株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
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2018年04月

素人の不動産投資(7 空室率)

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前回の「かぼちゃの馬車」の話の続きだが、スマートデイズの行き詰まりは女性専用シェアハウスの空室が埋まらなかったことも大きな原因の一つじゃった。
今回は不動産賃貸の問題として空室率を考えてみたい。
単に「かぼちゃの馬車」だけではなく、ワンルームマンション投資の一つの大きなリスクでもあり考えておかなくてはならない問題じゃ。

ここ数年貸家(アパート、賃貸マンション)の建築は一種のブームで、住宅着工(国交省)によると、平成26年度から持ち家や分譲を大きく上回り、28年度、29年度は40万個を超えるハイペースだ。
これで全体の住宅着工90万個(年率)の半分を貸家が占めていることになる。
長期の金融緩和のもと、不労所得を得るため、あるいは老後の生活のために賃貸経営することがブームだったことを反映したものだろう。
「ブームはバーストする」とはジョージソロスの言葉だが、ブームにあるからこそ今取り上げる必要がある問題だろう。

うちの近所でも次から次と賃貸マンションが建築され、あっという間に大通りの両側は中高層マンションだらけになってしまった。
駅前の再開発も進み、40-50建てのマンションが4棟も建築中だ。
これだけのブームの反面、人口の高齢化が進み、人口が減少局面に入る、今後状況はさらに悪化の一途をたどると誰もが思っている。
となると、賃貸マンションでも顧客の取り合い、顧客獲得競争が激化していくのは間違いない。

空室率は至る所で増加してくと思われるが、特に「かぼちゃの馬車」で問題になった間取り(共有部分のリビングが小さい、風呂に湯船がない、など)もあるし、駅からのロケーションもあるだろうし、いろんな条件により空室率が急速に上がっていくことが予想される。
そもそも駅から近いなど立地がよく、魅力的な間取り(ロフトが付いているとかキッチンが使いやすいとか・・・)で、コンビニが近い・・・借り手が簡単につくような条件も賃貸物件はそう多くない。
しかも、次ぎから次ぎに競合となる新築賃貸物件が登場してくる。
ちょっと前に建てられた賃貸物件はすぐに競争力を失ってしまう状況だ。

そんな賃貸市場で勝ち残るには入居者の好みの変化や近隣の状況を常にウオッチしていくビジネスマインドが必要だろう。
残念ながらスマートデイズは不動産業者でありながらこのビジネスマインドに欠けていたとしか思えない。
業者でさえ難しいわけで素人の不動産投資としては難易度がどんどん上がってきているように感じるのはワシだけだろうか?



北朝鮮リスクを考える(4 南北首脳会談)

昨日、南北首脳会談が行われた。
過剰な演出と表面的で中身の見えない、計算されたセレモニー会談で、とても韓国人らしい「中身より対面重視」の会談だった。
もともと韓国人は人前では対面にこだわり、見た目を重視する傾向がある(まあ、日本人も似たようなものかも)。
だから、プチ整形はあたりまえの国だ。

共同宣言で、朝鮮半島の非核化と朝鮮戦争の終結が謳われた。
しかしその中身は全く見えていない。
前回の北朝鮮リスクを考える(3)で、①北と米韓日の非核化ではニュアンスの違いがあり、ここを再定義しないと基本的なズレが残ってしまう、②平和協定と北の経済支援がパッケージになり、当事者の両面での合意が必要になる、と書いた。
この2点に全く触れられておらず、今後、ホントに非核化と平和協定が進むのかわからん。

金正恩はしきりに朝鮮民族の統一という話をしていたが、全く現実感がない。
前々回の北朝鮮リスクを考える(2)で書いたが、北の一人当たりGDPはわずか700ドルと推定されている一方、韓国は3万7000ドルだ。
この二国が統一したら、合計人口7600万人(韓国5100万人、北2500万人)で、単純に計算すると一人当たり2万5000ドルと、韓国の一人当たりGDPは現在の3分の2程度になる。
悪影響は統一ドイツの比ではなく、統一朝鮮は貧乏国になりさがるのが目に見えている。
そして、韓国人が払った税金の半分は北朝鮮人が使うことになる。
そんな状況を韓国人はガマンできるのだろうか?
とにかく朝鮮民族の統一が情緒的に取り上げられすぎている。
まあ、金正恩は韓国人の税金で自分がいい生活ができるとほくそ笑んでいるだろう。
南北分断の60年はこれほどの南北格差を生み出してしまったんじゃ。
元に戻れないほどの厳しい現実を直視しなければならない。

いずれにしろ、今回の南北首脳会談はムンジェインの役者が目立っただけの会談だった。
役者やのう、ムンジェイン。
次の役者、トランプの米朝会談での進展に期待したい。




実戦的バリュエーションの話(3 PBR)

前回のPERの話に続き、今回はPBRを取り上げてみたい。
Pはプライス(株価)、Bはブックバリューだが、このBが少しややっこしい。
BはBOOKで普通は「本」だがこの場合は「帳簿」で、ブックバリューは帳簿上の価値という意味になる。
帳簿であるバランスシートをみると、左側に資産と右側に債務と自己資本が記載されている。
ブックバリューは企業価値であり、資産から債務を差し引いた純資産であり、バランスシートの右側の自己資本である。
その大きさ金額は右側の自己資本額で表されるが、その中身は左側の資産にありよく吟味しなければならない。
単に株価(P)を一株自己資本(B)で割ってPBR何倍かを出すこと自体にはたいした意味がない。
重要なのは資産価値の中身だからだ。

バランスシートの左側に注目すると、流動資産(現金や保有短期証券、営業上の売掛金や買掛金など)、その下に固定資産(土地や建物、無形資産、投資有価証券その他)があり、この固定資産の中身が重要なのだ。
まず、土地や建物は簿価で表示されているため、現実の価値(時価)とは差がある。
土地は鑑定士の試算が必要になるが路線価でおよその推計はできるので時価評価に修正する。
ブックバリューに時価評価(含み益)を加えたものをネットアセットバリュー(NAV)という。
次に、ネットアセットバリュー(NAV)と生産額や売上額と比べて、資産がどのぐらいの生産(売上げ)を生み出しているかを見る。
そして無形資産(ソフトウェア、のれん、特許権など)だが、ここの分析はかなり専門的になってしまい、個人投資家には難しいだろう。

そこでワシが個人投資家にすすめるのは、逆にダメなところを探し引き算することじゃ。
稼働率の低い無駄な設備、利益をあげていない有休土地などがあるかをチェックしそれが多い会社を避ける。
これなら簡単にできるし、これだけでも投資効率が違ってくる。
利益を上げていない無駄な資産が多い会社のPBRはずっと低迷し続ける可能性が高く、バリュートラップにはまってしまう可能性があるからじゃ。

PBRを使った投資では、まず、自己資本(B)に時価評価を加えたネットアセットバリュー(NAV)を推計し、株価(P)をNAVで割ることで修正PBRを出す。
そして各社のPBRを比較して割安は銘柄を見つけ出す。
次に資産の中身を吟味する。
いくらPBRが安くでも資産の中身が悪い場合は問題が多く投資にはならない。
ここまではPBR投資する場合、最低やらなければならないことだ。

時価評価したネットアセットバリュー(NAV)PBR、資産のクオリティ(中身の分析)、それに加え、もっと重要なことがある。
次回、取り上げたい。



田舎に家を持つ(9 外食事情)

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田舎暮らしの費用について書いておる。
衣・食・住の田舎暮らしコストのうち、まず食費じゃ。
前回の食費関係のコストに続き、今回は北杜市清里周辺の外食事情を取り上げてみたい。

田舎にはその土地ならではの、その土地にしかない食材や雰囲気や景観などを持つ圧倒的に存在感がある食事処がある。
ワシは北杜市の圧倒的な存在感のある田舎メシとして3つ挙げたい。
まずは、仙人小屋。
始めて行ったときは夕暮れだった。
薄暗く曲がりくねった道をどんどん走ってくと、掘っ立て小屋のような建物が見つかった。
それが仙人小屋だが、夕方5時ぐらいだったのにすでに閉店していた。
その帰り道、突然、何かが出てきたと思ったら、なんと野生のシカだった。
そう、仙人小屋は野生のシカ、クマ、きのこ、山菜料理の専門店だ。
仙人小屋のご主人が自分で猟をしたり採ってきたりした野生の肉や山菜を自分で料理して出してくれる。
だから、時期によって材料が変わり、料理も変わる。
シカはけっこう通年であるようだけど、きのこは秋がいい。
ご主人が山の中で朝採ってくるきのこの素焼きには、運がよければマツタケがたくさん混じる。
冬にはクマ料理がメインになる。

次はまきばレストラン。
ここは料理はまあ普通に洋食が中心の田舎レストランだが、その眺望はホントに素晴らしい。
晴れた日に行くのを、ワシャ、勧めるな。
まきば公園という山梨県の施設で、大きな八ヶ岳牧場の他、動物と触れ合える場所もある。
その広い敷地にレストランがあるのだが、富士山や南アルプスだけでなく、金峰山、丹沢・・・遠く山々が存在感を持ってキラキラしているのが見える。
この眺望を食事しながら楽しめるのが素晴らしい。

