
公募投信の選び方は、(1)小型株やグローバル高配当などの自分でできない運用はプロに任せた方がいい、(2)新興国の高金利通貨を買うことが多い、通貨選択はかなりリスクが高いので十分に慎重に検討すべき、というところまでは検討してきた。
まだ、もう少し、公募投信で知っておくべきこともある。
その一つがカバードコールが付いた投信だ。
カバードコールはコールオプションの売りが付いている投信だ。
コールオプション(買う権利)を売ると、その値段で株価指数を売る権利を持つことになる。
だから株価指数が上昇していくと損失が出るが、その代わりにオプション料を受け取ることができる。
コールオプションの付いた投信はオプション料をもらえる分だけ投資リターンが上がる。
実際にある公募投信では株式部分の半分程度をコールオプションで売るケースが多いと見られる。
そうなると投資家の損益はどうなるだろうか?
株価指数が下落した場合・・・当然のことながら、株式部分で価格が下落し損失が出る、しかし、コールオプションの売りによるオプション料の受取りが利益となり、株式部分の損失の一部を相殺する、全体のリターンはマイナスだが、マイナス幅が抑えられる。
株価指数が上昇した場合・・・株式部分で利益が上がるが、コールオプションを株式部分の半分を売っているため、利益は半分になってしまう、それにプラスしてオプション料の受取りも利益になる。
株価指数が横ばいの場合・・・株式部分は損益チャラだが、オプション料の受取りでリターンはプラスになる。
つまり、簡単にいえば、株式指数の上昇の半分でコールオプションを売り、株価指数の下落に備えた投信といえる。
日本株投信などでは、投資家は自分でポートフォリオを作って運用し、その一部をコールオプションの売りでカバードコール戦略を自分でもできる。
しかし、欧米株式やアジア株式では、コールオプションを自分で売るのは少々難しい。
外貨の買い、外貨のオプション売り、外国株式のオプション売りと複雑化してくると、外貨・株式・オプション等のポジション量の調整、ポジション損益の管理と要因分解、証拠金の管理、などなど複雑な仕事をしなければならなくなる。
これらをすべて自分でやるのは個人投資家にはハードルが高い。
カバードコール付きの日本株投信なら自分でやるという選択もありだが、外国株式のカバードコール付き投信なら買った方がいいと思う。
しかし、外国株式のカバードコール付き投信は若干の問題がある。
それは、投信のカバードコール部分を別に切り出して、トータルリターンスワップを海外の証券会社と結ぶ場合が多いことだ。
このトータルリターンスワップは海外の証券会社のポジションを使ってカバードコールを運用し、その結果損益だけを公募投信に反映させるものだ。
つまり、海外の証券会社が勝手にオプション評価してプレミアムを算出し、自己ポジションにするため、やや自分に有利(投信に不利)なプライシングをしている可能性が高い。
でもこれは外部からは確認しようもないので、投資家は文句を言えない。
これは目論見書に出ているのでチェックした方がいい。
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