、学習させることができる。
これを動物でなく、人間に使っている国が増えている。

たとえば、中国でよく言われる南京大虐殺。
「30万人の一般市民が日本軍により虐殺された」という話だが、最初は5万人ぐらいから始まり、どんどん数字が大きくなったらしい。
当時の日本軍が何人殺害したかは定かではないが、毛沢東の共産党はそれを大きく上回る数百万人を殺しており、それってどうなの?って感じだ。
でも、毎年生まれてくる中国の子供に毎年「刷り込み」を行う。
さらに共産党に疑問を持つ知識人を次々に投獄し処刑する。
これを続けると、いつしか完全な「刷り込み」が出来上がり、誰も「刷り込み」に疑問を持たなくなる。
毎日言われ続けると信じ込み、嘘が真実になってしまうのだ。

南シナ海の九段線。
人民共和国が勝手に引いた海の国境だが、2016年のハーグ仲裁裁判所で「法的根拠がない」と否定された。
でも、相変わらず、人工島を拡張し、国際裁判所の判決を無視し続けている。
毎日のように九段線の内側は中国のものだと主張し続けることで、中国人民は完全に信じてしまう。
嘘でも毎日言われ続けると本当になってしまう。

韓国の慰安婦問題。
7万人の売春婦を海外に送っている輸出大国の韓国。
戦時中に日本の従軍慰安婦がいたとしても全くおかしくない。
でも、問題は日本政府がやらせた売春なのか? 民間業者がやった売春なのか?ということだ。
政府がやらせたのなら日本国の責任だが、日本政府は政府の関与を公式に否定している。
ここもはっきりしないまま、朴槿恵政権との合意で10億円を支払い、永久不可逆的な解決をしたはずだった。
しかし、こんなの、韓国人には関係ない。
慰安婦と叫び続け、慰安婦像を設置し続ければ、いつかそれが真実になる。
「刷り込み」は言い続けることで嘘を真実に変える。

同じような「刷り込み」が北朝鮮にもみられる。
米朝会談のあと、朝鮮中央通信は、「金正恩朝鮮労働党委員長の「平和を愛する」取組みが会談の成功につながった」と報道した。
はあー??????
金正恩が平和を愛する・・・世界平和のヒーローにでも仕立て上げるつもりなのか?
ひどく筋の悪い、ブラックジョークだろ!!!

米中貿易摩擦でも見られる。
米国の関税引き上げに対して、「中国は自由貿易を守る」とコメントした。
はあー??????
国内ではネット使用を制限し「表現の自由」「国民の知る権利」を抑圧し、街頭カメラによる全人民の監視体制を確立し反政府的な人物を次々に拘束する。
市場経済といいながら、市場を政府の勝手な都合で押さえつけ締め付け、政府に従わせる。
そんな民主主義の通用しない国が自由貿易の守護神???
アメリカのポンペオ長官がジョークだろって発言したが、まさにブラックジョークだ。
でも、これを中国人民に刷り込んでいくと、いつしか「中国は自由貿易の守護神」というのが嘘でなく真実になってしまうかもしれない。
それほど、「刷り込み」は恐ろしい。
特に近隣国が必殺技「刷り込み」の名手たちであり、そんな連中に囲まれて「自己主張の弱い日本人」はどうやって生きていくのか?





アゼルバイジャンのステート・オイル・ファンド

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バクー油田を有するアゼルバイジャンの国家ファンド、ステート・オイル・ファンドを今回は取りあげた。
ワシがアゼルバイジャンに入ったのはカスピ海の対岸にあるカザフスタンのアクタウからで、ローカルな飛行機で行った。
アクタウの空港は超田舎な感じで、ほとんど外人がいないローカル度がMAXな空港だ。
その待合室で妙な被り物をしたご婦人たち、浅黒い目のキョロキョロした子供たち、膨大な顎ひげを蓄えたちょっとこ汚い感じのオッサンたちに囲まれながら・・・この人たちと狭い飛行機に乗ったら臭いがたまらんだろうなと思っておった。
アクタウからバクーまではわずか30分だが、やっぱり臭いには閉口した。
ガマンしてやっと到着したのが、アゼルバイジャンの首都バクーだった。

バクーの市街地はびっくりするほど近代的で、第二のドバイと呼ばれるのもうなづける。
カスピ海に面した市街地は、湖畔にそって幅の広い遊歩道が整備されてて、非常に美しい景観を堪能できる。
わざと傾けた超高層ビル、三日月のような形の高層ビルなどが立ち並ぶ新市街とともに、旧市街がきちんと保全されているのが素晴らしい。
旧市街は街並みが古くて伝統的な感じで小店が立ち並び、絨毯や調度品、服や装飾品などが売られている。
英語が通じるので店の人たちとのやり取りも楽しい。
丸い屋根が地面から突き出ているので、何だ?と尋ねたら、なんとモスクだった。
たしかに狭い入口から降りていくと、祈りを捧げる小部屋があった。
文化的にも異質な感じが強く、旧市街の散策はおすすめだ。

さらにおすすめなのが燃える地面で、バクー郊外、油田地帯のあるカスピ海沿岸近くにある。
実際に地面から原油が噴出し、それに引火して地面が燃えている。
風が吹くと炎が急に大きくなったり、近くにいると炎の熱を感じるぐらいだ。
たしか、塩野七生のギリシャ人の物語にもアレキサンダー大王の東征のくだりで燃える地面の話がでてきたと思うが、それはこのバクーのことだったかもしれない。

ステート・オイル・ファンドはバクーの新市街の中心にある。
バクー油田は古い油田で枯渇の可能性も指摘されてきたが、その原油や天然ガスは広大なカスピ海の海底に広がっている。
しかし、ソ連崩壊後の独立によりカスピ海周辺国は5か国に増えていて、その利害調整も難しくなっているおり、海底油田の開発にはまだまだ問題が山積している状態だ。
石油収入を将来に向けて運用するステート・オイル・ファンドがアゼルバイジャン人の生活に大きな影響を持つようになるだろう。
現状では3-4兆円の資産規模で毎年の原油売却収益からファンドを拡大しようとしている。
ただ、中東の国家ファンドに比べ規模も小さく、運用手法もグローバル債券を中心とした保守的だった。
しかし、最近は東京のオフィスビルなど不動産に直接投資したり、積極的な方針に変わってきているようだ。
これは不動産への直接投資ができる組織に成熟してきたという意味であり、リスク許容度を徐々に引き上げに入っているということだ。
グローバル株式ポートフォリオから、個別銘柄への集中投資に向かうタイミングも近いのではないかと思うんじゃ。






米中貿易摩擦、ホントの意味

アメリカが中国に5兆5000億円の追加関税をかけると発表し、中国側は即時に反応し報復措置をかけるとコメントした。
アメリカと中国が関税の掛け合い、貿易戦争に入るのかと市場の警戒度が上がっている・・・中国の輸出企業が25%の追加関税を払ってアメリカに輸出すると、少なくとも一部分は販売価格に転嫁されアメリカの国内販売価格が上がり、それを買うのはアメリカの消費者だ。
だから、短期的には中国企業の利益が削られると同時に、アメリカの消費者も高い製品を買わされるというマイナスもある。
でも長い目で見ると、高くでも買わなければならない製品ならば売れるけど、中国製品はどこか他の人件費の安いアジア製品に負けてしまう可能性も高い。
・・・という意味で、中国に対しては関税というのは武器になる。
だからトランプは関税を武器に使って中国に圧力をかけているわけだ。