そして3つ目は中村農場。
養鶏場が本業で、様々な種類の鶏肉や卵の小売り店と、それに附属の食事処を経営しいている。
養鶏場から直接仕入れた様々な部位の鶏肉が美味しいし、新鮮な卵も黄身の色が濃い。
食事処では親子丼が人気だが、卵かけごはんも濃厚な味わいで人気だ。
チキンかつは大きく、新鮮なので肉が柔らかいのに繊維がしっかりしていて噛み応えがある。
ここの卵はMorimotoというイタリアンレストランのカルボナーラをオーダーすると食べられる。
見るからに濃い色をしたカルボナーラで、濃厚でワシがやみ付きになった一品だ。

しかし、清里の夜が早く夕方には閉まってしまう店が多い。
仙人小屋もまきばレストランも夜は閉店している。
そもそも車でしか行けない場所が多く、運転する人は酒を飲めない。
運転代行か、車を置いてタクシー帰りかという選択になるがやっぱり面倒くさい。
だから夜は全然ダメで、みんな家で夕食を食べる。
だからワシも夜は家で自炊するのが普通だ。
東京みたいに飲み歩く楽しみないのが田舎暮らしの最大の欠点じゃ。









北朝鮮リスクを考える(3)

3/18、北朝鮮リスクを考える(2)を書いてから1か月以上経過し、北と南の首脳会談、さらに米朝首脳会談が進みそうな気配だ。
前回2つの軸(金正恩体制の維持OR崩壊、非軍事的OR軍事的アプローチ)で4つのシナリオを提示し、シナリオ2(金正恩体制維持+非軍事)の確率が50%とした。
現在、シナリオ2にそって動いているように見える。
このシナリオの確率がもう少し上昇し、70%程度になっているかもしれない。

しかし、まだまだ様々な隔たりが残っている。
一つは非核化だ。
北は核とミサイル実験を停止すると発表したが、問題の核を廃棄するとは全く言っていない。

米韓日は完全で不可逆的で検証可能な非核化を求めており、まだまだ両者のニュアンスがそうとう異なっている。
非核化をきちんと定義し、具体的な非核化プロセスを明確にし、実行していくという合意がなされるかは依然として不透明だ。
もう一つは
平和条約の締結だ。
おそらく平和条約と北への経済支援はパッケージになっていると思われ、どう朝鮮戦争を終わらせ、誰がどういう経済支援をするのかも見えていない。
朝鮮戦争の休戦協定は北と中国と連合国の間で締結されているが、平和条約は誰と誰の間で締結されるのか、つまり、誰が当事者なのかも見えていない。
なんとか上手くいってほしいとは思うけど・・・

ベルリンの壁が崩壊したとき、「平和の配当」が話題になった。
朝鮮半島の和平も同じように平和の配当をもたらすだろうか?
日本にとってはミサイルの脅威が減るだけでも平和の配当かもしれないが、対北では基本的に平和の配当は非常に少ない。
平和の配当には、軍事費の削減(税金を他に使えるプラス)、経済交流(北の資源を輸入し食糧や生活物資を輸出する)、北の廉価な労働力(労働集約的製品を安く生産できる)などが考えてれる。
しかし、軍事費を減らせるかというと北の脅威が減っても中国の脅威があるので簡単には減らせない。
経済交流は考えられるが相手は金正恩であり相当制限されるだろう。
安い労働力も金正恩体制下で工場などへ直接投資するかは微妙な判断だろう。
総合して日本にとって平和の配当は、ミサイルからの安心ぐらいで非常に小さい。
逆にトランプと金正恩が交渉決裂したら・・・のリスクの方がずっと大きい。




世界最大の年金ファンドGPIF

この「世界の巨大投資家」のコーナーでは海外の巨大政府ファンドを主に取り上げてきた。
日本にも世界最大の年金ファンドがあるので、国内に目を向けてみよう。
サラリーマンの年金である厚生年金の運用を手掛けている年金ファンドだ。
ガバメント・ペンション・インベストメント・ファンドの頭文字を取ってGPIF(ジーピフ)と呼ばれている。
運用資産が140兆円以上あり、年金運用機関としては世界最大である。

日本の年金制度は国民全員が入っている基礎年金(国民年金)とサラリーマンが主として入る厚生年金、企業年金(規約型)や厚生年金基金、確定拠出年金、さらに公務員が入る共済年金に大別される。
基礎年金(国民年金)が一階部分で、その上に厚生年金(サラリーマン)と共済年金(公務員)の二階建て部分があり、これが年金制度の根幹である。
そのうえ(三階建て部分)に企業年金や厚生年金基金があり、それとは別に確定拠出年金(企業型と個人型)があるというやや複雑な制度である。

厚生年金を運用するのがGPIFで、共済年金を運用するのは国共済(国家公務員)、地共連と全国市町村(地方公務員)、警察共済(警察官)などである。
基本的に日本の年金運用は人口の高齢化で年金支払いが急増してするため運用残高が伸びないが、GPIFは10年以上前から厚生年金基金の代行返上を受け運用規模を拡大していきた。
代行返上とは厚生年金基金が一緒に運用してきた厚生年金の資金をGPIFに返すことで、改正厚生年金保険法のもと、多くの基金が解散し代行返上した。
この結果、GPIFの資金がどんどん増加し、GPIFが世界最大の年金に成長した理由じゃ。

アベノミクスの政治的な判断だが、債券運用の構成比を60%から40%に圧縮し、日本株を12%から25%に、外国株を同じく12%から25%に引き上げ、GPIFが積極的に株を買い出したんじゃ。
同じく黒田日銀総裁が異次元の量的緩和を開始し日銀がETFを買い出した。
アベノミクス相場ではこのGPIFと日銀が日本の株式市場を大きく上昇させた最大の買い手であった。
したがってこのGPIFと日銀の買いがどうなるかは、海外投資家も含めての最大の関心事だ

GPIFの株式運用の八割は手数料の安いインデックスファンドで固められているので、運用成果はTOPIXなどのインデックスの動きで決まる。
一応、オルタナティブ、スマートベータ、ESGなど新しい運用手法や考え方を積極的に取り入れているが、それらのウェートが小さくパフォーマンスに大きな影響はない。
アクティブ運用を委託された運用会社は、ちょっとパフォーマンスが悪化するたびにGPIFのオフィスに呼び出され言い訳をしなければならない。
そんな状況下でインデックスを大きく上回る成果なんて上がらない。
市場全体が下がればGPIFのパフォーマンスは大きく悪化し、マスコミが大騒ぎし矢面に立つことになるのは明らかじゃな。
アベノミクスが逆回転し始めたら、市場にも大きなマイナス要因をなるので注意が必要だろう。
GPIFに過度の期待は禁物じゃ。









素人の不動産投資(6 かぼちゃの馬車)

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前回は景気・金利動向とリートのサブセクターの分散投資を取り上げた。
リートは不動産価値の減りにくい都心型オフィスリートを中心に、景気・金利動向によってサブセクターの配分を変えていくことでリスクを減らし、より高い分配金利回りを達成できる。
今回はワンルーム投資に話を戻したいのじゃが、最近話題の「かぼちゃの馬車」に不動産賃貸の様々なリスクが凝縮されているので、「かぼちゃの馬車」を例に不動産賃貸のリスクを考えてみたい。

「かぼちゃの馬車」の経過を簡単に振り返っておきたい。
「かぼちゃの馬車」は女性専用のシェアハウスで・・・
1、スマートデイズが頭金なしのシェアハウス投資を個人に勧誘し、スルガ銀行から1億円以上の借金させ、それで1棟の建物を建築し、シェアハウスのオーナーになる。
2、シェアハウスは30年間の家賃保証(サブリース)が付いていたが予定の入居者を集められず、スマートデイズはオーナーに支払う保証家賃と実際に受け取る家賃が逆ザヤになる。
3、スマートデイズが経営破たんし、オーナーは保証家賃を受け取れず、借金の金利・元本返済ができなくなる。
4、オーナーはシェアハウスを売却して融資返済し残額は自分の給料から返済していくか、スルガ銀行の融資(不十分な融資審査)を不適切として訴えるか(スマートデイズを訴えても経営破たんしている)。
5、最悪、オーナーは自己破産する。

まず問題と思うのは、個人にとっての借金額の大きさだ。
いくらスルガ銀行の審査を通っているとはいえ、自分の年収や財産状態からおのずと最大借金額はおよそ決まってくる。
いくらサブリースが付いていて融資の返済額以上の家賃収入があるとはいえ無謀だ。
1億円以上の借金というと、普通の会社員ならばおそらく年収の10倍以上で、昔からいわれている「借金は年収の5倍まで」をはるかに超えておる。
その人またはその両親などの財産状態にもよるけれど、普通のサラリーマンが1億円以上の借金(金利2.5%で年間金利だけで250万円以上の支払い)というのは考えられない。
スルガ銀行の融資姿勢(銀行口座の改ざんやら不動産担保融資の甘さ)に問題があるにしても異常な借金額じゃ。
不労所得という甘言に欲をかきすぎたとしか思えない。

次にサブリースの問題。
現在、サブリースによる不動産賃貸は花盛りで、旭化成や大東建託など大手も普通に「30年一括借り上げ」の宣伝をしている。
大手なので安心感がありスマートデイズみたいなことにはならないだろうが、問題点は同じところにある。
それはサブリースには一定期間ごとに契約更新があり、そこで空室が増えているとなると賃料の引き下げがありえるし、賃料で合意できなければ契約解除の可能性もある。
30年一括とはいえ30年安心できるわけではない。
その時の状況により賃料は変わるし、場合によっては契約が解除になることもありえるのだ。
スマートデイズは当初予定した入居が集まらす、新規のシェアハウス契約を取ることで過去の契約家賃を支払うという自転車操業に陥っていた。
そうなると、この状態で30年保証家賃を払い続けるというのは不可能で、限界は誰の目にも明らかだ。

さらにサブリースの前提となる空室率(反対に入居率)が問題なのだ。
次回、この空室率の問題を考えてみたいのじゃな。










やさしい株式需給の話(1)

株式コメント欄を見ていると、普通に「売りが多く株価が下落」とか「買い超過で株価上昇」とかの表現が見られる。
でも、市場では売りと買いが出会って約定が出来上がるため、「売り株数=買い株数」は常に成立しているはずじゃ。
それでは売りが多いとか買い超過って一体何なのだろうか?

