
オマーンはペルシャ湾の出口と言うよりインド洋に開かれたと言った方がいい、アラビア半島の先っぽにある国だ。
アラビア半島の国というと広大な砂漠と砂嵐という印象だが、オマーンは他のアラビア半島の国と大きな違いがある。
それは山があるということだ。
だだっ広い砂漠の国ではなく、険しい山でサウジアラビアと区切られ、反対側はインド洋という大海原で自然の要塞のように守られている。
そのせいかオマーン人はおっとりした感じで、普通のイスラムとはちょっと違う独自の文化を持っている。
マスカット空港に着くと、まず眼に入るのがオマーン人の円筒形の帽子だ。
多くの中東国でみられる、頭に布をかぶり黒い輪で頭に固定するというスタイルとは明らかに異なる。
リャド空港やクウェート空港のような緊張感のある空気はなく、南国のリゾートに来たような妙な感覚にとらわれる。
なんか、おっとりした人々とリゾート感覚でホッとするのがマスカット空港だ。
入国ビザが必要だが、ドルやユーロで3000円ぐらいを現地で払えばそれで終わり、誰でも簡単に入国できる。
いつもホテルはグランドハイヤットだが、このホテルは古い伝統的な低層の建物でインド洋に面しているので、さらに浜辺のリゾート感覚が増してくる。
朝食は屋外のテラスでのブッフェスタイルだが、インド洋の大海原を見ながらゆっくり朝のコーヒーを飲むと仕事で来ていることさえ忘れてしまいそうになる。
それほどリラックスできる場所は、常に緊張感のある中東ではめずらしい。
カーブース国王のもとで政治はきわめて安定しており、治安も他の中東の国よりずっと良い。
そのオマーンの国家ファンドがSGRF(ステート・ジェネラル・リザーブ・ファンド)で、オマーン財務省直轄の運用機関だ。
原油や天然ガスは産出されているが規模は小さくGDPはおよそ600億ドルと世界70位水準で、当然国家ファンドの規模も2-3兆円ぐらいと推定される。
いつもダイレクター氏がミーティングに出てきて、マーケット状況から日本の投資家動向、市場見通し、推奨運用プロダクトなどの説明をすると、非常に熱心に聞いてくれる。
質問も多く議論は活発だが、ADIAやKIAなどと比べ洗練された投資家という印象はない。
でも、非常に感じの良い人で知識をどん欲に吸収したいという意欲がいつも感じられる。
現在の運用は株式よりも債券中心で安全指向、株式についてもグローバルインデックス運用が中心でリスクを抑制する運用方針なのだろう。
グローバルな新興国ファンドや社債を含めむグローバル債券ファンドが議論になった。
アクティブ運用は当時やっていない様子だったが、リターン水準を引き上げたいという考えもあって検討をしているというレベル。
オマーンだけあって安定的なグローバル運用を中心に着実な運用をしているという印象だった。
ちなみに首都マスカットで葡萄のマスカットが取れるわけではない。