でも、アメリカのホントの狙いは、もっと長期的な戦略にあると思うんじゃ。
いくつかの証拠を挙げる。

カルフォルニア大教授で通商製造業政策局長のナバロ氏だ。
17年にわたって中国はアメリカの知財を盗み不公正は貿易を行ってきた。米企業が中国に進出する際は中国は米企業に技術移転するよう強制している。アメリカは雇用を喪失し巨額の貿易赤字を計上している。中国は中国製造2025年という計画を掲げ、新興産業を支配することを目論んでいる。アメリカは自国の利益になるように関係を変えていく

「中国製造2025年」が中国が必要な技術・情報を盗み終えて国内の技術基盤を確立する年として、キーワードになってくる。
一旦、国内技術基盤を完成されると、他の国にには手を出しようがなくなる。
その前に、中国を、欧米並みの知財財産権の保護体制に組み入れてしまうことだ。

ホワイトハウスのアナウンスメント。
「米国が新たに発表した関税は「中国が新興ハイテク産業の覇権を目指すメード・イン・チャイナ2025計画の関連製品」を対象に含む。ホワイトハウスは同計画について「中国の将来的な経済成長をけん引するものの、米国など多くの他国の経済成長を妨げる」と指摘した」

やはりトランプ政権はこの「中国製造2025年」計画に大きな懸念を共有しているのがわかる。
2025年までに中国企業に知的財産を盗まれる事態を避け、中国の技術覇権を阻止するのが今の貿易戦争のホントの目的なのだろう。

さらにZTEの制裁問題。

ZTEは米国でAT&T(T.N)やTモバイルUSA(TMUS.O)、スプリント(S.N)など携帯電話大手にスマートフォンを供給する一方、クアルコム(QCOM.O)やマイクロソフト(MSFT.O)、インテル(INTC.O)など米企業の製品を採用している。ZTEの製品で使用される米企業の製品の割合は全体の25─30%と大きく、今回の措置は同社に深刻な打撃を与えるとみられる。


ZTEの制裁問題は罰金で済ませるのか、米国製品の使用禁止という厳しいものになるのか最終的には決まっていない。
しかし、これは中国企業の現状をよく示している。
半導体や半導体製造装置、電子部品や微細加工技術、モジュールや設計技術、などなど根幹となる技術はまだまだ未熟で他の先進国に頼っている状態だということ。
今のうちに中国企業への技術漏洩を管理していくことが先進国にとって重要じゃ。
関税の引き上げ、その報復措置と厳しい政策の応酬に注目が集まっているが、ホントに重要なのは先進国がこの「中国製造2025年」計画をきちんと監視し、必要な措置を行い、叩いておくことじゃ。


スポーツ観戦三昧で、寝不足

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翌日の仕事なんて関係ないから、引退生活はお気楽そのもの。
特大なスポーツイベントが重なっていて、夜中から明け方までテレビの前におる。
一つはワールドカップだが、いきなり、これ以上ないようなカード、スペイン対ポルトガルでB組は始まった。
いきなりの、これぞ、ワールドカップという試合に眠気もぶっ飛んだ。
開始早々にクリスティアーノロナウドが切り込み、PKを決めて先制。
でも、その後のディエゴコスタが凄かった。
3人の相手ディフェンスに囲まれながら、ボールをキープし振り向きざまにシュート、ゴール。
凄い、すごすぎる。
日本の選手だったら、3人のディフェンスに囲まれたら、速攻でボールを取られていただろうな。
身体の強さがうらやましい。
ポルトガルは固い守りからロナウドを中心に速攻を仕掛ける。
上がりが速い、あっという間にゴール前に行き、シュート、ゴール。
スペインは短いパスを正確につなぎ、ボールを支配し、相手を崩しながらゴールに向かう。
ロナウドが2ゴール、ディエゴコスタが2ゴール、その後、ゴール前の細かいパス交換からナチョが決めた。
一瞬のスキをゴールという結果につなげる技術とパワー、なんかにホントに凄い。
その後はスペインがパスを繋ぎながら時間を掛けていく。
このままかなと思わせたところで、ロナウドがフリーキック、ゴール、いきなりハットトリック。
190センチを超える相手ディフェンダーの頭に上を通過しながらゴール右上にドロップして突き刺さった、凄まじいスピードと回転をかけたフリーキックだった。
最初からムチャクチャ感動、ひたすら世界トップレベルの選手の凄さを感じたゲームじゃった。

もう一つはゴルフの全米オープン。
シネコックヒルズは超難関コースだ。
世界のトッププロがオーバーパー、しかも、なんと、マキュロイ、スピース、タイガーウッズ、さらにガルシア、ジェイソンデイ、超一流選手たちが大たたきして予選落ち。
考えられない展開となった。
グリーンが砲台で奥にはずすと返しが非常に難しいし、グリーン上も不規則なバウンドがあり困難を極める。
でも、ワシのような素人から見ると、超一流選手のアプローチ技術、バンカー技術、または、ヘスキュウー草地の脱出技術、見所が満載で見入ってしまう。
我々のヒーロー松山選手も難しいコースに手間取ったが、なんとか、5オーバーで予選を通過、決勝ラウンドに進んだ。
たいへんなシネコックヒルズの全米オープンになってしもうた。
そんな中で、アンダーパーで回ったのはたった一人、ダスティン・ジョンソン。
350ヤードを越えるドライバーショット、正確なアイアンショット、パターはテーラーメードのスパイダーでナイスパットを続けた。
それにしても、この難関コースで4アンダーは凄い。
明日の夜も寝不足が続くじゃろな。

追記
今年の全米オープンゴルフはまさに悪夢の連続だ。
フィル・ミケルソンのグリーン上で動いているボールを打った行為。
下りパットでグリーンの外に出てしまいそうなボール、それを追いかけて動いているボールを打ち返した。
ルール上は2打罰で、その13ホールを10としたが、それで済む話じゃない。
トッププロが故意にルールを破ったことだ。
今後、どういう展開になるのか? オーナイトメア!

松山選手の残り数メートルからの4パット。
バンカーからナイス3オンした松山選手、短いパットが残っていたが、そこからパットが決まらず行ったり来たり、なんと4パットしてしまった。
オーナイトメア!