たとえば、外人投資家がある銘柄の大口買いを考えているとする。
まずは、それを現地の証券会社に「買いたい」と伝える。
すると、現地の証券マンは東京のエクイティ部に伝えて「時価の1%上」などの価格を出してもらう。
東京のポジション担当者は買いのインパクトや市場状態を考えて、買いだったら時価より上の価格、売りだったら時価より下の価格を提示するわけだ。
そして、この外人投資家が納得すれば、「時価より1%上」で約定する。
すると、この外人投資家には株式が譲渡され、東京のポジションに売り持ち(ショート)が発生する。
そして、東京のポジションで発生した売り持ち(ショート)を翌日以降の市場で買い戻すことになる。
この時、いつ、いくらで買うかは担当者の判断で、市場が上がると思えば即買い戻すし、市場が下がると思えば時間をかけて買い戻す。
いずれにしろ「時価から1%上」までで買い戻し完了すればトレード益が上がる。

市場では「売り株数=買い株数」が成立しているので、外人の大口買いで株価が上がるかどうかは別の話だ。
でも、こうした潜在需要(市場に出ていない)は間違いなく株価に影響するはずだ。
つまり、市場で見えている以外に株式取引が多く行われており、それらが潜在的な需給として株価に影響していくのだ。

市場では「売り株数=買い株数」が成立していても、これらの市場外での需給を含めれば大きく買い超過になっていたり、大きく売り超過になっていたりしている。
というか、現実には市場に出ている注文はほんの一部分にすぎない。
市場取引は氷山の一角であり、株式トレードするにはこのことをよく肝に銘じることが大切じゃ。
ワシが投資顧問会社で2兆円以上の日本株運用をしていた経験でも、買いたい株数(または売りたい株数)を全約定するのに数か月かかるという銘柄も多くあった。
巨額なバスケット取引(多くの銘柄を一度に取引する)を証券会社としても、証券会社の自己ポジションに吸収され市場にはあまり出てこない場合もあった。
個人投資家にはこうした潜在的な需給は見えにくいが、ある程度推測することはできる。
このあたりの話を中心に数回にわたって株式需給の話を取り上げていきたい




清里の桜

今年は桜の開花が予想より早く、ちぐはぐになってしまった。
東京の桜が満開のときは清里にいたし、山梨の桜が満開のときは東京にいた。
いつもなら、散歩しながら目黒川の桜を楽しむし、山梨にある桜の名所にも行く。
タイミングが最悪だった今年の桜だったが、最後に清里で桜を見ることができた。

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清里では今日あたりが満開だろう。
清里の春はゆっくりゆっくりと来る。
木々の枝にも芽がふくらんできた。
桜が終わると、木々の芽が一斉にふきだし、新緑の美しい時期をむかえる。
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山梨の桜の名所の一番は、山高神代桜。
樹齢2000年以上という老かいな桜で、全国的にもこの樹齢は珍しい。
しかし、もう葉桜になってしまった。
次は、眞原桜並木。
800メートル近い桜のトンネルが見られ、これも圧巻な景色だ。
多くの出店が出て去年ここで買った牛蒡はとても美味しかった。
そして、神田の大糸桜。
樹齢400年の、枝が垂れた桜の巨木で山梨の天然記念物だ。
今年はこれらの桜を全然見られなかった・・・残念。
清里の桜を見れたのがせめてもの救いだな。



財務省役人のうまい逃げ方

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大蔵役人(財務省)は昔からずっと逃げるのがうまい。
今回の森友問題で証人喚問された佐川氏。
証人喚問では「訴追の恐れ」があるとしてほとんどの質問に発言拒否したのが話題になった。
本人はその後検察から不起訴処分になり、「訴追の恐れ」がなくなった。
だったら、まともに話してくれと思うが、本人もマスコミも突っ込まない。
不起訴になってから証人喚問すれば逃げられなかったと思うが・・・結果、佐川さん、うまく逃げた。

セクハラ問題で辞任した福田氏。
このエラそうな態度は鼻持ちならない東大法学部そのもので、上から目線で女性記者に出てこい、出てこなければセクハラはなかったことにすると高圧的だ。
テレ朝の女性記者が名乗り出たが、その時にはすでに辞任したあと。
今のところ辞任のタイミングが素晴らしく、うまく逃げたと思っているだろう。
日本人はすぐに忘れる、ほとぼりがさめるまで待っていればいいというわけだ。
これがアメリカだったらmetooサイトがあり、われもわれもと名乗り出て、徹底的にやられる。
セクハラ訴訟の嵐で、どんな大物でも身ぐるみ剥がされる。
日本女性はそこまでしないだろうと思っているかも・・・結果、うまく逃げられる???

逃げ切るかどうかは、役人の大きな問題だ。
非があって処分となれば、退職金は減額されるしその後の天下りにも支障がでるかもしれないし、政治家とのパイプが切れれば美味しい話をもらえなくなる。
佐川さんは5000万円の退職金を、福田さんも8000万円の退職金を満額もらって逃げ切りたいところじゃろ。
マスコミに逃げ切りを許さずきっちり後始末をしてほしいと思っているのはワシだけだろうか?

昔の話じゃが、ノーパンしゃぶしゃぶ事件というのがあった。
当時の大蔵省の組織ぐるみの大型贈収賄事件だった。
大蔵接待がノーパンしゃぶしゃぶ屋で行われたため、象徴的にノーパンしゃぶしゃぶ事件と呼ばれている。
この時は大蔵次官がクビ、その他、停職をはじめ多くの処分が行われた、大蔵省解体につながる大事件だった。
しかし、時の次官はその後、政策投資銀の総裁をはじめ、官民のポストに次々と天下りし、退職後生活をおう歌した。
昔から大蔵役人は逃げ切り方がうまい。
ホントに感心する。



実戦的バリュエーションの話(2 低PER投資)

実戦的バリュエーションの話(1)のPERの話の続きじゃ。
前回書いたとおり、株価は利益×PER、株価は利益×人気でもあり、株価は利益と人気(PER)で決まるが、この人気(PER)というのはつかみどころが難しい。
いろいろな要因で人気が変化していくからだ。
今回はこのつかみどころの難しいPERをどう使って銘柄選択するかという話だ。

PERを使った銘柄選択は結局のところ、高いPERの銘柄(成長期待)を買うか、低いPERの銘柄(割安)を買うかの二つしかない。
そのうち、高いPERの銘柄を買うには、ビジネスモデルの検討、売上高の分析(2/23記 売上高の読み方)、さらにキャッシュフローの分析をやらなければならない。
企業の成長はトップラインである売上高がカギであり、その売上高の成長を確信するためには企業のビジネスモデルの検討はかかせない。
さらに成長企業は利益を伴っていないケースが多いので、必ず、キャッシュフローを見なければならない。そうしないと、資金繰り悪化などでひどい目に合うかもしれない。
このあたりの話は長くなるので、おいおいしていきたいと思うんじゃ。

ということで今回は不人気株(低いPER)を取り上げたい。
PERが低いのには、いくつかの理由が考えられる。
一つは業績の悪化局面で、この局面では利益の下方修正が遅れるのでその分PERは低くなる。
二つ目は地震や天災で被害を受けた場合とか何かの減損をかかえている場合などで、将来の損失を織り込んでPERは低下する。
三つ目は業種全体で成熟化し業績の伸び率低下が続いてる場合などで低いPERが続く。
これらは低PER銘柄の代表例だが、一番目、二番目のケースは表面的なPERの低下でこうした銘柄は避けるのが基本だ。

しかし、三つ目のケースは十分に投資価値がある場合もある。
もう十年以上たつので時効だと思うが、ワシ自身の不人気株の投資例があるので紹介したい。
それは日鉄ドラムという会社で、当時東証2部に上場していた。
ドラム缶という完全な成熟産業で、ライバルも少なく(当時川鉄コンテナーぐらいしかなかった)、成長性がないため、PERは10倍以下、PBRも1倍以下という不人気株だった。
しかし、業績は超安定していて景気に関係なく一定の利益を計上していたし、新日鉄の子会社で経営も安定していた。
市場での出来高も少なく、誰にも注目されることもなく株価は400円前後でずっと横這いで動きがなかった。

割安だと思ったワシは部下に指示して400円台での株集めを始めた。
当時、約20種類の運用戦略(裁定取引、オプション・先物、ロングショート、リターンリバーサル、クオンツ・・・などなど)を行っていたので、そっちが忙しく指示を出したことさえ忘れておった。
1年以上たったある日、上司から突然呼ばれた。
事業法人部から問合せが来ているという話で、四季報の上位株主に当社が入っているがどうしたのかというものだった。
すぐに四季報をめくり日鉄ドラムのページを見たら、たしかに上位株主に当社の名前があった。
事業法人の顧客である新日鉄が買収を心配しているというので、出向いて純投資であることを説明してその場を切り抜けた。
その後2007年に、新日鉄は子会社のガバナンス強化で日鉄ドラムを完全子会社化した。
文句をさんざん言われたが、子会社化の買戻し価格が900円台だったので投資としては成功だった。と同時にワシにとっては忘れられない不人気株投資の例となった。

