
政府が新紙幣の発行を表明した時、ある解説者は国内にあるタンス預金をあぶりだして流通させることで経済が成長すると発言していた。
本当なのか?
今後、遅ればせながら「キャッシュレス社会」に移行しようとしている日本で、わざわざコストをかけて新紙幣を発行する理由は何なのか?
特に多くの偽札事件が発生しているわけでもないのに、なぜ、新紙幣を発行しなければならないのか?
通貨の信認が問題になるようなインフレが高まっているわけでもないのに、新紙幣を発行する理由はあるのか?
タンス預金をあぶりだすことができるのだろうか?
タンス預金を持っている個人には新紙幣の発行は何か影響があるのか?
・・・多くの質問が頭に浮かぶ。
新紙幣の発行をタンス預金の観点も含めて、改めて考えてみたい。
まず、新紙幣を発行することの意味だが・・・・。
最も分かりやすい理由は「通貨の信認の回復」だ。
昔、第一次大戦後のドイツでハイパーインフレでが起こりマルクが屑となった時、レンテンマルクという新紙幣を発行して切り抜けたことがあった。
日本の第二次大戦後の新円への切り替えも同様に通貨の信認の回復が理由だった。
通貨の信認がなくなり紙幣が紙くずとなったような時、経済の回復政策とともに新紙幣の発行で局面を打開してきた。
二番目は政治的理由で、人心を一新したい時に新紙幣を発行して国民の結束を図ることだ。
記念通貨を発行したりして政治的なお祭り気分を作り出すことで、国民の意識が高まる。
今回も新天皇の即位にからんで発表されたのは、こうした政治的な意図があったのかもしれない。
三番目は紙幣単位の追加や偽造紙幣の一掃などの理由だ。
日本でも2000円札が発行されたことがあったが(残念ながら流通しなかった)、英国でも新20ポンド紙幣が発行されたりしたこともあった。
定期的に新紙幣を発行し、偽造紙幣を一掃したりする国もある。
四番目はデノミなど通貨単位の変更だ。
日本でも1ドル=100円水準から1ドル=1円に単位変更しようと議論されたことがあったが、インフレもない国でデノミをやっても混乱するだけだとして退けられた。
新紙幣の発行については一般的にこんな理由が考えられるが、これから進んでいく「キャッシュレス社会」に対して、コストをかけて新紙幣を出す理由は不明だ。
そして、解説者の言うように、新紙幣がタンス預金のあぶり出しを意図したものなのかも不明だ。
そこで次回は「タンス預金」についてもう少し考えてみたい。
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