リートの分散投資を考える(2)

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リートは非常に面白い資産クラスだ。
個人は賃貸マンションぐらいしか実物不動産投資ができないが、リートを使うことで個人では難しい超高層オフィスビル、老舗のホテル、巨大ショッピングセンターなどにも簡単に投資できる。
しかも決算があり会社説明会もあるので、その期の利益だけでなく、鑑定士の鑑定価格やNAV(ネットアセットバリュー)、テナントの出入りや稼働率、平均賃料の動き、さらに財務の諸数字、借入の状況、すべて開示される。
個人にとってはこの情報公開は非常に有効でネットをチェックするだけでいろんな事を分析できる。
さらにリートの分配金利回りも平均4%を越えているので、市場価格が上昇しなくても十分な期間損益を上げることができる。
そして、ワシが注目していることはリートのサブセクターだ。
景気に敏感な物流リートや商業リート、資産価値の高い都心オフィスリート、利回りの高い田舎不動産を中心としたリート(ヘルスケアなど)いろんなタイプがあり、サブセクターとその組み合わせで様々な経済状況に対応するポジションを作れる。
リートの分散投資を考えてみたい。

その基礎知識としてまず取りあげたいのがサブセクターとしてのオフィスリートだ。
オフィスリートで最も大切なのは、スポンサーの強さとパイプラインの大きさだ。
森ヒルズリートの会社説明会で、執行役員が「オフィスビル価格の上昇とオークションの競争激化で新規のビル投資は高値掴みになりやすい。当社は優先権を使い森ビル案件のみに新規投資する」と言ったことが印象に残っている。
スポンサーのパイプラインが今後の外部成長のカギとなっているわけだ。
この意味で、前回、NBF(8951)、JRE(8952)、森ヒルズ(3234)、オリックス(8954)、MCUB‐midcity(3227)を取りあげた。

今回はさらに掘り下げてみたい。
オフィスビルの判断基準は、資産内容と財務状況とバリュエーションだ。
まず、資産内容では、オフィスビルのエリア別の比率が重要。
特にプライムエリアと呼ばれる都心3区(千代田区、中央区、港区)、5区(3区に加え新宿区、渋谷区)は、景気鈍化しても資産価値が維持されるし、稼働率や賃料でも比較的高水準が維持されやすい。
一方、都心5区以外のエリアでは資産価格の変動が大きく、景気後退期に安く購入すれば短期的にリターンを上げやすい。
都心3区の比率では森ヒルズ(3234)が注目されるし、都心の優良物件ではNBF(8951)やJRE(8952)だ。

財務内容の比較では、現在の金融緩和の下ではそんなに大きな違いはない。
LTV(ローン/バリュー、借入//総資産)でも大体40%前後、借入金利も0.5-1.0%、長期固定比率(変動金利以外のウェート)も90%前後と、どのリートもここ数年の低金利・金融緩和で手堅い数字を維持している。

リートのバリュエーションでは、分配金利回りとNAV倍率が重要だ。
オフィスリートの分配金利回りでは、クオリティの高いNBFやJREは3.1-3.2%とかなり低いし、グローバルワンや大和オフィスリートやオリックス等は3.5%前後、森ヒルズやMCUBーMI CITY等で4%前後というレベルだ。
また、NAV倍率では、このところの鑑定価格の上昇もあり、ほとんどのリートで1倍から1.2倍というレベルでどのリートでも割高感はない。
しかし、鑑定価格ベースであり、一旦不動産市場が調整に入ると鑑定価格が引き下げられ、NAV倍率が知らぬ間に割高になったという場合も考えられるので気を付けたい。

これらを総合すると、強力なスポンサーを持ち、財務内容が良く、分配金利回りも比較的高いとなると、森ヒルズリート、オリックス、MCUB-MI CITYあたりが候補となる。
不動産市場の波乱を想定するならば三菱地所系のJREや三井不動産系のNBFが安定している。
逆に不動産市場がまだまだ上昇すると見れば、5%以上の高分配利回りのインベスコ・ONEリート等で勝負するのも考えられる。

FOMC、長短金利の接近、どう見る?

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今週はいろいろイベント満載だった。
昨日のアメリカではFOMC(米公開市場操作委員会)が開かれ、大方の予想通り、25bpの利上げが決定し、年内の利上げをあと2回するという。
アメリカ経済の好調を背景にFEDは利上げ姿勢を強めている。

米長期金利(10年債利回り)は3%水準(直近で2.96%)で、今回の利上げで2年物金利が2.56%に上がり、長短金利差はわすか40bpと接近してきた。
年内あと2回利上げがあると2年物金利で3%水準に上昇してくるので、その時10年債利回りがどのぐらいになっているかが微妙な問題となっている。
ワシは個人的には3.2%から3.3%になっていると考えているが、もしかして、10年債利回りが現状のまま3%水準にいると、場合によっては長短金利の逆転が視野に入ってくる。
通常は長短金利の逆転は逆イールドと呼ばれ、市場が将来のリセッションを織り込む現象と思われている。
短期金利の上昇に比べて長期金利の上昇が弱く見えるのは、将来のリセッションを市場が織り込もうとしているからなのだろうか?

可能性としてはそれもありえるが、ワシは違った見方をしている。
単に景気が強いから債券から株式に資金シフトするというわけではない。
世界のソブリン債を見ると、カントリーリスクの低い先進国で3%の金利がついているのは米国債のみだ。。
欧州債券も日本債券も金利はゼロまたは1%以下で、英国とカナダがそれぞれ1.3%と2.3%だ。
つまり、債券運用でリターン/リスクを最適にするには米国債のウェートを上げ、米国債中心のポートフォリオを作ることになる。
将来のリセッションを織り込む形で長期金利が上がらないのではなく、米経済が好調で金利がついている唯一の先進国として債券投資家は米国債を買わざるを得ないので債券が売られない(金利が上がらない)ということだ。
低金利の欧州債券や日本のゼロ金利国債をあえて買いたくない投資家は、米、加、英などを買うか、もっとリスクの高い新興国債券を買うしかない。

したがって、長短金利の接近がアメリカ経済のピーク感(将来のリセッション)を示しているわけではなく、債券ポートフォリオの中で米国債シフトが起こていることが原因となると、株価は上昇し続けても全くおかしくない。
より注目しておくべきポイントは、「米長期金利3%時代を考える」5/21記事で書いたが、結局はインフレ率がどうなるかであり、タイトな労働市場で賃金上昇が起こってくるかどうかである。
インフレ率が現行の2%水準に抑えられている局面では、米国債券・株式ともに資金流入が続いていくが、インフレ率が上昇加速し始めると、本格的に債券から株式への資金シフトが起こる可能性がある。
来年にかけて米インフレ率が上昇し、2%を越えて3%に上がってくるといろいろ大きな変化が起こってくるだろう。


金正恩にキャーキャー言うな

6.12米朝シンガポール会談が終わった。
会談は先の南北会談と同じように演出された政治ショーだった。
だいたい事前に予想されたように非核化と北の体制保証について方向性を合意したにすぎない。

いくつか違和感が残った部分があった。
もっとも強烈に感じたのは、会議の前夜、金正恩がシンガポール市内を視察と称して観光していいた時だ。
マリーナベイ・サンズの屋上プールに行った時、水着の女子がキャーキャー言って近づいたり、誰か日本人が「すげえー」と叫んだり、まるでスター芸能人が現れたかのような行動を見せたことだ。
これってありえないだろう。
日本人を何人も新潟の海岸から無理やり拉致して、40年も知らんぷりをしてきた張本人だ。
国内では数百人を公開処刑し粛清してきた一級殺人者で、自分の兄を毒殺し、自分の叔父を射殺した男だ。
最近でも中国人の乗ったバス事故の後、バスの運転手を処刑したというニュースが出ていた。
良い人ぶったって、一皮むけば超がつく極悪人だ。

