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前回は主要な小型株ファンドの概要を見てきたが、今回は小型株ファンドのパフォーマンスに焦点を当てて考えてみたい。
過去3年のリターンは小型株がTOPIXより圧倒的高いが、この1年ではTOPIXを下回る低調なパフォーマンスだ。
特にここ6か月と1年のリターンは東証TOPIXを大幅に劣後している。
資産残高 パフォーマンス    
    3か月 6か月 1年 3年
ひふみ投信 1307億円 12.1% -13.1% -10.3% 35.0%
日本中小型株 254億円 4.9% -15.9% -16.7% 46.5%
コモンズ30 151億円 7.2% -14.1% -9.8% 29.6%
小型ブル-チップ 105億円 9.7% -15.4% -12.9% 29.4%
TOPIX   7.7% -11.2% -5.9% 26.2%

その理由をいくつかの点から考えてみよう。
まず、景気期待との関連だ。
小型株、特に新興市場株などは、一般的に、IT関連のサービス、ソフトウェア開発、その他一般サービス産業が多く、東証1部のように製造業のウェートが高い市場ではない。
したがって、サービス産業などの非製造業は景気変動の波を受けにくく、小型株は景気敏感ではない。
こうした点で1月以降の景気持ち直し期待で上昇した市場ではどちらかというと出遅れてしまうのかもしれない。

次に市場内の需給関係との関連だ。
年初来の値動きでは日経225の値嵩株の動きが良く、NT倍率(日経225/TOPIX)が上昇を続けた。
ある意味、225のインデックス買いが株高の大きな原動力になったといえる。
こうしたインデックス売買が市場を席捲している状況では、小型株はサイドラインに置かれてしまう傾向がある。
これも小型株のリターンが低調だった理由だろう。

さらに考えておきたいのは、もう少し中長期の株式需給だ。
2017年は小型株に大きな外人投資家の買いが入った年で、逆に2018年は外人投資家売りが続いた年となった。
2016年から17年は、今でも覚えているが、中東のオイル系の大手運用機関が小型株投資を増加させた年だった。
当時、新規に委託を受けた投資額は小型株への投資としては非常に大きい規模の数百億円だった。
こうした外人投資家の買いが市場にインパクトを与え、小型株ファンドのリターンを向上させた。
逆に昨年は外人投資家が売り越しを続け、小型株のパフォーマンスが悪化したというわけだ。

ここから得られる教訓は、(1)小型株は非製造業・サービス企業が多く、景気が悪化しても比較的強い、(2)インデックス売買が席巻している市場では疎外される(リターンが上がらない)、(3)個人投資家の好きな銘柄が多く、一見、個人投資家動向に左右されると思われているが、実は長期投資家の姿勢に大きく影響される・・・この3点だ。
そして、このパフォーマンスの悪化は、今の市場需給が多くの要因だということだ。
インデックス売買中心の市場でパフォーマンスが悪化するのはあたりまえで、むしろ、このパフォーマンス悪化時期が買い場になるのかもしれない。




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