
米朝の2回目の首脳会談が行われようとしている。
朝鮮半島を巡っては各国の重たい思惑がぶつかり合い、先が見えない状態になっている。
まず、北朝鮮の金正恩だが、彼の重たい思惑は比較的はっきりしている。
それは北朝鮮の独裁体制の維持であり、そのための国際支援を取り付けることだ。
核開発もミサイル開発も、言ってみれば、独裁体制を維持したまま敵国である米国を交渉のテーブルに引きずり出すための道具だったといえる。
そして、ミサイルが米国本土まで届くことを認めさせた2018年、金正恩はトランプ大統領をテーブルに引きずり出した・・・これが1回目の会談だ。
しかし、簡単には国連の対北朝鮮制裁を解除されないことに気づき、さらに非核化カードと制裁緩和を取引しようとしている・・・これが2回目の会談への流れだ。
でも、基本的に叔父や兄を殺害した強権独裁政権の本質は変わっていないし、北朝鮮が韓国と同様な民主国家になることはありえない・・・それが金正恩の崩壊を意味するからだ。
独裁者の末路は哀れで、今まで恐怖で支配してきた国民に殺される・・・フィリピンのマルコスも、インドネシアのスハルトも、イラクのフセインも、リビアのカダフィーも哀れな最期だった。
これを熟知している金正恩は、非核化と国際支援を取引することで自らの延命を意図している。
中国にとっては東アジアで米国を抑え込むことが重たい思惑だ。
今まで北朝鮮の核とミサイルで米国からの緩衝地帯を38度線に作ってきたが、平和交渉を進める代わりに目の上のタンコブである在韓米軍を縮小・撤退させたいということだろう。
北朝鮮の代わりに朝鮮半島全体で米国の響力が低下させ、東シナ海、南シナ海でも中国の優位を確かなものにしたいという重たい思惑が見え隠れしている。
そのために韓国に近づき、韓国、北朝鮮、中国の共通に感情である「反日」を利用しようとしているのかもしれない。
韓国の対日強硬策は中国が裏にいるかもしれないと思うのは、こういう視点からだ。
さらに言えば、世界最貧国の一つである北朝鮮の面倒を見るのも嫌なので、韓国をこの点でもうまく利用したいと思っているはずだ。
韓国は逆に事の重大性を理解していないように見える。
ただ単に、朝鮮半島の平和の実現とか、朝鮮民族の統一とか、民族統一の立役者とか、歴史に文在寅の名を残すとか、その程度の思惑しか見えない。
特に平和条約を締結後、朝鮮半島をどうしていくのか? 連邦制でも考えているのか? 北朝鮮の一人当たりGDP1700ドルの最貧国をどうするのか? ・・・全然見えていない。
単純に計算すると、人口2500万人、一人当たりGDP1700ドルの北朝鮮と、人口5100万人、一人当たりGDP4万1000ドルの韓国が統一したら、人口7600万人、2万8000ドルの国となる。
つまり、韓国人の生活水準は4万ドルから3万ドル割れに低下してしまう・・・それだけ最貧国の面倒を見るのはたいへんなのだ。
その覚悟が韓国人にあるのかどうかも分からない・・・??
米国や日本はどうなのか?
次回考えてみたい。
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