もう一つ強烈な違和感を感じたのは、北の新聞報道だ。
トランプが金正恩を「素晴らしい」とか「優秀だ」とか盛んに持ち上げていた反面、金正恩は勝手分からずにオオカミの中にいる子豚のようにオドオドした感じで、南北会談の時のような堂々とした印象は全くなかった。
ほめ殺しで金正恩を持ち上げ自分の言い分を通す策略なのだろう。
上機嫌のトランプと対照的に、金正恩は共同記者会見もなく会議に関する発言は聞き取れなかったし、一人でサッサと帰ってしまった。
でも、翌日の北の新聞では、段階的非核化と経済制裁の同時に段階的解除で合意したことになっている。
共同記者会見もなかったので、この食い違いがどこから来ているのかサッパリ分からん。
いずれにしろ、これで完全な核廃棄の前に北への支援(制裁解除を含む)をするのかどうか焦点なってくる。

また、トランプが朝鮮半島での軍事演習を中止すると言ったこと、また、金正恩が朝鮮半島の非核化(北の非核化でなく)と表現し韓国も含めた非核化を約束したこと、そして、かつて文ジェインが朝鮮半島は自分たちに任せてくれと言ったこと・・・
総合して考えると、平和協定を結んだあとはアメリカは手を引き、韓国と北で民族の将来を作っていくということになる。
日本はアメリカが引いた朝鮮半島にどう影響力を残せるのだろうか?
日本にとっては厳しい道のりになったとように思う。

ちょっと気になったのは、会見の後ろにあった国旗が似ていることだ。
色は赤と白と青・・・星条旗も北の国旗も同じ色使いだ。
形は星とストライプ・・・パーツの形は一緒だが、星の数もストライプの本数もアメリカの方が多い。








実戦的バリュエーションの話(7 任天堂)

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昨日の続きで任天堂のバリュー投資の話だ。
任天堂は成長株イメージが強く、バリュー投資というと違和感があるかもしれない。
ワシの眼から見れば、2-3年という短期では成長株といえるが、10年以上という期間でみると明らかにバリュー株なのだ。

昨日書いたが任天堂には3つの側面がある。
一つはゲームソフト開発の側面で、これはヒットゲームを開発すれば大儲け、そうでなければ大損という博打の近いビジネスモデルだ。
だから当然、他のゲームソフト開発会社と同様に、数年単位で業績は大きく変動する。
二つ目はゲーム機器のハード開発会社の側面で、これもゲーム機器の世代交代、ゲーム専用機からオンラインゲーム、スマホゲームにと大きく人気が変動するビジネスでもある。
三つ目が最も任天堂らしい側面だが、ワシは「永久キッズ・サイクル」と名付けた側面だ。
これは世代を受け継いで生き残る子供向けのコンテンツやキャラクターで、ミッキーマウス、ドラえもん、ポケモン、スーパーマリオなどが代表だ。
ウォルトディズニーやディズニーランド、ドラえもんと並び、ポケモンやスーパーマリオは永久サイクルの中にあるコンテンツだ。
だから、知財としての価値も高いし、これらのキャラクターのゲームも将来にわたりキャッシュカウ(打ち出の小づち)であり続けことができる。
これが任天堂の土台である資産価値を作り上げている。

2013年から2014年はそこそこのヒットゲームしかなく、WiiUなどのゲーム機器も売れず、業績の端境期で営業赤字に落ち込んだ。
そして、株価は営業赤字を反映して下落し、ついに一株あたり純資産9400円を割り込む事態となった。
しかし、バランスシート(貸借対照表)を見ると、過去の蓄積としてドル建ての預貯金が2000億円以上あり、一株あたり純資産に大きな変動はなく安定していた。
さらに「永久キッズ・サイクル」の将来期待があり、ワシは一株純資産の水準である株価1万円以下は超割安と判断した。
当然ながらバリュー投資として大口買いを実行した。

こんな買い場は2000年代半ばにもあったが、それ以来、数年ぶりにきた2回目のバリュー投資のチャンスとなった。
当時のニュースや新聞記事を見ると、WiiUの販売の不振やオンラインゲームの時代に入ったとか、任天堂の成長は終わったという雰囲気が伝わってくる。
こうしたタイミングでバリュー投資を実行するには勇気が大切で、そのためには運用者はコントラリアンである必要があるのだ。
将来、任天堂には再びバリュー投資のチャンスが来るかもしれない。



実戦的バリュエーションの話(6 任天堂)

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前回はソニー株へのバリュー投資を題材に、実際の運用会社の現場でどんな分析でバリュー株に投資したのか、世の中の評価とのズレからどんな軋轢が生じるなどを見てきた。
バリュー投資は一種コントラリアンであり、孤独な投資判断が求められる。
コントラリアン投資とは、辞書では一般の傾向と反対の行動をする人、逆張り投資と書かれているが、ワシが訳すとしたら天邪鬼投資だ。
コントラリアンは、一般的な知識や常識にとらわれず、自分でモノを考え行動する人で、その多くは天邪鬼と呼ばれる人たちだ。
ワシャ、運用ではこの孤独な投資判断ができるコントラリアンであることが重要だと思っている。
運用したこともない上司が一般論と結果論で批判してくるが、それを撥ね付け自分の意見を通す強さが現場ファンドマネージャーに必要だ。

もう一つ実例を挙げたい・・・任天堂(7974)だ。
バリュー投資の観点からは過去何回か大きく儲けさせてもらった銘柄で、将来的にも重要なバリュー銘柄だ。
任天堂のバリュー投資というと、普通の人は違和感を感じるじゃろ。
ピカピカの成長株に見えるからだ。
でも、任天堂は3つの側面を持ち、一筋縄でいかない銘柄・・・実はそこが魅力的なのだ。

一つはゲームソフト会社としての側面。
スクエア、エニックス、ガンホー、ミクシーなど人気ゲームで一時代を気付いた開発会社が日本には多くあるが、ゲームは非常に荒っぽいビジネスで、うまくいったら大儲けできるし、ブームが去れば大損するし、開発の大失敗もある。
ゲーム会社の業績はジェットコースターのようだし、通常、株価のボラも異常に高い。
任天堂といえどもこの高いボラから逃げることはできない。

2番目はゲーム機器のハード会社としての側面。
ハードのゲーム機器も栄枯盛衰があるし、しかも急速に技術開発されるので、あっという間に世代交代してくビジネスだ。
現在は、専用ゲーム機からスマホゲームの全盛期に入ってきている。
それでも、任天堂スイッチが売れたり、ある意味おもしろいビジネスでもある。

3番目はワシが「永久キッズ・サイクル」と呼んでいるもので、子供の永久サイクルだ。
一人一人の子供はミッキーマウスで育ったりポケモンで育ったりドラえもんで育ち大人になってしまう。でも、大人になって子供ができるとその子供はやっぱりミッキーやポケモンやドラえもんで育っていく。
これは永遠に続く子供の永久サイクルであり、このサイクルに入ったキャラクターやコンテンツも永遠に残る。
これらは長期的なキャッシュカウ(日本では打ち出の小づち)だし、知的財産としても高く評価されるものだろう。

任天堂の業績や株価にはこの3つの側面が大きく影響している。、
スクエニのファイナルファンタジーやドラクエ、ガンホーのパズドラなど他のゲームソフト開発会社もそうだが、任天堂の業績も同様に非常にボラが高く、大きく悪化した2012年から13年は営業赤字に苦しんだ。
さらに追い打ちをかけたのが、スマホゲームへの流れで、WiiUなどハードのゲーム機器の売り上げも減少した。
この営業赤字の期間に株価も1万円以下まで下落したが、実はこれは初めてではない。
何年かに一度の確率で任天堂の業績が悪化し株価は1万円を割り込む。
これはゲーム会社の宿命であろう。