成熟産業の高シェアを持つ銘柄はちゃんと調べると、投資チャンスの可能性もある。
不人気株への投資はこうした醍醐味がある。







田舎に家を持つ(8 田舎暮らしのコスト)

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こうして家ができ、現在、ひと月の半分ぐらいは田舎暮らしをしている。
田舎暮らしは安いという人もいるし、いやいやそんなことはないという人もいる。
もちろん、田舎といっても日本の田舎は広く、一概には言えないだろう。
ワシの住む山梨県北杜市について考えてみたい。

まず、「衣・食・住」のうち一番大切な「食」じゃ・・・・・
北杜市には全国的に有名な(店長がマイクをもって商品を解説する)食品スーパー「ひまわり」がある。ワシもよく利用するスーパーだが、地元の農家が作った作物を採れたてで販売しているところが消費者にウケている。
でも、価格的には安くはない。
東京のスーパーとそんなに変わらない感じじゃ。
もちろん、県外から輸送されている野菜・肉・その他は全く東京を同じか、輸送費が上乗せされているかもしれない。
東京と一番の違うところは野辺山の野菜が出回る5-6月から11月ぐらいまでの「びっくり市場」とか「ヤツレン」だな。
野辺山には野菜農家が多く、朝採れた野菜がびっくりするほど安い値段で販売されている。
大きなキャベツや白菜がまるごと100円程度だし、トマトやキュウリ、にんじんも袋にたくさん入っていて100円とか300円だ。
「びっくり市場」では地元で採れた大きな甘い桃が1個300円とか(東京だと1000円ぐらいするかも)で売られていてホントに「びっくり」する。
でも、これは桃の季節限定だが。

いずれにしてもここにいると季節感が重要なのがよくわかる。
旬な野菜はびっくりするほど安く、旬をはずれた野菜は逆に割高だからだ。
常に旬のものを買ったり食べたりすれば、けっこう割安な田舎暮らしができる。
こうした点をいろいろ考えて、1年間の食費は東京より若干安い程度だろうと思われる。

地元の外食は東京と全く変わらない。
そばはせいろで800円~天ぷらそばで1500円ぐらいで値段はほぼ一緒だろう。
でも、そば屋の個性が強く、同じ店はない。
だから、ワシャ、食べたいそばによって行く店を変えるようにしている。
たとえば、鳥そばなら草五庵、天ぷらなら月舎、鴨そばならさかさい、コシ強いせいろならやつこま、創作的なそばなら紬山荘、十割そばなら三分一・・・と決めている。
これらの店は車で15分程度に距離で、もう少し広げるともっと名店が増える。

でも意外なのはこのそば処の北杜市でもうどん一筋の店があることだ。
それがコシが強く、引き締まった、ホントに美味しいうどんを出してくれる。
そば処だからこそ、ホントに美味しいうどん屋しか残らなかったのだろうと思う。
「ちくら」とか「長八坊」とかじゃが、普通はそば屋に行くが、たまにどうしてもうどん屋に行きたくなるから不思議なものじゃ。

次回はもう少し北杜市の外食事情を考えてみたい。




素人の不動産投資(5 リートの分散投資)

前回述べたとおり、ワンルームマンション投資はリート(不動産投信)でいえばレジデンシャル(住宅)リートの、しかもクオリティの低いリートに集中投資しているのと同じで、ややリスクが高い投資といえる。
リート投資ならば数多くあるサブセクターに投資することで、もっとうまくリスク分散することができるからだ。
ということで、今回はサブセクターを使ってどうリスク分散するかを考えてみよう。

経済ファクターとして金利と景気、リートのサブセクターとしてオフィス、住宅、商業、物流、ホテルを想定して考えてみよう。

まず、金利との関係じゃが・・・
リートの資金源は投資家の払い込んだ資金と銀行からの借入金なので、基本的に金利の下落は借金の金利負担が減るのでプラスに働き、金利の上昇は金利負担の増加でマイナスとなる。
1)LTV(ローン・トウ・バリュー、借金/資産)の高いリートはさらに金利に影響されやすくなる。
LTVはほとんどのリートで30%から50%ぐらいだが、LTVを高めレバレッジをかけて分配金を高くする姿勢のリートは金利上昇に弱いので要注意だ。
2)有利子負債の残存年数も影響する。
金利低下時は、残存年数が短い方が借金の乗り換えで金利負担を軽減できるのでプラスだ。
逆に金利上昇時は残存年数の長いリートの方が強く、安心して保有できる。
3)高い格付けの優良リートは借入金利が低くく負担を有利だが、金利低下時では借入金利の低下幅が小さく(すでに借入金利が低いため)金利低下の効果が小さくでる。
そんな時は格付けの低いリートの方がよりプラスを得やすい。
オフィス・物流・ホテルなどのサブセクターにはLTVが低く(40%以下)格付けの高い(AA以上)というリートも多く、これらが金利に強いセクターといえる。

次に景気との関係じゃが・・・
景気が悪化すると、不動産の稼働率が下がり収益性が急速に落ちるというセクターは注意が必要。
たとえば、小売りは必需品中心の場合景気の影響は少ないが、商業リートの組入れられている大型ショッピングセンターなどは客足が遠のき収益性は下がる傾向もみられる。
物流もトラック輸送自体が景気によって影響されやすいので、稼働率の低下に注意が必要だ。
ただし、顧客が安定しているCRE(顧客企業と組んで物流倉庫を運営する)に強い物流リートは、景気に影響を受けにくいといえる。
ホテルリートの稼働率や部屋単価も景気の影響を受けるが、今なら外国からの旅行者数の方が大きな要因で、ホテルはインバウンド旅行者数を見ながら投資していくセクターだ。
オフィスリートも景気悪化すると空室率が上がりマイナスとなる。
しかし、都心の好立地にあるオフィスが多いリートは多少空室率が上がっても収益性は維持できるし、不動産価値もそれほど下がらない。

このように景気と金利の条件の変化により組入れリートを入れ替えていくことで、経済環境が悪化してもそれに耐えられるポートフォリオが作れるのじゃ。


シリアをめぐる米・露の戦い

ワシャ、中東地域に十数回出張し、アラビア半島やイラン、アゼルバイジャンと見てきたが、未だに何もわからん。
アラビアのロレンスを生んだ英国、セブンシスターズが油田で荒稼ぎした米国、さらにフランスなどの欧米人もおそらくわかっていなかったのだと思う。
歴史的にこの地域への欧米の介入はすべて失敗に終わったからだ。
最近でもキャンプデービットの合意、イラクの軍事介入、イランの核合意・・・歴代アメリカ大統領も大きな失敗を続けただけだった。

この地域の複雑さは三次元だ。
第一に宗教だが、同じイスラム教でも多くの派閥があり、その派閥争いが絶えない。
むしろ血縁関係の近い派閥ほど血を血であらう争いを繰り広げてきた。
今でもスンニ派とシーア派の争いが続くし、さらにアサド大統領のアラウィー派、12イマーム派などなど・・・多くの派閥が乱立し争っている状況は変わらない。
第二に民族だが、近代国家のネーションステートとは全く違い、英・仏が勝手に線引きして国家を作ったため民族が複雑に入り組んだ。
民族というより、部族中心の血縁社会という意味合いの方が強いかもしれない。
第三に歴史だが、「目には目を」の人たちで数百年前のうらみが脈々と若者に伝わっている生の歴史が強く影響している。
アラブ人がギャーギャーと大声で話している話題が数百年前の出来事だったりすることもよく経験する。
この宗教・民族(部族)・歴史の三次元構造をきちんと理解できる人をアラブ人以外ではほとんど見たことがない。

シリアはこの三次元の坩堝であり、国内情勢の複雑さに加えて米・露が後ろを突っつくという超複雑な国内情勢だ。
化学兵器を使ったケダモノと非難しミサイルをダマスカスに撃ち込んだが、おそらくトランプ大統領も失敗するだろう。
トランプは人権とか人道とか考える人ではないと思っていたが、急に人権派大統領となった。
このことにも違和感を覚えるが、国連の査察前に勝手に軍事行動を起こしたことも人権派としてはどうかと思う。
人権派の英・仏を巻き込んでリスク分散したものの、これで何かが変わるほどシリア情勢は簡単ではないし、だからといってグローバル市場に大きく影響するわけではないだろう。

残る問題は米・露の対立がどのぐらい拡大するかということだろう。
シリアでは「アラブの春」以降、独裁者アサドの反対勢力が台頭し内線が始まったが、この頃からずっとアサド=ロシア対民主勢力=アメリカという構図だった。
一時期ISが台頭したとき反ISで米・露が連携したこともあったが、何年もの間、基本的な構図は変わっていないし、当面の間、変わらないだろう。
今回のミサイル発射とこの刺々しい雰囲気がロシアから北朝鮮、中国などの独裁的非民主国への広がっていくとしたら、グローバル市場にとっても大きなリスクだ。
今回の米・露の戦いが次の北朝鮮をめぐる動きにどうつながるか注目しておきたい。




