
内藤忍という評論家の「12年ぶりの高値でもREITに投資しない理由」というアゴラでのコメントだが、何回読み返しても理解できなかった。
この中で三つの根拠が示されている・・・(1)高値で購入する構造的な仕組み、(2)レバレッジを考えると高利回りではない、(3)税制メリットが現物不動産より小さい・・・という三つだ。
それぞれ検討してみよう。
まず、(1)高値で購入する構造的な仕組み・・・内藤氏に何か大きな理解違いがあるのか、全く理解できなかった。
内藤氏は言う・・・REIT価格が上昇すると、資金流入が起こり、その流入資金で高値の物件を買うことになる・・・だから、REITの物件購入は構造的に高値での購入になる。
確かに、REITに資金流入するとREIT価格は上昇するが、この資金流入で高値物件を買うわけではない・・・市場で交換されているREIT価格が上昇しているだけで、物件購入とは関係がない・・・読者は何回読んでも理解できない。
REITの物件購入は、RIEITの運用会社が物件の購入リストを投資家に提示して、PO(公募増資)を実施し資金を集めて行われる・・・保有キャッシュや借金で新規物件投資が実施される場合もあるが、通常、大規模な物件投資は、そのリターンや今後の収益予想を提示しPOを実施して行われる。
株式のPOとは違い、REITの場合、新規物件を組み入れた後の収益をほぼ正確に予想できるので、POの規模とともにEPSの予想、分配金の予想を提示して一般投資家から集めることができる。
しかもREITはスポンサーから有利な条件で物件購入することができる。
これはスポンサーとの優先購入権契約で、一般には市場に出ない物件を、オークションでは買えない価格で買える。
つまり、REITはPOで資金を集め、優先購入権を使って有利に物件を組み入れているわけで、内藤氏の言う事は基本から間違っている。
(2)の点だが、レバレッジをどう理解しているのが分からないが、通常、不動産投資は借入金でレバレッジをかけている。
個人であれ、法人であれ、不動産投資を手持ちキャッシュだけで行う方が異例だ。
個人の住宅投資は、普通、住宅ローンを組んで行われるし、法人の不動産投資も同様だ。
レバレッジ後の利回りは、原資産である不動産物件のCAPレートにレバレッジをかけたものになる。
多くのREITが総資産の40%程度の借入金をかけているが、基本的に保守的なレバレッジだ。
これをもって、レバレッジをかけている割にリターンが低いと言っているのかもしれないが、保守的なレバレッジは悪い事ではない。
実物投資とリターンを比較しているが、個人の実物投資はワンルームマンション中心なのに対し、REITならば六本木ヒルズに投資できるし、巨大物流施設や巨大ショッピングモールにも投資できる・・・個人投資家には自分では不可能な投資先にも投資できる便利なツールがREITだ。
内藤氏は単にワンルームマンションとREITを比較しているだけなので、どうしても論点がズレてしまう。
さらに(3)の税制メリットについても誤解があるかもしれない。
いきなり、相続税では実物不動産の方が有利だと言う。
おそらく「少規模住宅等の特例」の話をしているのだろうが、確かにこれはメリットがある・・・でも、運用の話をしているのに、いきなり、相続税の話にぶっとぶのはいただけない。
減価償却についても誤解が多い・・・REITの会計でも減価償却は行われているし、減価償却の範囲で現状維持の修繕やバリューアップ投資などが行われている。
不動産(建物)の減価償却は毎年、物件価値が減少していく分を利益から差し引く(利益が増える)もので、減価償却分を再投資していかなければ、長期的に物件価値が低下してしまう。
個人は減価償却分の再投資をしないかもしれないが、10~20年に一度、マンションの大規模修繕があり住民が負担している。
この費用を別に考えれば・・・個人の実物投資は減価償却分の利益が増えるということが内藤氏の考えだろう。
だが、基本的には減価償却は利益の増加ではなく、物件価値の低下分だ・・・会計をちょっと勉強すればわかる事だ。
内藤氏は言う・・・REITを全部売却して中古マンションを保有している・・・不動産市場で、今、もっとも問題なのが、都心周辺の高層タワーマンションの過熱感で、現実に契約率が低下し売れ残りが急増している。
こんな時期に個人投資家にマンション投資を勧めるなんて、大丈夫だろうか?・・・心配になる。

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