さて、そこからが本題になるのだが、長くなるので、明日、話すとしよう。



民泊新法の不可解

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日本の役所って不可解だなとホントに思うんじゃ。
それは最近の民泊新法に関するニュースだ。
民泊新法の施行に伴い、民泊業者は自治体への届け出が義務付けられているが、Airbnbによると、サイトの登録業者約6万件のうち、自治体に届け出した業者はわずか724件しかなかったそうだ。
そして、Airbnbは法律に従って、6/15施行日以降、届け出していない業者の予約をすべてキャンセルし、予約金の全額返金を顧客に通知したという。
このキャンセル数は15万件に及ぶということで、訪日客に多大な迷惑をかけることとなった。・・・なんじゃこれは??? 全く理解不能なバカさかげんじゃ。

そもそも民泊の推進は、東京オリンピックに向けて海外からの観光客を大幅に増やす(観光立国)国策にそったもので、自治体がどうこうすべきものじゃない。
民泊新法は最低限のルール(設備、火災対策、管理)を守れば誰でも民泊を営業できる前提での登録制度で、訪日客の増加とホテル不足に対応するためのものだったはずだ。
それがどこでどう変わったのか・・・

そもそも新法は許認可ではなく登録、つまり、希望する業者は登録さえすればいいので、役所が選んで認可するわけではなく、多くの民泊業者の登録が期待されていた。
ところが近隣住民とのトラブルが多いとか、中国人のマナーが悪いとかで反対する近隣住民に配慮して、自治体の窓口が登録希望業者に対してゴチャゴチャ難くせを付けたのだろう。

いずれにしろ、せっかくの将来期待されている民泊ビジネスの先が思いやられる。
今回の大量の宿泊キャンセルで、安倍政権の観光立国政策も前途多難になった。

基本的な背景には役所が市場メカニズムを信じていないことがある。
小役人ほど行政の介入がないと、民間のトラブルに対応できないと考えている。
でも、事実は逆だ。
民泊を市場メカニズムに任せれば、悪質業者は淘汰され、問題宿泊者も市場から締め出され、優良な業者が残り、サービスの質が向上する。
民泊は世界中で行われサービスが進化してきているビジネスなので、ノウハウの蓄積もあり行政の介入より市場メカニズムに任せた方がうまくいく可能性が高い。
自治体の小役人の介入は国策の観点からもビジネスの観点かもマイナスでしかない。
日本の隠れた社会主義が問題なのだ。

この新法問題は、訪日観光客関連株、資生堂など爆買い関連株、ホテルリートにどう影響するだろうか?
直接的にはAirbnbからホテルの宿泊客が流れてプラスだが、海外訪日客の増加に水を差すことになれば株価にマイナスになる。
株価に注目したい。

田舎の健康度法(1)

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田舎暮らしという言葉の響きになんとなく健康的なイメージがある。
所詮、都会人の作り上げたイメージだが、田舎の不自由さと引き換えに健康があるのかもしれない。
そこで都会生活の長いワシが田舎暮らしの健康度を総合的に考えてみた。

まず最初のポイントは、やっぱり、空気と水だ。
水は「田舎に家を持つ」のコーナーでも書いたが、八ヶ岳の雪解け水が地下水となり脈々と流れるこの地域では非常に魅力的な資源だ。
タブウォーター(蛇口から出てくる水)をそのまま飲めるなんて今の世界では非常に珍しいし、しかも冷蔵庫で作る氷がおいしいのも珍しい。
都会では普通に氷と水が買うものとされていて、水道水を飲むとかそれで氷を作るなんて考えられない。
したがって都会ではペットボトルの水と製氷された氷を買うことになるが、この水と氷のコストが大きな田舎健康度の違いを生む。
一日ペットボトル2本を300円として、1か月で9000円、1年で11万円ほどかかる。
さらに氷を3日で1袋とすると、1か月で2000円、1年で2万4000円かかる。
水と氷の合計年間コストは13万円だ。
つまり、都会では水と氷の健康のために年間13万円を使っていることになり、田舎暮らしは13万円分の健康度があるというわけだ。

次のポイントは外食と飲酒だ。
都会では友人や会社の同僚や取引先、または家族と夕食を外で食べる機会も多いと思う。
サラリーマンの聖地、新橋の夜はサラリーマンで一杯だし、予約の取れない店が多いし、いかに都会人が外食好きかがわかる。
でも田舎では夕食は家で作って食べるものだ。
たいだい、車でしか外食に行けない地域で、外に飲みに行くなんてそもそも選択肢にない。
だから、家で夕食をゆっくりと取り、都会で外に飲みに行く場合に比べ飲酒量も少なくなる。
特別な日に夕食を外でという場合もあるが、年間数回程度だろう。
週一で飲みに行くとして1回5000円ならば、それだけで年間27万円違ってくるし、田舎の年間数回の外食を考慮しても年間20万円程度はあるだろう。
これが田舎暮らしの健康度で、20万円分の健康度があるといえる。

次のポイントは趣味だ。
田舎暮らしは時間がゆっくりと流れるので、みんな自分の時間をそれなりに楽しんでいる。
ゴルフの友の会で知り合ったオッサンはだいたい週の2ラウンドから3ラウンドすると言っていた。
友の会でゴルフ代は平日なら5000円台なので、週2回ゴルフをしても週1万円、月4万円程度の出費で済む。
冬の寒冷地はゴルフ場閉鎖になってしまいゴルフできるのは年間9か月なので、年間のゴルフ代は36万円だ。
一方、都会でゴルフというと、会員権を持っていても1ラウンドで1万円はかかる。
週1回すると、年間のゴルフ代は54万円となる。
この差額18万円が田舎暮らしの健康度としてカウントできる。

・・・というわけで、ここまでの水と外食とゴルフの田舎健康度は年間合計約50万円程度の価値があると測定される。

今回はここまでで・・・・次回はさらに他の趣味の健康度、食べ物の健康度、などをさらに深く考えていきたいと思うんじゃ。



やさしい株式需給の話(5外人投資家)

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やさしい株式需給の話のコーナー、外人投資家の需給動向を読むという話の続きだ。
外人投資家は毎日の東証売買高の半分以上を占める大口トレーダーであると同時に、日本株全体の4割を保有する巨大投資家でもある。
大口トレーダーとしては外資系証券の海外ブックの売買、海外にあるアルゴリズムトレーダー、海外のヘッジファンドなどがあり、毎日大口売買を行っている。
しかし、これらは一日終わればポジションのリスクを抑えたり、日本株以外に資金を回したり煩雑に動いているので東証売買高に影響しているが、あまり極端な売越し/買越しはしない。
ただし、ヘッジファンドにはいろいろなタイプがあり、価格の鞘取りをするファンドもあれば、大きく買持ち/売持ちで勝負するファンドもあり、東証での大口買い越し/買い越しに影響するファンドもある。