中国の巨大投資家(3)

同じように呼ばれているソブリンウェルスファンドでも、石油や天然ガスなど資源をもとにしたファンドと積み上がった外貨準備をもとにしたファンドでは大きな違いがある。
最大の違いは、資源型のファンドが石油や天然ガスの売却収入=国家の利益であるのに対して、外貨準備型のファンドは積み上がった外貨準備=国家の負債であることじゃ。

石油や天然ガスは地下から採掘するのにコストがかかるが、売却収入から採掘・販売コストを差し引いた巨額な利益が毎年毎年積み上がっていく。
だから、その利益をもとにしたファンドは安定的に着実に運用して国家の財産を増やしていくのが目的となる。
一部、サウジやノルウェーでは年間の国家予算に繰り入れられている場合もあるが、基本的には利益を積み上げたファンドであるので減ることはない。
原油価格が下がれば石油収入は減少するが、それは国家財産の伸びが鈍化するだけで減少するわけではないからだ。
サウジについては他の国と違い、SAMAが中央銀行であり国家財政とつながっているため、原油価格というより国家財政が赤字となるとその補填にSAMAの資金が使われる。

ところが、外貨準備となると話が全く違ってくる。
為替管理をしている、あるいはドルと自国通貨をペグ(対ドルレートをだいたい一定に維持する)しているアジアの国々に外貨準備がたまりやすい。
そのメカニズムは以前の書いたとおり、各国中央銀行は自国通貨を発行したり、政府証券を発行して自国通貨を調達し、為替市場でドル買い/自国通貨売りの介入をする。
したがって自国通貨や政府証券の発行という国家の負債があってこそ、外貨準備という国家の資産ができ上がるわけだ。
だから外貨準備をもとにした国家ファンドは国家の負債そのものなのだ。
特に中国は国家政策でいくらでも人民元レートを操作してくるので、外貨準備そのものに安定性はない。

習近平は世界第二位の経済大国として、一帯一路(中国中心の経済圏を拡大していく)、人民元の国際化(特にアジア地域での人民元の流通を促進する)、国内の市場開放(実質的に先進国を目指す)という経済的影響力の拡大を目指している。
規制が強い中国企業の海外投資をどうするのかはSAFEやCICにも大きく影響する。
2年ほど前、国内からの資本流出で中国の外貨準備が4兆ドルから3兆ドルに急減したことがあったが、外国企業の資本引き上げや中国企業の海外投資によって大きな変化はいつでも起こる可能性があるのじゃ。
そうした意味で、中国のSAFEやCICがグローバル市場で売り手になる時がくるかもしれない。




田舎に家を持つ(7 いよいよ着工)

ということで着工に入った。
いきなり地盤検査で土壌の強度が少し不足しているという結果になり、急きょ30本の杭を打つことになった。
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ちょっと余分に費用がかかったが、なんとか基礎工事を開始。
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1か月以上遅れて上棟し、その後は順調に工事が進む。
10月13日1








CR事務所の担当はよく現場の写真を送ってくれるので見に行く時間のない時も工事の進行状況がよくわかる。
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だんだん完成に近づく。
P1270273(12月1日)








着工から完成まで7か月、雪の降る冬を前にして完成。
P1270279(12月1日)









実戦的株価バリュエーションの話(1 PER)

バリュエーションには様々なタイプがあり、単純なPERやPBRからDCFなどややモデルチックなものと幅広い。
しかし、ワシャ、単純なPERとかPBRにこそわかりやすく実戦的な使い方があると思っているんじゃ。

まず、そのPERだが、話は超簡単。
株価を一株利益で割った、あるいは時価増額を利益総額で割っただけの指標だ。
これだけ簡単で単純な指標なのに意味するところが多くある。

基本的に株価は利益×PER、PERは人気みたいなもので難しく考える必要はない。
株価は利益と人気で決まる、つまり「ケインズの美人投票」のようなもの。
ケインズ先生は正しかったというわけだ。
でも、この人気がくせ者で、どういう訳で人気が出るのかをちゃんと考えなければならない。
美人といってもいろいろタイプがあるし・・・背が高いのか、鼻が高いのか、スレンダーなのか、ぽっちゃりなのか? 
どの美人に人気が集まるのかって簡単に判断できない。

そこの理屈付けだが、けっこう難しい。
まず、PERをひっくり返してみる。
利益/時価総額となり、何かに似ている・・・利息と元本の関係と同じだ。
時価総額を元手として事業を行い利益を得ることと、元本を投資し利息をもらうことは、同じような投資とリターンの関係だからだ。
利益/時価総額を益回りと呼び、利息/元本を金利(利回り)と呼ぶ。
だから、両者はゆるく連動する。
景気が良くなり利益が上がると金利も上がる・・・景気が悪くなり利益が下がると金利も下がる。
というわけで、もとに戻すとPERは金利と逆方向に動く。
金利が上がるとPERは下がるし、金利が下がるとPERは上がるのじゃ。
ただし最近の市場ではその関係はホントにゆるく、明確ではなくなってきた。

次に企業成長とPERだ。
過去5年の企業ごとの利益成長率と各企業のPERをプロットしてみる。
たしかに成長率の高い企業がPERも高い傾向は見られる。
アマゾンは別格としてもグーグル50倍台やファイスブック30倍台など成長企業のPERは高く、成長性とPERは関係しているように見える。
ただし、これは過去の成長率が高く成長期待が株価を押し上げていたのでPERも高かったという因果関係があるといえる。
しかし逆に現在のPERが高いから、今後5年間の成長率が高いとはいえない。
5年前のPERとその後5年間の利益成長率をプロットしてみたらほとんど関係が見られない。

また、時価総額を利益総額で割るということは、その会社を時価総額で買収した場合、何年間の利益で買収金額を回収できるかという意味になる。
早く回収できればできるほど買収が容易になるので、低いPERの企業は買収対象となりやすい。
また、投資から販売・利益回収までの長い事業サイクルもあれば、単に仕入れて販売するだけという短いサイクルもある。
住友鉱山の鹿児島で金が見つかった時は非常に高いPERになったことがあったが、事業利益を生むまでの期間が長く期待先行となったためだ。
新規事業の参入時にビジネスサイクルの長さがPERに影響する場合もある。

要するにPERは市場での人気じゃ。
次回は実戦的なPERの使い方を考えてみたいのじゃな。


素人の不動産投資(4 ワンルーム対リート)

今までの三回で投資金額2000万円のワンルームマンション投資とリート(不動産投信)投資、どちらが有利なのかを見てきた。
ポイントは、
(1)ワンルームマンションの方が表面的なリターンが高く、
(2)しかも減価償却があるので税引き後のネット収益は高くなる。
(3)しかし建物の価値を維持するための資本支出を考慮に入れると、ネット収益はワンルームもリートも大きな差がなくなる。
今回以降、投資のポートフォリオ的リスクや賃貸の構造的リスクなどなど、投資リスクについて見ていきたい。

まず、ポートフォリオ的リスクに焦点を当ててみよう。
リート(不動産投信)には多くのサブセクターがあるので、それぞれのサブセクターのリスク/リターン特性を考えてみよう。

まずはオフィスリート。
これはオフィスビルを保有しテナントに貸し出すことで得られる賃料を分配するリート。
一般投資家が都心ビジネスセンターのビルに投資できる重要な機会を提供してくれる。
都心オフィスビルは不動産価値も安定しており、景気による空室率の変化に影響されるものの比較的長期で安定した投資価値を持っている。

次にレジデンシャル(住宅)リート。
これは賃貸マンションを一棟買いし貸し出すことで得られる賃料を分配するリートだ。
ワンルームマンション投資を大規模にして、テナントの募集から管理業務まですべてプロが行う効率的な経営が収益の源泉になる。

次に商業リート。
イオンやイトーヨーカ堂のようなGMS(大規模ショッピングセンター)や都市型のショッピングモールなどの建物を保有し賃料を分配するリートだ。
商業施設の不動産価値は生み出す収益で決まる。
収益が上がるから不動産価値が上がるので、収益が上がらない郊外型商業施設は単なる粗大ゴミとなる。ここが難しいところじゃな。

そして物流リート。
アマゾンを始めネット小売りが急成長し物流需要が膨大になっているが、それを支える物流施設への投資も急増している。
それとともに急成長しているのが、物流施設に投資し収益を分配するのが物流リートだ。
主要高速道路・幹線の近くや湾岸の拠点に立地し、物流の拡大を基礎から支える。
不動産価値は商業リートと同じで不動産が生み出す収益がベースだが、ネット小売りの拡大と競合してしまう商業施設とは逆で、ネット小売りにより大きな物流需要を生み出され物流リートを潤す。

さらにホテルリート。
都心型ビジネスホテル、観光地型ホテル、リゾート型ホテルなど、外国人観光客の大幅な増加が膨大なホテル需要を生み出している。
ホテルリートはホテルの建物・土地を所有し、オペレーションは専門ホテル業者が行い収益を上げ、リートに還元する。
だからホテルリートの収益はホテルオペレーターとの契約によって大きく変わってくる。
固定賃料の契約もあれば、収益連動の変動契約もあり、ホテルリートへの投資はこれらの契約を確認し、収益とリスクを考えなければならない。

