
9月の短観についてのブログから・・・
(1)日本企業全体にある人手不足とその対応。雇用を見ると、大企業で6月-21から9月-23、中小企業で6月-35から9月-37と人手不足が拡大している。それにつれて省力化のためソフトウェア+研究開発投資の伸び率が高まっている(大企業6月+4.6%、9月+10.3%、中堅企業6月+9.7%、9月+13.8%)。ソフトウェアや研究開発を推進し人手不足に対応する企業の姿が浮き彫りになっている。
(2)企業の価格判断がデフレ感覚から変わりつつあること。国内製品・サービス需給判断、大企業製造業で6月-2から9月+1と1990年6月以来のプラスに転換。販売価格は大企業製造業6月5から9月7と上昇、仕入価格も大企業製造業6月30から9月27と上昇、販売価格と仕入れ価格の上昇を感じている経営者が多い。国内の製品需要が強く、1990年以来の需要超過になり景気の腰が非常に強い。この価格判断が企業の利益率にどう影響するか、そして、販売価格をさらに引き上げることになるのか要注目だ。
・・・・と書いた。
| Jun-17 | Sep-17 | Dec-17 | Mar-18 | Jun-18 | Sep-18 | Dec-18 | Mar-19 | ||
| 業況判断 | 大企業 | 20 | 23 | 25 | 23 | 22 | 21 | 21 | 17 |
| 中堅企業 | 16 | 18 | 19 | 20 | 20 | 17 | 17 | 13 | |
| 製品需給 | 製造業 | -6 | -5 | -2 | 0 | -2 | 1 | -1 | -6 |
| 製品在庫 | 製造業 | 8 | 8 | 7 | 6 | 6 | 7 | 6 | 8 |
| 販売価格 | 製造業 | -3 | -2 | -1 | 1 | 5 | 7 | 6 | 1 |
| 仕入価格 | 製造業 | 13 | 14 | 18 | 26 | 30 | 27 | 24 | 17 |
| 雇用判断 | 大企業 | -10 | -11 | -13 | -18 | -16 | -18 | -19 | -18 |
| 中堅企業 | -17 | -22 | -27 | -29 | -25 | -27 | -26 | -26 |
3月調査までの変化は簡単にまとめると、以下の4点があげられる。
(1)大企業(全産業)業況判断が+21⇒+17へ大きく低下、経営者の景気判断が下向きだ。
(2)国内需給も+1⇒-6へと低下し需給の緩和へ動いてしまった。
(3)仕入価格の上昇分の販売価格への転嫁が遅れ、販売価格は+7⇒+1と値上げは一部を除いてほとんど進んでいない。
(4)雇用判断だが、大企業は-18⇒-18、中堅企業は-27⇒-26と人手不足は依然として続いている。
この半年で経営者の景気判断や国内製品需要はスローダウンしたようだが、雇用の不足感は引き続き強く残っている。
しかし、日本経済の課題であった賃上げや販売価格の引上げは見られず、人手不足や仕入価格の上昇で企業の利益は圧迫される可能性がある。
日本経済全体にも停滞感がある・・・というのが、日銀短観の3月調査の結果だろう。
しかし、この3月調査で注目すべき点もある・・・売上高経常利益率(経常マージン)だ。
大企業製造業では、2018年度売上+2.3%、経常利益-1.9%、経常マージン8.17%、2019年度予想売上+0.6%、経常利益-1.3%、経常マージン8.02%となっている。
仕入価格の上昇や人手不足が明確であり、しかも売上が横ばいでも、経常マージンは8%という比較的高い水準が予想されている。
これは経営者のコストコントロールへの自信、AIやソフトウェア投資で自動化・効率化を実現できるという自信の表れではないだろうか。
設備投資全体は企業業績の停滞もあり、全産業・全規模で-2.8%とマイナスに転じるが、ソフトウェア投資は+5.8%、そのうち中堅企業+19.2%、中小企業+6.3%と大幅に伸びる予想だ。
こうしたソフトウェア投資に注力することで高い利益率を維持しようとしているのかもしれない。
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