というわけで東証投資家別売買動向で数千億円レベルで売越し/買越しに大きく影響しているのは、グローバルファンド、ソブリンウェルスファンド(国家ファンド)、一部の巨大ヘッジファンドになるだろう。
前回海外年金の説明で話したと思うが、特にアメリカの巨大年金はアメリカ株の運用に最も注力しているので、アメリカ以外(EAFE)の株運用は一括してEAFAファンドに丸投げする年金もよくある。
こうしたEAFEファンドやその他のグローバルファンドを合計すると、数百兆円という巨額になる。
これらのグローバルファンドは相場観で資金配分を変えたり、株価指数のウェート変更で配分を変えたり、顧客の資金が出入りしたりする時に株式売買が生じる。
規模が大きいだけにポートフォリオの1%動かしただけで数兆円の売買が生じる可能性もある。

さらに大きく、東証の投資家別売買動向に表れてくる外人投資家はソブリンウェルスファンド(SWF、国家ファンド)だ。
SWFには原油や天然ガスといった資源系のファンド、貯まった外貨準備を元手にした外貨準備系のファンドなどがある(詳しくは世界の巨大投資家のコーナーを参照)。
いずれにしてもそのファンド規模は数兆円から100兆円にもおよび、SWF合計では数百兆円という規模になる。
この規模の資金が高いリターンを求めて世界の株式や債券、その他の資産クラスに流れていく。
ワシもサウジアラビア通貨庁やクウェート投資庁などと付き合いがあったので、その資金の規模を実感している。
運用資金の増額が一回あると1000億円単位で各運用会社にバラまかれ、各運用会社のファンドマネージャーが必死になって売買する光景を今まで何回となく見てきた。
SWFはその国の将来のために蓄えられている資金であり、そのパフォーマンスは各国財務省により厳格に管理されている。
そのためリターン追求の姿勢が明確で、リターンの上がっているファンドはどんどん資金が増額されていく反面、リターンの低いファンドからはどんどん資金が回収されていく。
ファンドマネージャーは厳しい競争状態に常に置かれているわけだが、それがファンドマネージャーに成長機会も与えてくれているともいえる。
SWFは長期安定資金だが、その資金移動は長期投資のわりに激しく活発だといえる。
詳細はベールに覆われているが、東証投資家別売買動向に大きく影響していると見てよいだろう。







ロボアドバイザーに誠意があるか

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東京MXテレビの松井証券のコマーシャル・・・
役者A 「投信、なんかいいのない?」
役者B 「それならファンドラップだよ」
役者A 「ファンドラップねえ? それならこれはロボアド。管理料ないし・・・」
役者B 「えっ?管理料ないの?でもロボットだろ」
役者A 「ロボットとどこが違うんだよ」
役者B 「だって誠意が・・・」
役者A 「ふん、誠意ねえ??? つぶ貝 二つお願いします。」
店員  「あいよ」

というCMがよく放映されている。
ちょっと気になったので、松井証券でポートフォリオ提案をやってみた。
年収とか20%損したらどうするとか、予算とリスクに関する質問を答えていくと、やや積極型というポートフォリオ提案が出てくる。
よくある分類で・・・国内株、先進国株、新興国株、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内リート、海外リート、コモディティという9資産に投資する。
投資先は全部ノーロード(販売手数料のない)のインデックス投信だ。

これでロボットか???AIか???
単に投資家に質問してリスク許容度を想定して、よくある平均/分散法で最適資産配分をしただけのものだ。
役者Bの「だって誠意が・・・」は正しかったのである。
ロボアドには確かに全く誠意が感じられないというか、インチキなロボットだった。
でも、管理料を取らないのが、せめてもの誠意ということだろう。

AIはチェスや将棋で世界チャンピオンを破り最近の話題だが・・・
市場での売買手数料が下がり、板情報など市場内情報の開示が進んでいくと、さらにアルゴリズム取引が活発になるだろう。
でも、それはアルゴリズム間の競争を激化させていくので、収益性は逆に下がっていくことになる。
もうアルゴリズム取引はそろそろ限界が見えてくるのではないだろうか?
代わって、ビッグデータを用いたAIが全盛期に入ってくる。
決算短信を読み込み、わずかな表現の違いをデータ化して、株価の先行きを読んでいく。
ニュース報道のフロー分析から市場の心理状態を把握して、強弱感をデータにする。
インターネットで流れているあらゆる株価コメントをデータ化し、くだらない人が言っている意見をノイズとして取り除き、有効な意見の最大公約数を計算する。
・・・飛躍的な進歩を遂げるのだろう。

でも、市場の冷徹な原則は差別化であり、儲かる人の反対側には損する人がいるということ。
どんなAI時代が来ても、この原則は変わらない・・・市場は売る人と買う人がいて成り立つものだからだ。


企業不祥事とバカの連鎖

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日本企業の不祥事が続いている。
不正会計の東芝、検査データ改ざんの複数の自動車会社や鉄鋼会社、古くは、食品の産地偽装、損失隠しのオリンパス、耐震偽装の建設会社、損失飛ばしの山一証券・・・きりがない。
株式運用では企業不祥事による株価下落がパフォーマンスを大きく棄損させることも多く、ファンドマネージャーは細心の注意を払ってリサーチしている。
しかし、企業が本気で隠している「不都合な事実」を見つけるのは不可能に近い。
しかも、日本企業では組織が個人に優先するため、いかに正義感がありコンプラ意識の高い人でも組織の論理に歪められてしまう。
これは企業だけでなく、財務省のような官僚組織も日大みたいな大学組織も同じで、空気で不正をしてしまうから、外部からはほとんど見抜けない。

でも、ワシの経験上、企業不祥事が出てきやすい企業には二つの法則がある。
一つは「バカの連鎖」の法則だ。
無能な上司は無能な部下を選ぶ傾向が高く、一旦、無能な上司が生まれると次々とより無能な部下が登用されていくという「バカの連鎖」が続くという経験則だ。
バカな上司は自分の無能さがはっきりするような事態を必ず避けようとする。
だから優秀な部下が後継となり業績を急向上させるのを嫌い、後継者に自分より優秀な部下は選ばない傾向がみられる。
これを続けると、経営は劣化を続け劣化を隠すため、様々な不正や粉飾の動機になってしまう。

もう一つは「黒い秘密の共有」の法則だ。
これはさらに深刻で、古くは山一証券の不正、オリンパスの損失隠しでも見られた。
上司は自分のミスという秘密を後継者になる部下だけに伝え、秘密を守ることを条件に次ぎの後継者に指名する。
秘密を守った者だけが次の後継になり出世階段を上がっていくわけで、そこには圧倒的な実績があるかどうか、優秀かどうか、コンプラ意識が高いか、正義感が強いか、などは全く関係ない。
こうした後継者選びを続けていくと、不正やミスを隠すことはできるが、無能な経営者が長期にわたって君臨するので経営は大きく劣化せざるをえない。

この二つの法則をワシは意識してリサーチするようにしていた。
もっと優秀な人材がいるのに何故この人が社長になったのだろう???とか、利益もたいして上げていない部門から次々と社長が出てくるのはなんでだろう???とか・・・社員が本命と見ている人が社長にならなかったのはなぜ???とか、なんの実績もない人が突然社長になったのはなぜ???などなど・・・ワシャ、小さな疑問が出てきた時は一応要注意企業と思うことにしている。
もちろん、それだけで不祥事企業を避けることはできない。
でも、こうしたちょっとした感覚が株のリサーチには重要かもしれないと思うんじゃ。




