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プライマリーとセカンダリーの発行市場を見てきたが、今回から株式の実際の取引を行う流通市場を見ていきたい。
流通市場はセカンダリーの株式取引を行う取引所で、以前は東京、札幌、名古屋、大阪、広島、九州までのローカル取引所があったが、現在は日本取引所として、現物株は東京に集中し、先物は大阪に集中して取引が行われている。
この流通市場は上場基準を明確にして、上場銘柄の情報開示を標準化し、投資家が安心して取引できる基盤を提供している。
東京証券取引所は1部と2部、マザーズなどに分かれている他、JASDAQ市場がある。
どの市場に上場してても同じと思うかもしれないが、実際は大きな違いがある。

まず東証1部に上場している会社。
上場基準は、株主数2200人以上、流通株式2万単位以上、時価総額250億円以上などがある。
当然、一部上場となれば日本でも代表的な企業として信用度も高いし、そこで働く社員も自慢できる。
でも、もっとも大きな違いはTOPIXという東証1部の全銘柄を対象とした株価指数の存在だ。
一部上場となれば、このTOPIXの採用銘柄となり、インデックス投資の対象になる。

東証2部に上場している会社。
2部の上場基準はだいぶ緩くなり、株主数800人以上、流通株式4000単位以上、時価総額20億円以上などだ。
2部に上場して株主数を増やし、時価総額を増加させてから1部に昇格するのが普通で、2部市場は単なる通過点になってしまっている。
だから、2部では投資家に人気のある会社はすぐに1部昇格してしまい、ずっと2部に上場している会社は成長性がないと思われてしまう。
こんな状態では2部市場上場の意味が不明だ。

さらにマザーズ市場とJASDAQ市場となると、違いがよく分からなくなる。
上場基準では株主数ではマザーズもJASDAQも200人以上と同じ、流通株式はマザーズが2000単位だがJASDAQは流通時価総額5億円以上と多少違いがある。
上場時の時価総額ではマザーズが10億円以上、JASDAQは50億円以上と異なる。
この違いに何か意味があるのかはさっぱり分からん。
小規模企業のスタートアップをサポートするならば、マザーズとJASDAQは統合して、設立直後から上場させて小型の成長企業を育てるぐらいの特色のある市場にすべきだろう。
スタートアップ直後から上場させ、情報の開示やエンゲージメントを義務付け、投資家と対話をしながら資金調達し成長していく・・・投資家を一緒になって成長物語を作っていくような市場があってもいいと思う。
投資家サイドから見ても、クラウド・ファンディングやICOなどの投資家保護規定のない資金調達に参加するよりも、このスタートアップ向けの市場で経営者とともに会社を成長させ、時価総額を増やしていける方がずっと良いだろう。
もともとは米国のNASDAQ市場のような新興企業向けの市場として作られたはずだが、なんか違ってしまった。

資金調達に主眼を置いたスタートアップ向けの市場と、巨大なインデックス投資に耐えられる規模と流動性を持った1部市場だけあれば十分だろう。
東証は、プレミアム、スタンダード、エントリーと三つの市場に集約する市場改革を打ち出した。
でも問題は時価総額を基準にした区別だ。
時価総額は株価によって大きく変化し、それを基準にすると、株価の変化で上場する市場がコロコロ変わってしまリスクがある。
三つの市場の特色を明確にして、エントリー市場のまま「NASDAQのアップル」のよう企業を生み出す制度にしてほしいと思う。




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