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1月23日の日銀決定会合が行われた。
量的緩和の継続だけで、市場が期待していたTOPIXの買入れ増額/日経225の買入れ減額というETFの買入れ方法の変更もなく、市場には大きな影響なくイベントを通過した。
黒田さんも毎回の会見で全く同じようなことを繰り返して発言しているだけなので、ここ数回の日銀決定会合には市場の緊張感はない。
単にイベントを通過したというだけで大きな変化は生じない。

でも、今回、日銀は物価見通しを引き下げた・・・2019年度を1.4%から0.9%に引き下げ、2020年度も1.5%から1.4%に変更された。
2014年から始まった異次元緩和だが、その政策目標である物価上昇2%はまだまだ達成されそうにない・・・しかも物価見通しを引き下げたにもかかわらず、政策目標を達成するための追加措置を全く講じていない。
これでは日銀に目標を達成しようという意欲も感じられないし、黒田さんの会見を見ていても全く政策責任を感じられない・・・だから市場に日銀に対する緊張感が全くなくなってしまった。
FRBのパウエル会見や議事録に対して市場は緊張感を持って動くし、ECBも注目されているが、日銀のこの「やる気なさ」は誰も関心を持たない中央銀行になっている。

そもそも日銀の量的緩和には最初から異論があった。
一つはベースマネーの供給を増やしても「流動性のワナ」に陥った経済ではインフレは起きないというものだった。
株高や一部の資産価格の上昇だけで一般物価が上がらないという見方だった。
もう一つはマネーの人為的な増加で円の信認が傷つけ円の暴落が現実化する。
これがハイパーインフレにつながり、日本経済の大混乱を招くという見方だ。
いずれにしろ、異次元緩和の結果、デフレが変わらないというのか、ハイパーインフレになるのか、両極端な見方が多かったと記憶している。

結果は? というと・・・個人的な評価だが、量的緩和は十分に有効だったと見ている。
たしかに2%のインフレ率は達成されていないが、異次元緩和をせず白川前総裁の引締めっぽい政策を続けていたら、今でもデフレが加速し不動産価格は下落を続け、株価も1万円以下のままだっただろう・・・日本は世界から完全に取り残され、とんでもない悲惨な状況に陥っていたと思うからだ。
結局、異次元緩和が日本をデフレ加速から救ったと思うし、インフレ率2%を達成しないので、逆に量的緩和を永久に続ける明確な根拠となっている。
FRBが金利を継続的に引上げ、バランスシートの縮小=マネーの縮小を始めている局面で、日銀の永久緩和は世界経済の安定要因となっているだろう。
と言う意味で・・・注目されない地味な日銀ではあるが、実は、逆説的に大きな役割を演じているともいえるかもしれない。



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