
中国の習近平がイタリアを訪問し、イタリアが「一帯一路」に参加することで合意した。
そして、中国はイタリアの港湾整備に2兆円以上の資金を支援すると表明した。
これに対してEUの一部の国や米国などは、中国の影響力の拡大と軍事的プレゼンスの強化に警戒感を示している。
でも、このイタリアと中国合意は中国の外交の特徴をよく示しているし、ある意味必然なのかもしれないと思う。
中国の外交は世界各地で経済的に困っている国、嫌われている国、弱みを持っている国をターゲットにしてきたところに特徴がある。
影響力を拡大してきた地域に東南アジア、アフリカ、中南米などが多いのが、こうした経済的に困った国や弱みのある国をあえて狙っているようなフシがある。
アフリカでは・・・ケニアでは費用3200億ドル以上の9割を中国が融資し鉄道を建設した。これで同国の対外債務は急膨張し20倍になったと言われている。セネガルでも高速道路を中国の数億ドルの融資で中国企業が建設し、セネガル政府が返済するという構図だ。先進国があまり手を付けていない中部アフリカに資金を融資し、政府を借金漬けにしている例も多い。
中国資本がアフリカ経済を発展させているのも事実だが、現地との軋轢も多い。
中南米では・・・ブラジルには2000年以降合計5兆6600億円の直接投資をして、油田、鉱山、港湾、大型ダム、送電設備を買いあさり、ボルソナロ大統領は中国に支配されるとの警戒感を示した。
ベネズエラでは7兆2000億円を貸し付けているが、同国は経済破綻状態でほとんど返済不能に落ち込んでいると見られている。
その他、チリやペルーでは最大の貿易相手で大豆や石油や銅の大量輸入により、中国のプレゼンスが際立って大きくなっていると言われる。
アフリカや中南米に共通するのが、潤沢な中国資金が経済の弱い、あるいは、現地政権の弱みを突いて、巨額な融資とともに中国企業がインフラを建設し、現地政府が債務漬けにされながら返済していくという構図だ。
そして、今回、欧州地域で経済的弱みを持っているイタリアとの「一帯一路」の合意となる。
おそらく、経済的に弱い国を狙ったという意味ではアフリカや中南米と同様のケースを欧州に広げたということだろう。
東南アジアでの「一帯一路」外交はマレーシアの鉄道、スリランカの港湾でも問題を起こした。
中国の強引な開発案件で現地政府に拒否感がでたり、元利支払い不能になったりする例が見られたが、そうなると、中国はスリランカのように港湾の使用権を奪い取るなどの強硬策に出る。
イタリアでも同じかもしれない・・・港湾整備に中国が2兆円以上を融資し、中国企業が建設を受注し、イタリア政府が膨大な債務を背負って、融資を返済していくということになるのだろう。
結局、潤うのは工事を受注する中国企業で、イタリア政府が返済に困れば港湾の使用権を中国に奪われるかもしれないし、地中海の要衝を中国はゲットできるという大きな利益がころがっていく。
しかし、これやり方は限界がいずれ見えてくるだろう・・・なぜなら経済的に弱い相手には本来、無償資金で支援すべきなのに、中国はあくまで融資で開発し、現地に元利返済を求めるからだ。
相手の弱みに付け込んだ海外進出が、中国の思惑通りにいくとは限らない。
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