その他、介護施設あり総合型あり、様々なタイプがあるが、ワンルームマンション投資との関連でもっとも重要なことは、ワンルームマンション投資はリートでいえばレジデンシャルリートへの集中投資だということ。
リート投資ならば、各セクターにどう分散させるかでリスク/リターンは変わってくるし、自分の考えに基づいてセクター配分を決めることもできる。
しかし、ワンルームマンション投資は、リートの一セクター(レジデンシャル)への集中投資、しかも比較的クオリティの低いワンルームへの集中投資と同じだ。
ここがポイントじゃろ。

田舎に家を持つ(6 建築コスト)

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今回はちょっと話題を変えて家の建築コストについて考えてみたいのじゃ。
建築コストは、このそれぞれの工程でどの材料種類・材質を選ぶかという軸と、どの業者に依頼するかという二つの軸があり、この組み合わせで大きく変わってくる。

一つが、直接のコストである土壌改良、基礎工事、家の骨格・外壁など本体にかかわる工事、住宅設備機器(キッチン、風呂、など)、内装と附属工事(壁・床、電気関係など)など・・・これらをどう選ぶかという軸。
もう一つが、建築業者、地元の工務店、大手住宅会社、設計事務所などをどう選ぶかという軸じゃ。
その他、DIYで自分で建てるとかの選択肢もあるが、普通の人には無理だ。

もっとも安く家を建てるには、地元の工務店と汎用材料の組合せ。
地元の工務店は家の設計料も安くしてくれる。しかし、設計は過去のいくつかのパターンにそったものでユニークな家を建てたい人には不向きだ。
住宅設備も一番値引きの高い汎用品を使うのでもっとも安くなる。

もっとも高くなるのは設計事務所を使い、なおかつクオリティ重視の組合せだ。
エントランスやキッチンには大理石をふんだんに使い、床材は無垢で・・・とやっていくと、建築費はいくらでも高くなる。
工務店では建築費全体の10%以下の設計監理費用が、設計事務所だとおよそ20%ぐらいになるので、これもコストに影響する。
ただ、最後は建て主次第でもある。
設計事務所は建て主に希望をかなえてくれるので、安く建てたいという希望も聞いてくれるからだ。

大手住宅会社はこの二つの中間だろう。
設備のオプションもいろいろあり選べるし、大手で大量に発注するので割安になる設備や材料もある。
一方、人件費や設計監理費用はそれなりにかかる。

ただ重要なことはコストだけではない。
工務店や大手住宅会社が工事の当事者でもあるのに対し、設計事務所は第三者の視点で工事の経過や施工状況を確認してくれる。
過去にはいろいろな偽装問題が建築現場で起こっていたが、信頼できる設計事務所に依頼すればこうした手抜き工事を避けられる。

また、工務店に依頼する場合は業者を複数選び競争させることでコストを低くできる。
工務店の契約は建築総額の中から工務店の取り分が決められるので、工務店が得する契約は依頼者が損するし、依頼者が得する契約は工務店が損する。
だから、複数業者を競争させることで依頼者の有利は状況を作り出さないとうまくいかない。

でも、設計事務所はそうはいかない。
まず依頼者と合意して建築総額を決め、それに20%程度の設計監理料を上乗せするからだ。
そして、その建築総額は多くのヒアリングを経て、依頼者の希望や好み、さらに節約できる部分は徹底的に節約して計算されるので、依頼者の満足と納得が計算の基礎になる。

ワシはこうした点を考えて、最初から信頼できる設計事務所にすべてを任せ、土地選び、土壌検査と改良、設計、材料や設備の選択などを設計事務所のアドバイスで決めていったのじゃ。
家を建てる場合、いろんなやり方があり、自分に適した会社を選ぶのが大切じゃな。




中国の巨大投資家(2)

ソブリンウェルスファンド(国家ファンド)には、石油・天然ガスなどの資源の売却収入をもとにしたファンドと、もう一つ、積みあがる外貨準備をもとにしたファンドがある。

中東の産油国はだいたい、こうした国家ファンドを持っている。
代表的な国家ファンドとして、サウジのSAMAとPIF、クウェートのKIA、アブダビのADIAとADICなどをすでに取り上げたが・・・
それ以外でもカタールのカタール投資庁(QIA)、バハレーンのオスール、オマーンのGSRF、アゼルバイジャンのステート・オイル・ファンドなどなど、規模は小さくなるが、有限な石油収入を国家の将来につなげる重要なファンドであることには変わりない。
さらに欧州でもノルウェーの国家ファンドは北海油田の石油収入をもとにした世界最大のファンドで、年金運用も一緒にやっているし、国家財政の補助的なファンドでもある。

一方の長期の経常収支の黒字を積み上げた外貨準備をもとにした国家ファンドでは、シンガポールのGICが典型例だが、ここ10年で急成長してきたのが今回取り上げた中国の外貨管理局(SAFE)と中国投資公社(CIC)じゃ。

ただ、中国の場合は他の国と異なり為替市場は国家の管理下にあり、その増減は国家政策に直結している。
たとえば、外国資本政策。
中国政府は合弁会社の設立を条件に外国資本を受け入れてきた。
巨大な13億人の中国市場に参入したい外国企業は中国企業と合弁会社を作り中国の投資してきた。
この資本流入が為替市場で巨大な人民元買い/ドル売りとなり、同時かつ反対に為替管理をする人民銀行が巨額な人民元売り/ドル買いを行う。
その結果、外貨準備が積み上がっていくという仕組みじゃ。
また、経常収支の黒字も同様。
中国企業(合弁企業を含む)は経常収支の黒字を国内に戻すために為替市場でドルを人民元に替える。
そうすると人民銀行はドル買い/人民元売りをして為替レートの変動を吸収する。
これも中国の外貨準備を増やす大きな要因だ。

こうして積みあがった外貨準備がピークで4兆ドル、現在3兆ドル以上の規模になっている。
この外貨準備の中心は米国債券だが、中国の保有する米国債券は外貨準備の三分の一程度にすぎない。
もちろん、債券保有は各通貨に分散されているわけで、その分を合わせても半分までいかないと思われる。
つまり、1.5兆ドル程度はSAFEとCICに回されているとワシャ、思っておる。

SAFEは外貨準備の運用のための組織で元締め的な存在だ。
日本でいえば、人民銀行=日銀、SAFE=外為特別会計という感じだが、日本の外為会計が外貨準備(1.2兆ドル)のうち1兆ドル以上を米国債券で運用しているのに対し、SAFEは米国依存を避け多通貨でしかも多資産で運用している。
SAFEの株式投資は極めて保守的で各ベンチマーク(運用指標)に分散され、しかもベンチマークから離れないように運用している。
当然、日本株にも投資しているが、個別企業に集中投資するというより分散されたポートフォリオに投資する。
逆にCICはブラックストーンなど米国企業に直接投資し、大きな影響力を持っている。
CICはリスクを取った運用に特徴があり、保守的な運用のSAFEとうまくバランスを取っているようだ。
ちょうど、シンガポールのGIC(ポートフォリオ投資中心)とテマセック(直接投資中心)と同じような関係じゃな。

中国は一党独裁政権であり国家政策と国家ファンドはつながり、普通の国家ファンドとは異なるリスクを持っている。それが世界の株式市場にも影響するわけで、次回、もう少し掘り下げて考えてみたい。




反省するサルの話(1)

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反省だけならサルでもできる。
株山人も反省します。





ワシャ、3/27の「急落相場の読み方」の中で・・・・以下のように書いた。

「値幅のメドは、同幅の下落を想定すると22953ドル、同率の下落を想定すると23060ドルとなる。
しかし実際には第二段で下落ペースを加速させてくる場合もあるので注意が必要だ。」

「3/22を起点に、7日目は4/2、9日目は4/4、15日目は4/15だ。米中貿易問題を市場が織り込む期間として、ワシは注目している。」

その時想定していたのは・・・・
NYダウはスピードのある続落歩調をたどり、7日目から9日目までに2万3000ドルを割れる急落をする。日経平均も同様に2万円の攻防ラインを割れるかもしれない、そして底入れ
・・・という動きだった。
しかし、現実はずいぶん違い、NYダウは2万4000ドル台で一進一退、先週末の引け値は2万3932ドルだった。

米中問題が交渉で解決されるという見通しを前提にした短期押し目買いが相場を支えた、噂で売って事実で買うという原則にのっとり空売りポジションを買い戻した、ボラが安定してきたためリスクパリティのポジションが動きを止めた、新規資金の押し目買いが入った、などの理由が考えられる。
いずれにしてもNY市場はセリング・クライマックスをまだ経験していない。

一進一退の往来相場が続くと売りたい人も様子をみてしまうし、意外と売りがたまっている可能性もある。
米中問題は本質的に中国の知財権の問題であり、関税の掛け合いではなく、きちんと中国に知財権保護を実行させる国際的な圧力が必要と思う(「マサカという坂」を参照)。
ただ、関税の掛け合いは中国を知財権交渉テーブルに引っ張り出すことが目的と見るので、その過程で厳しい舌戦になるとも予想されよう。
その時、セリング・クライマックスが見られるかもしれない。
それが底入れのサインじゃろ。



二大勘違いおばちゃん

ワシャ、たまに、この人の頭の中の論理回路を見てみたいと思う人がいる。
最近マスコミで一気にブレークした二人のおばちゃんじゃ。

一人は宝塚市のオバちゃん市長。
「土俵の上で挨拶できず悔しい」と土俵の下で挨拶したおばちゃん市長。
なんか勘違いしていないかい?
大相撲春巡業で舞鶴市の男性市長が土俵上での挨拶中に倒れ、女性看護師がすぐさま土俵に上がって心臓マッサージ等救命活動をしたニュースがあった。
この件で「土俵の女人禁制」について議論が広まった。
でも、その重要な前提は、1)歴史のある国技大相撲の伝統に対する敬意、2)緊急時における女性看護師の勇気ある行動に対する尊敬の二点だ。
その前提にたって伝統と人命の優先順位を議論しているわけだ。
この二つがないと単に「土俵の女人禁制」をどう思うかという薄っぺらな議論になってしまう。