日本は蚊帳の外でいいんです

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来週のシンガポールでの米朝会談に向けた動きが活発化している。
トランプは段階的な非核化を認める方向に、しかも北の非核化費用について10年216兆円というメチャクチャな金額が出てきた。
ポンペオ長官はアメリカ人の税金は使わないと明言、日韓中で全額負担しろと言う。
おそらく米朝間では非核化と費用負担の大枠での合意に向けた交渉になっているのだろう。

そんな緊迫した状況の中、一部のマスコミは北朝鮮をめぐる動きに日本政府が蚊帳の外にいるとして安倍批判が出てきた。
でも、ワシャ、今は蚊帳の外にいる方がいいと思うんじゃ。
核・ミサイル・拉致の包括的解決を目指す政府方針がかえって都合が良い結果をもたらすと見る。
「急いては事を仕損じる」という局面に見えるからだ。

3/18の記事で金正恩体制の維持/変更と軍事/非軍事アプローチという二つの軸で4つのシナリオを提示した。
そのうち、現在はシナリオ2、つまり、金正恩体制の維持と非軍事アプローチという一番穏健なシナリオにそって動いている。
しかし、今後の北朝鮮の国内状況により、シナリオ4、金正恩体制の変更と非軍事アプローチに代わっていく可能性が十分に残っている。
その場合、金正恩体制の崩壊となり、北朝鮮の一人当たりGDP700ドルという極貧国をどうするのか?という大問題が出てくる。
もし韓国と併合すれば、韓国の一人当たりGDP3万7000ドルが大きく減少することは間違いないし、韓国人が支払った税金の半分以上は北朝鮮に使われてしまうだろう。

今回の会談で、金正恩が非核化と交換で多額の経済支援を獲得できても、問題はその後の国内情勢にある。
それまで軍事独裁政権で反対派を暗殺したり公開処刑したり、国民を恐怖で支配する政策を取ってきた金正恩体制が変わることになるからだ。
膨大なお金を得て、しかも人権という人質を取れられることになる金正恩は、今までのような恐怖政治を続けることはできない。
公開処刑や粛清を続けたら、人権にうるさい先進国からの援助は打ち切りになるからだ。
となると、国民のそれまでの不満が一気に爆発するのは目に見えている。
「強権的独裁者の末路」を5/9に書いたが、強権的独裁者は誰一人としてまともな最期を迎えていない。
金正恩も他の強権的独裁者と同じ末路をたどることになろう。

日本が能動的に北朝鮮に関わるのは、北朝鮮の国内情勢を見てからでも十分に間に合う。
それまでは、米・韓と密接な関係を維持するだけでいいのではないかと思う。
北朝鮮の新体制が決まってからでも、多くの経済支援をすれば拉致問題も解決することができる。
それまでは「日本は蚊帳の外にいる方がいい」。


α(アルファ)とβ(ベータ)の話(2 α戦略)

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前回から、α(アルファ)とβ(ベータ)の話を始めた。
αとは価格変動のうち個別要因で動く部分であり、βとは株価指数に連動して動く部分のことだ。
このαやβが資産運用にどう役立つのか、よく分からんという人も多いと思う。
そこで今回からαを使ったα戦略、βを使ったβ戦略の話をしていきたい。

αとβを分離すれば、いろいろな使い方やおもしろいポジションができる。
たとえば、βをNYダウにして、αを日本輸出株にすると、アメリカの景気が良ければNYダウが上昇し、さらにアメリカの景気に影響される輸出株が上昇するので、二重のリターンを受け取ることができる。
この戦略のポジションは、日本の輸出株ロング/日本内需株ショート、さらにNYダウETFのロングという組み合わせになる。
輸出株のロングショートは、業種別ETFを使えば作れる。

まずはα戦略の基本から始めよう。
αは市場に連動しない固有のリターンであり、市場が上がろうが下がろうが全く関係なく、リターンを上げられる絶対リターン(absolute return)戦略である。
その最も基本的な戦略はペアトレードと呼ばれるもので、この詳細を見てみよう。
ペアトレードは2つの個別銘柄の買い(ロング)と空売り(ショート)の組み合わせだ。
株式Aと株式Bとすると・・・
まず第一に株式AとBのそれぞれの株式指数連動部分を考える。
株価指数ウェート(時価総額/指数の時価総額)を見て、だいたい同じような比率の株式Aと株式Bを選ぶ。
株価指数ウェートがあまりに違うと、株価指数が上昇/下降する時に値動きの違いがでてしまい、それがパフォーマンスに影響してしまう。
さらにβ値もあまりに違う場合は考慮しなければならない。
株式Aのβ値が1 株式Bのβ値が0.5ならば、株式Bのポジションを2倍までは必要でないにしても増やさないと株価指数の影響を中立化できない。
株式Aと株式Bの株価指数連動部分を同じぐらいにして売りと買いポジションで相殺することがペアトレード成功の極意だ。
そして残っている部分がαで、このペアトレードの結果、β部分が相殺され、純粋にαだけのリターンを取り出すことができる。

ペアトレードのリターンを決めるのはαで、何によってαを作り出すのかを考えなければなかない。
一つは統計的に過去の連動性の高いペアを考える。
たとえば、同じ業種で同じビジネス環境にある2つの銘柄・・・鹿島建設と大成建設、ソニーとパナソニック、新日鉄とJFE、ドコモとKDDI、などなど・・・
そのうち相対的に安い銘柄を買い、高い銘柄を売るという理屈だ。
2つ目はファンダメンタルのよる違いを考える。
高成長株をロングに、停滞株をショートにするなどなど・・・
3つ目はバリュエーションの違いを考える。
PERやPBRの割安株をロングに、割高株をショートにするなどなど・・・

このあたりがアイデア勝負で一番おもしろいところだが・・・・
実際にペアトレードを運用すると、かなり市場に合わせた臨機応変な対応が必要とされる場面が多いので注意が必要だ。
最悪の場合は、いわゆる「股裂き」という状態で、ショート銘柄が上昇し/ロング銘柄が下落するという事態だ。
これは損失が急速に増えてしまう。
ペアトレードは「股裂き」に注意。




株山人が自転車で転倒

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昨日、6月3日(日)、株山人は多摩川サイクルロードでトレーニング中、子供をよけようとして砂利の車輪を取られ転倒。
株山人は数か所の擦り傷を負ったが、子供は無傷だった。
コメント「爺になると反射神経が鈍くなり危険が増える。皆さんも気を付けてください。でも、子供が大丈夫で良かった。」

本日は治療に専念するため、いつもの記事はお休みします。








リートの分散投資を考える(1)

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素人の不動産投資というコーナーで、ワンルームマンション投資とリート投資を比較して採算、コスト、税金など様々な視点から考えてきた。
また、素人が陥りやすい不動産トラブルを「かぼちゃの馬車」を例に考えてきた。
その中でサブリースのからくりや不動産詐欺的な仕組みなどを取りあげてきた。
そして総合して言えるのは素人にはリートの方が向いているのではないかということだ。
そこで今回から新しい不動産編として、リートの分散投資を深く考えてみたいのじゃ。

