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AIのHEROZが開発した「AI株式ポートフォリオ診断」をSMBC日興が顧客に提供している。

サービスは二つあり、一つは現代ポートフォリオ理論(モダン・ポートフォリオ・セオリー、以下MPT)を元にポートフォリオ提案をするものだ。
こう書くとなんかすごい事をやっているなんて思う人もいるかのしれないが、MPTはモダンと名前が付いているがもう70年も前の古典的な理論で何も新しいところはない。
MPTとその中心的のCAPM(資本資産価格モデル)のもっとも簡単な意味は、複数の個別銘柄の期待リスクとリターンの組合せの中で、最も効率的な組み合わせは市場ポートフォリオ=株式指数になることだ。
だから、MPTをどういじくってもここから出てくる結論は市場ポートフォリオに近づける組合せになってしまう。
個人投資家が自分の好みの銘柄を選ぶと、あとは自動的に組合せを提示し、市場ポートフォリオに近い(効率的な)ポートフォリオが提示され、それを買ってもらおうという話だ。
これにより個人投資家は1銘柄を買いたいのに効率ポートフォリオとして多くの銘柄を買わされることになる。

もう一つのサービスはAIのディープラーニング機能を使った個別銘柄の株価予測スコアを顧客に示すというものだ。
これは決算データ(売上、利益など)と株価データ(株価、出来高)を元にディープラーニングで1か月先の株価を予測し、スコア化するという。
スコアの高い銘柄を中心に組み合わせれば儲かるというわけだが、問題は決算データは過去の数字で過去の数字をいくらいじっても予測はできないし、株価データをうまく使うということは罫線読みをAIにやらせる程度の話になる。
もちろん、AIによる罫線読みが成功する場合もあるだろうし、失敗する場合もあるだろう。
でも、もっとも良いのは証券会社で、スコアが仮に全く当たらなくても、すべてをAIのせいにできることだ。
SMBC日興のセールスは顧客に大損させても、「自分のせいではない、AIのせいだ」と開き直ることができる。

証券会社には至れり尽くせりのAIで、ポートフォリオと称して不要な銘柄まで売買させ手数料は増やせるし、顧客に大損させても開き直ることができる。
SMBC日興、恐るべし・・・AIと名付けながら、うまく儲ける方法を考えたものだ。



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