日本の伝統文化・芸能には男性中心が多くみられる。
歌舞伎は女形がいる男性の伝統芸能だし、能や狂言も同様だ。
日本の歴史と伝統から生み出されたもので、男女平等とか近代価値観で判断されるべきものではない。
長い時間と日本風土が生み出した慣習に多くの日本人が敬意をはらっているはずじゃ。
大相撲も一緒で伝統的な慣習も含めて日本人として敬意をはらうべきものだ。

しかし、この宝塚のオバちゃんからはそうした尊敬の念は全く感じられない。
宝塚市での大相撲巡業、それを認めたのは市長、その市長が土俵に上がれないとは悔しい・・・という感情が先立っている感じがしてならない。
だから頭の中の論理回路を見てみたいと思うわけじゃ。

もう一人は伊調選手パワハラ問題でいきなり場外から飛び出しブレークした至学館のおばちゃん学長。
「パワーのない栄監督にはパワハラはできない」とか「そもそも伊調選手は選手なのか」とか異常な論理を展開して話題になった。
なんか勘違いしていないかい?

そもそもパワハラにはパワーがある人かどうかは関係がない。
監督とか一定の立場にある人の発言は、常にパワハラの対象になる。
パワーのない課長や部長がさらに弱い部下をいじめるなんてよくある話で、むしろ、パワーのある人はそんな卑屈な手段を取らないし、取る必要もない。
伊調選手は選手なのかなんて禅問答みたいだが、あれほど注目されているスター選手が引退宣言もしないで引退することはありえない。
このオバちゃんも頭の中の論理回路がどうなっているのか見てみたい。





素人の不動産投資(3 ワンルーム対リート)

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投資金額2000万円(借金は考慮していない)で不動産投資をする場合を考える第3回目。
前2回、ワンルームマンションへの投資とリート(不動産投信)への投資を比較してきた。
不動産収入は一般にワンルームマンションの方が高く、さらに税引き後収益を考えた場合、減価償却を使えるワンルームが有利になる。
しかし、「投資にフリーランチはない」有利な投資には裏があるはず。

ということで今回は減価償却と資本的支出をさらに考えてみたい。
減価償却は機械・設備・建物など時間がたつと劣化してくる資産に対して、その耐用年数に応じて資産価値の減少分を費用として利益から差し引ける会計処理だ。
資本的支出はその建物などの価値を高めるための投資だ。

築20年のマンション投資だが、土地を除く建物・設備の価値は毎年下がっていく。
10年たてば築30年となりそろそろ大規模修繕が必要になってくるし、20年たって築40年となると老朽オンボロ・マンションとして値段がつかないような状態になる。
そうならないために減価償却分を再投資に回して価値を高めていかなければならない。
その再投資が資本的支出で、それをしないと老朽化して不動産の価値が激落してしまう。

建物自体は10年とか30年とかの節目の年に外壁の再塗装や耐震の強化対策などの大規模修繕を行うことになる。
そのための修繕積立を行っているマンションが一般的だ。
総額でマンション1戸あたり100万円近くはかかると思われる。

室内の住宅設備(キッチン、風呂、洗面台など)は15年の耐用期間であり、たいたい、15~20年ぐらいで買い替えていかなければならない。
築20年の中古マンションを合計40年使うとすると、2回の買い替えを想定し200万円は必要になる。
仮に今後20年間に300万円の資本的支出(年15万円)を考えると、ワンルームマンション投資の税引き後ネット収益は81万円から66万円に低下する。
 (資本的支出も減価償却対象、単純化するため試算に含めていない)
そうなると、リート投資の税引き後ネット収益67万円とほぼ変わらない。
やっぱりフリーランチはないようだ。

リートは決算書に減価償却費と資本的支出額を開示している。
リートにもよるが、だいたい、減価償却の60~80%は資本的支出として再投資しているようだ。
さらにリートの場合、築年数の高くなった物件を売却し、築年数の低い物件を買うことは日常行っており、老朽化した物件を抱えるリスクはない。
そこまで考えると、素人にはワンルームマンション投資よりリート投資の方が簡単だし効果が高いのではないかと思える。



投信ガラパゴス日本(特別編)

今まで日本の投信ビジネスを、投資家、販売会社、運用会社、金融当局のそれぞれの考え方や事情から見てきた。
高い販売手数料、新興国の株・債券を使ったリスクの高い投信、タコ足を含め高い分配金という日本の投信の特徴は、投資家、販売会社、運用会社それぞれの事情が優先されてきた結果だというのがワシの結論じゃ。

個人投資家は大半の個人資産を預貯金の安全資産で運用していて、わずかな部分でリスクを取った高いリターンを追求するという姿勢が強くみられる。
販売会社は高い販売手数料をカバーする高いリターンが見込める投信を積極的に販売する。
運用会社は販売会社(銀行・証券)が親会社であり、販売会社の事情にそった投信を作る。
これらが相まって現在の日本の投信ビジネスが成り立っているといえる。

金融当局もこのあたりの特殊事情をよく理解している。
しかし、欧米の投資家保護ルールやガバナンス規範をそのまま持ち込むだけでは、日本の事情に必ずしも合っていない。
金融当局の姿勢にそうと、日本の投信はコストの安いインデックス投信ばかりになり、運用会社のイノベーションを阻害していしまう。
この点で長期的に運用会社の運用能力を低下させてしまう懸念が残るのじゃ。

しかし海外には、各運用会社が運用能力を競う純粋に競争的な投信市場がある。
その市場には日本の運用会社も海外の運用会社も自由に参入でき、自分たちの最も自信のある運用で真っ向勝負をしている。
それが欧州にあるクロスボーダー投信(国を越えて流通している)の市場だ。
UCITS(ユーシッツ)というEUの投信規格に準拠しており、どこの国の投資家でも安心して投資できる投信ファンドだ。

もちろん日本株の投信も多く出ていて、総額1兆円を越える規模に成長している。
欧州の運用会社が運用する日本株ファンドもあるし、インベスコやテンプルトンといったアメリカの運用会社の運用商品も人気を集めている。
この欧州投信市場に日系の運用会社も大手の野村アセットをはじめ多くが参入して海外の運用会社とガチの勝負をしているのじゃ。

日本国内だと個人向け投信と法人向け投信は手数料から運用対象まですべて明確に異なっている。
しかし、UCITS投信市場は、大口法人向けの低い手数料、小口の個人向けのやや高い手数料などの異なる投信を一つのアンブレラ(傘)ファンドで運用できる。
同じファンドを個人も法人投資家もトレードできる、非常にフェアな投信市場だ。
国内ファンドマネージャーの何人もUCITS投信で切磋琢磨して運用の腕を磨いている。
競争のない国内投信ファンドマネージャーと根本的に違う。




田舎に家を持つ(5家の設計)

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BINGOな土地が見つかり不動産屋さんとの交渉に入る。
しかし、交渉のネタとなる値段が不明だし・・・そもそも田舎の土地は適正な値段がよくわからない。
この土地の用途は山林で、周辺の山林の価格は坪(3.3.㎡)2万円以下らしい。
でも普通、山林とは自然の雑木林でとっても家を建てられる状態にない土地だ。
整地造成されて、樹木も伐採され、水はけも改善された土地は同じ山林とはいえ、普通の雑木林とは違う。
都会の土地なら国土交通省のHPに公示価格あり過去の取引例がのっているし、国税庁のHPをみれば路線価がわかる。
公示地価と路線価は使い道が違うとはいえ、取引に参考になるのは間違いない。
でも、山林には公示地価も路線価もない。

不動産屋が提示している普通の山林の3倍近い価格だが・・・どうしようかな??
いくらなんでも高いんじゃないの?と不動産屋おじさんに言ってみたものの、全く聞く耳を持たない。
結局、しかたなく高いとは思いながら、BINGOな土地を買う契約を結んだ。

CR設計事務所のWさんと家の設計の話が始まった。
こうしてほしい、ああしてほしいといろいろ夢のような話をしている時間は楽しい。
眺望の良い2階にインナーバルコニーを作ってゆっくり朝コーヒーを飲みながらバードウォッチングをしたい、お風呂の窓から富士山が見える富士見風呂がいい、和室には低い位置に窓を作り雪見をしたい、リビングからフラットに出られるウッドデッキがほしい、キッチンはアイランド型で対面カウンターを作りたい、などなど・・・・
Wさんはよく話を聞いてくれて、ときどき的確なアドバイスを入れながら膨大なメモを取っていた。

そして第一回目のデザインができた。
基本コンセプトはこの土地の4方位(東に森、南に富士山、西に南アルプス、北に八ヶ岳)をそれぞれ楽しめる、正方形の家だった。
土地の特徴を活かして正方形という珍しい形になったわけで、非常に面白い発想であり聞いているワシたちも楽しくなった。
でも、問題は正方形の家は平屋でインナーバルコニーは作れなかったことだ。