まずはリート投資の王道としてオフィスリートを考えてみよう。
都心部の巨大なオフィスビルに投資をするなんて、素人が自分ではできない。
仮に何十億円という十分な資金があっても、投資物件を購入することはほぼ不可能だ。
都心部の再開発プロジェクトをリードする不動産開発会社は、完工後、次のプロジェクトに投資するため、部分的にオフィスビルの持ち分を売却しキャッシュを確保する。
そのため、関連する会社やリートに売却する例が多い。
リートによっては開発会社と優先取得契約をしている場合もみられる。
したがって、都心部の巨大オフィスビル(超優良物件)に投資するには、保有会社の株式を買うか保有しているリートを買って間接的に保有する方法はしかない。

オフィスリートの投資判断するのに、資産内容(エリア、含み益、稼働率など)、財務状態(LTV、格付け、金利、残存年数など)、分配金利回り(分配金/時価)、NAV倍率(NAV/時価)などの視点がある。
でも、ワシが最も重視しているのはパイプライン(今後取得可能なオフィス物件)だ。
リートにはスポンサーがいて、それが将来の物件をリートに紹介する。
優先権を設定している場合もあるが、資本関係で物件を紹介するケースもある。
たとえば、NBF(8951)なら三井不動産が、JRE(8952)なら三菱地所が、その他、東急、オリックス、丸紅、三菱商事、森ビルなどがリートのスポンサーになっている。
都心の不動産市場はかなりブームになってきているので、強い不動産開発力を持つスポンサーとの強いつながりが将来の優良物件の取得のカギになる。
そうした意味で、オフィスリートの第一の選択条件がパイプラインなのだ。

この視点からは、NBF(8951)、JRE(8952)、森ヒルズ(3234)、オリックス(8954)、MCUB‐midcity(3227)などが対象として絞り込める。
次回はさらに詳細を見てみよう。





α(アルファ)とβ(ベータ)の話(1)

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資産運用の現場で、ごくごく日常的に使われる言葉がα(アルファ)とβ(ベータ)だ。
この二つの言葉があることで日常会話がすごく簡単にスムーズになる。
一般には馴染みがない言葉かも知れないが、この二つの言葉を理解することで資産運用の世界をより簡単に表現できる。

株式投資を少しでも経験している人は直感的に理解できると思うが・・・
個別銘柄の株価の動きは、市場全体の動きに影響される部分と、個別の材料で動く部分がある。
例えば、日経平均やTOPIXという株価指数が大きく上昇している時は、多くの銘柄の株価も上昇している。
逆に株価指数が大きく下落している時は、個別の下落銘柄数が1000銘柄を越えるような全面安の状態になることが多い。
・・・こんな経験をした人も多いと思う。
これは東証一部の個別銘柄のリターンと東証指数(TOPIX)との連動性が高いということだ。

と同時に個別の決算情報やニュースなどで株価が大きく動くこともある。
大幅な利益の増額修正など、ニュースのインパクトが大きければ大きいほど、市場の動きと関係なく株価が大きく動く。
つまり、個別銘柄の動きは、市場と関係なく動く部分と市場に連れて動く部分があり、この市場に関係ない固有部分をα(アルファ)と呼び、市場との連動部分をβ(ベータ)と呼ぶ。
個別銘柄のパフォーマンスは、株価指数の動き×βに固有の動きであるαを足したものになる。
例えば、過去一年でTOPIXが10%上昇し、株式Aが12%上昇したとする。
この株式Aのβ値が0.9とすると、α値は3%になる。
複数の銘柄を組み入れた分散ポートフォリオの場合、βは1に近づく(市場と連動性が高い)ので、αはポートフォリオのリターンから市場のリターンを引いたもの、つまり株価指数に対する超過収益になる。

このαとβをどう使うかが資産運用の大きなカギになるわけだ。
次回からこのαとβの話を進めていきたい。




投信のコストを考える(3 信託報酬続き)

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日本の投信のコストが高いと言われているが、やっぱり高い。
今までみてきたように、最初に投信を買うと販売手数料がかかる、しかもアクティブ投信なら3%もかかる。
信託報酬もアクティブ投信なら1.5%から1.8%もかかる。
投信を買った最初の1年間で合計4.5%から4.8%もかかり、プラスのリターンを出すのが難しい。
これは誰でも知っている事実だが、これを覚悟して投信を買うのならば、①アクティブ投信は長期で保有する、②ファンドマネージャーの腕を見て買う、③その時々の流行を追わない、などの投資原則が必要になるが、ここでは投信のコストにもう少し焦点を当ててみたい。

日本の投信の高いコストは投信販売会社(証券会社、銀行など)が主導しているため、自分たちの利益が投資家の利益よりも優先してしまうことが根本的な原因だ。
販売会社のサイドから見ると、投信は3度おいしいビジネスだ。
まず、第一にアクティブ投信を販売すれば、販売手数料として3%近い収益が上がること。
次に、アクティブ投信に銘柄を組入れる時、証券会社は運用会社から買い注文をもらえ、売買手数料を稼げること。
三番目は、年間1.5%から1.8%の信託報酬の一部を販売会社が受け取ることができえること。
1回投信を売れば3度おいしい収益をもらえるので、証券会社の収益の柱の一つになっている。
となると、高い手数料に批判があっても、どの証券会社もこの収益の柱を手放そうとはしない。

さらにエグイのが「ファンド・オブ・ファンズ」という「投信を買う投信」だ。
今流行りのファンド・ラップなどがこの分類に入るが、投信に分散投資し安定的な高リターンを得ると宣伝されているものだ。
ひと昔、海外でファンド・オブ・ヘッジ・ファンドというのが流行った。
ヘッジファンドは高リスク/高リターンの運用をするので、一つのヘッジファンドに全額投資するより複数のヘッジファンドに分散投資した方が良いだろうということで人気になった。
しかし日本では、海外にあったラップ口座とこのファンド・オブ・ファンズが合体してファンド・ラップという商品が出来上がってしまった。

本来ラップ口座はWRAP(包む)という語源で、預金から株式・債券・投信・金やコモディティなどなど、なんでも網羅的に買える便利な投資口座のことである。
しかも一定に管理料を払えば、手数料なしで様々な金融商品を買うことができる、お得な口座でもある。
しかし、業界の垣根の高い日本では網羅的に金融商品を扱うのが困難で、単に「投信を買う投信」として導入されてしまった。
しかも全然、お得ではないラップになってしまった。
なぜなら、組み入れる投信の手数料(信託報酬など)はそのままで、それに加えてラップ口座全体の管理料が2%程度かかるからだ。
これは投資家から見れば手数料の二重取りに見える。
ただし、投信の入れ替え時の販売手数料がかからないというメリットはある。
でも、信託報酬と口座管理料の二重コストが年4%近くなり、余程腕のいいファンドマネージャーでないとプラスを出せない。
並みのファンドマネージャーではコストを上回るリターンが上がらないだろう・・・年4%のコストはそれほど重いのだ。

では、コストの安いインデックス投信ばかりでよいかというとそうでもない。
「安かろう悪かろう」の法則は生きているからだ。
問題はコストが高くてもリターンをきっちり出す良い投信をどうやって選ぶかじゃ。
次回はこのあたりの話をしてみたい。



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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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