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WeWorkの上場延期問題などから、ユニコーンのIPOについて問題点が浮きぼりになってきたような気がする。
一般論だが・・・スタートアップ企業は、まず、ビジネスアイデアと製品のプロトタイプを作り、出資を募り事業化する・・・この最初の資金調達がシードラウンドと呼ばれるものだ。
そして、実際に顧客が付きビジネスモデルができる段階シリーズAの資金調達、ビジネスをスケールアップさせ成長が加速化していく段階シリーズBの資金調達、経営が安定し上場を意識する段階シリーズCの資金調達と会社の成長に合わせて資金調達されていく。

問題となるのはスタートアップ企業の評価額だ・・・過去の例を見ていると、資金調達の合計額+負債による調達額=バランスシートの右側の金額に何倍かのマルティプルをかけた評価額になっている。
資本と負債によって調達した資金を事業に投じて、その数倍の企業価値を生み出しているというわけだ。
ユニコーンのIPOではいずれもこの資金調達額の何倍もの企業価値評価が行われている現状では、IPO直前の出資であっても上場時に大きな利益を上げることができた・・・しかも資金調達額が大きければ大きいほど時価総額が大きくなる。

たとえば、下の表でWeWorkの資金調達額と企業評価額を比べてみた。
2015/9の資金調達で9.69億ドルを調達して、企業評価額が50億ドルから100億円と50億ドル増加した・・・つまり、マルティプルは5倍だ。
ソフトバンクが30億ドルを出資した今年1月の資金調達では、企業評価額が200億ドルから470億ドルへと270億ドル増加し、マルティプルは9倍だ。
こんな高いマルティプルが続く限り、ベンチャー投資家は大儲けできる・・・ここに着目したのが孫正義氏であり、ソフトバンクのビジョンファンドということだろう。
でも、この資金調達額と企業評価額の関係が変わり始めているという疑問が出てきているのではないかと思う。
そうなると、ユニコーンIPOは必ず儲かる「打ち出の小槌」ではなくなってしまう。
WeWorkのゴタゴタで感じるのは、こうした強欲なベンチャー投資家が慌てふためいている構図だ。

今年1月にソフトバンクが30億ドルをWeWorkに出資し、110ドルで株式購入できるワラントを得た。
その他にソフトバンクのビジョンファンドが44億ドル出資している・・・いずれもIPOが視野に入っている時期だった。
しかし、その後、WeWorkの想定時価総額470億ドル=1株当たり株価75ドルから、現在の想定株価は50ドル台に低下しているようだ・・・フィデリティ、Tロウプライスなども想定株価を52~54ドル程度とした。
これだけの想定株価の違いがあると、安値上場よりはIPOを延期した方がいい。
しかし、ニューマンCEOが個人的なゴタゴタで退任し、シェアオフィス市場も飽和状態に近く、当初の見込みの市場規模3兆ドルは過大に見積り過ぎていたかもしれないなど問題続出で、来年に延期といってもIPOスケジュールはよく読めない。

より大きな問題は出資者には「打ち出の小槌」だったユニコーンIPOの時代が終わりそうな事だろう。
すでにビジョンファンドの出資者には第二ファンドへの出資を見直す投資家がで始めているし、ビジョンファンドから資金を引き上げる動きもある。
さらに、すでに上場したウーバーなどのユニコーン企業やGAFA系プラットフォーマーなどの高PER企業のバリュエーションを引き下げる可能性もある。
WeWorkだけでなく、他のユニコーンIPOへの波及に注目を怠れない。

WeWorkの資金調達と企業評価額(単位:億ドル)
  資金調達額   企業評価額
Sep-14 3.55   50
Sep-15 9.69   100
Mar-16 4.3   160
Mar-17 3 SBG  
Jun-17 17.6   200
Jan-19 30 SBG 470


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