2か月後、二回目のデザインが上がってきた。
片流れの家で、ほぼワシたちの要望をすべて取り入れてくれたデザインだった。
南側の庭のプライベート感を出すため進入路からの視線を遮断したかったが、そうすると片流れの家は斜めに配置することになってしまう。
土地の方向に対して斜めに配置することになり、少し違和感があるということで、今回もボツになった。そしてWさんは三回目のデザイン作成に入った。

さらにその2か月後出来上がったのが、L字型の片流れの家だ。
L字型にすることで進入路からの視線も遮断され、南側の庭がどこからも見えない、完全にプライベートな庭になる。
インナーバルコニーも富士見風呂も雪見窓もすべて要望通りでだった。
こうして設計が決まり、着工に入る。




中国の巨大投資家(1)

今回はちょっと飛んで中国の巨大投資家、外貨管理局(SAFE)や中国投資公社(CIC)を取り上げたい。
中国は3兆ドル以上の外貨準備を保有する国家で、外貨準備の運用についても米国債中心から多様化しリスクを取る積極的な運用を指向し始めた。
その中心となるのが、外貨管理局(SAFE)と中国投資公社(CIC)じゃ。

いつも混雑している北京国際空港から北京市内へ向かう。
常宿にしているケリーホテルは北京市内でも空港よりの地域にあり交通の便が良い。
なぜかというと、北京市の中心に天安門広場と故宮や人民大会堂があるため、中心部の通り抜けに一苦労するからだ。
警官・軍隊が出動した非常警戒態勢時、4レーンもある通りの単純にものすごい大渋滞時など、天安門広場の反対側に行くのに1時間や2時間かかることもあるぐらいだ。

ケリーホテルは空港からの便がよくしかもCICも近くロケーションとしては最高。
でも、SAFEは反対側で渋滞がなければ30~40分で着くところを用心のため1時間半ぐらい早めに出発するときもある。
困るのは渋滞なしにすぐについてしまう時だ。
アポ時間までのヒマつぶしが問題で、ちょうどよいスタバもないしコーヒー店もない。
周辺をブラブラ歩いていると、警官が寄ってきて職質をかけられてしまう。
すぐに中国語のできる社員を呼んできちんと対応しないと、最悪、逮捕されてしまうので要注意じゃ。

SAFEは社会主義国の役所の典型なのだろうが、重厚なやや古びれた建物の中にある。
重厚な石造りのエントランスを通り、会議室に案内される。
そこは大きな部屋で、壁際に大きな椅子とその間にお茶を飲むための小テーブルが並んで配置されている。
上座にテーブルをはさんで大きな椅子が二脚あり、来客者のトップとSAFEの高官が会談するためのものだ。
その奥に小さめの椅子が二脚、通訳が後ろに座る椅子だ。
この配置、よくテレビでみる中国首脳会談とそっくり同じだ。

だいたい、事前に提出した話題にそって形式的にミーティングが行われる場合が多い。
ほとんどトップ二人が会話をし、下っ端は上司から意見を求められた時のみ発言できる。
しかし重要なのはその下っ端の役人たちで、あとから膨大な質問が送付されその回答に多くの時間とたいへんな労力を使うことになる。
会談が順調にいったかどうかは、質問の内容をみて初めてわかるんじゃ。
形式的で官僚的なミーティングは疲れる・・・・


素人の不動産投資(2 ワンルーム対リート)

前回、投資金額2000万円を中古マンション投資と不動産投信(リート)で運用した場合のネット利回り(NOI、コスト控除後)を比較した。
実際には運用益に対して税金がかかるので、税金を差し引いた税引き後で比較する必要がある。
そこで今回は、2000万円投資の税引き後のネット収入をくらべてみたいのじゃ。

まず、税金の計算がややっこしい中古マンション投資じゃが・・・
不動産投資には建物と土地があり、建物(建物本体と付属設備)は減価償却の対象になる(土地は対象にならない)。
減価償却って会計用語で難しいが、簡単には毎年建物が劣化していく分だけ、建物の価値が下がっていくことだ。
その分を費用として運用益から差し引くことができる。
マンションの建物は耐用年数が47年と決まっている(設備は15年)。
中古マンションの場合、建物の価値が半分に1000万円、土地の価値が同じく半分の1000万円として計算の基礎となる。
そして、建物本体が1000万円の80%(800万円)、付属設備が1000万円の20%(200万円)。

これで中古マンション(築20年)の耐用年数を計算してみよう。
建物本体: 法定耐用年数47年ー(経過年数20年×0.8)=31年
付属設備: 法定耐用年数15年×0.2=3年・・・耐用年数を越えているためこういう計算になる。
本体の耐用年数31年に対する償却率は0.033なので・・・
本体の年減価償却は、800万円×0.033で・・・26万円(31年間)
設備の耐用年数3年に対する償却率は0.334なので・・・
設備の年減価償却は、200万円×0.334で・・・66万円(3年間)

この中古マンション投資は、賃貸料月8万円、礼金・更新料8万円、管理コスト年5万円で・・・
年平均収入100万円ー管理費5万円ー減価償却費92万円で、課税所得は3万円
今後3年間は95万円の収入がありながら、課税所得はわずか3万円・・・雑所得として総合課税されるが、ほとんど税金を払う必要がない・・・ネット収入は95万円
ただし、4年目からは本体の減価償却のみになるので、課税所得69万円が雑所得として総合課税されるので、税率20%とすると、約14万円税金を支払うことになる・・・ネット収入は81万円

一方、不動産投信(リート)は、分離課税の20%(復興税を除く)。
リートの分配金は、2000万円×0.042で84万円だが、20%の分離課税16.8万円を差し引きと・・・ネット収入は67万円

中古マンション投資は税引き後でリート投資より大きな優位性を持っている。
それは中古マンション投資には減価償却があるからだ。
しかし、長期的には減価償却分だけ毎年建物の価値が減っていくので、その分再投資していかないと不動産の価値を維持できない。
リートでは運用会社が再投資をしているし全体の築年数もコントロールしているので、長期的な安心感がある。

註)ワシは税理士ではないので計算に間違いがあるかもしれないが、ご容赦いただきたい。

数式を使わないリスクの話(5 テールリスク)

数式を使わないリスクの話、今回はテールリスクを考えてみたい。
テールリスクは予測不能で起きる確率は非常に低いが、一旦起きたときの衝撃が大きい事象を指す。
少し前ブラックスワン(=テールリスク)という言葉が流行ったが、当時はリーマンショックの反省をもとに金融システミックリスクが議論されたいた頃だったのでみんなテールリスクに敏感じゃった。
テールイベントは、一般的には地震・津波や火山爆発などの予知できない自然災害、
国際情勢に影響を与える政権交代や戦争・紛争・大規模なテロ攻撃、金融システムを揺るがす債務危機や巨額損失事件などだが・・・ワシャ、運用者としてどこまで意識すべきかは疑問が多いと思う。

いくつかの例を振り返ってみよう。
2001年に起こったNYでの9.11のテロ。
大型飛行機が高層ビルに突っ込むという衝撃的な映像が流され全世界が震撼した。
アメリカ政治の方向を変えた大事件だったが、株価的にはすでに下落相場の途中だったため大きな影響はなかった。

1990年代、ヘッジファンド業界を席巻したロングターム・キャピタル・マネージメント。
言わずと知れたメリウェザーの作ったヘッジファンドだが、急成長し資産5兆円に25倍のレバレッジをかけ125兆円のポジションを運用しておった。
ところが、1997年のアジア通貨危機とそのあおりを受けたロシア危機でポジションがマタ裂きになり、破たん。
100兆円をこえる巨額なレバレッジ資金が焦げ付き、世界が一瞬凍り付いた。
しかし、株価的にはアジア危機からすでに大きく下落していたので大きな問題とはならなかった。

2011年の3.11東北大地震。
東北地方を襲った大地震、巨大津波で多くの家が一瞬にして流される衝撃的映像が世界を凍り付かせた。
東北地方に生産・物流・開発拠点を持つ多くの企業は生産中止を余儀なくされ、サプライチェーン全体がフリーズしてしまった。
完成品を被害地域の工場で作っている企業だけでなく、部品を被害地域で作り中国やアジアで完成品にして輸出しているような企業、物流拠点を被害地域に持っている企業など、多くの企業のサプライチェーンが分断され生産停止に追い込まれた。
しかし、そこは日本企業、わずか2-3か月で被害地域以外でサプライチェーンを復活させ、通常生産に戻った。
日本企業の迅速な対応で株価は一瞬2割ほど下げた程度で終わり、徐々に回復していったんじゃ。

その他、台風(ハリケーン)はよく起こるし、株式市場が致命的な暴落を記録したこともない。
アメリカのハリケーン被害は数億ドルに及んだが、ファンダメンタルをぶっ壊すほどではなかったためだ。

これらの例から言えることは、テールイベントでまず大切なことはあたふたしないことじゃ。
世界を震撼とさせた映像であったり、びっくりするような巨額な破たんであったり・・・と、真っ青になるような出来事が起こった時、いかに冷静にいられるかが運用者や投資家として最も重要なことじゃ。
もちろん、テールリスクを管理する方法もある。
VIX指数の先物を買ったり、行使価格の低いプットオプションを買ったりできる。
でも、常時やっているとコストがかかり、リターンを引き下げる。
テールリスクを管理したいなら、ワシが勧めるのは毎年の投資収益の10%程度を別途積立てておく方法だ。
これだったら、コストをかからないし再投資収益を少し引き下げるだけですむからじゃ。



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「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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