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日本は移民も少なく同質的で、自ら「1億総中流」と言ってきたほど、格差の少ない社会だと思われてきた。
しかし、「万引き家族」が海外でもヒットし、日本の貧困問題が海外で驚きを持って注目された。
日本でいう貧困はアフリカ等の地域で一日2ドル以下での生活を余儀なくされている絶対的な貧困ではなく、日本の平均的生活水準から見て大幅に低い世帯のことであくまで相対的な貧困だ。
日本の世帯当たりの可処分所得の平均245万円の半分以下で生活する人々を貧困層と定義し、月10万円の収入以下の世帯の割合を貧困率として発表している。
2015年の統計だが、日本の貧困率は15.6%、ひとり親の世帯の貧困率は50.8%で、先進国の中で最もひどい隠れた貧困大国だった。

生活保護の受給者数は214万世帯だが、ここ10年で大きく伸びたのが高齢者世帯で47万世帯から83万世帯に増えた。
要するに日本の貧困問題は高齢者世帯の問題でもあるわけだ。
しかし、高齢者世帯は一方で金融資産を平均2000万円も持ち、他の世代より多くの金融資産を保有している富裕な人たちでもある・・・これをどう理解したらいいのだろうか?

どんな高齢者でも、65才以上でも働ける社長や会長以外は基本的に収入が少ない。
60歳を過ぎたら再雇用で働いても月30万円程度が精一杯だし、年金は国民年金で月6万円、厚生年金でも月15万円程度(一人当たり)しかもらえない。
しかも、自分で働いて稼ぐと年金がカットされるので働いても年金減額で収入はたいして増えないのが現状だ。
だから、一旦、高齢者が貧困層に落ち込むと自分で打開し浮上するのは非常に困難で、これが最大の問題だろう。
生活保護は月10万円以下だし、年金だけなら十数万円以下で、他に何もなければ政府の定義では貧困層に入ってしまう・・・つまり、ほとんどの高齢者が貧困予備軍ともいえる。
さらに政府は「働き方改革」と称して、年金財政の厳しさから年金受給年齢をどんどん引き上げていく方針だ。
そして高齢者も70歳まで働けというが・・・人生の最後の20年間をどう過ごすかぐらい、自分の好きなようにしたいというのが本音だろう。
つまり、高齢者は自分で考えないで政府の方針のままに従っていると、日本の貧困率を引き上げていく存在に落ち込んでしまうわけだ・・・これが政府が仕掛けた罠で、これからも高齢者の貧困率は上昇していくのは間違いない。

そこで60歳越えたら、最も重要なのがネット・キャッシュフローの管理ということになる。
毎月の年金や配当・分配金や給料などのフロー収入と生活支出をどうバランスさせるかの管理が大切で、これを間違えると、いくら貯金があっても10年後、あるいは20年後に大きな後悔をすることになる。
そうなると、稼げない高齢者はもう復活できないし、貧困層に転落することになる。
ワシも個人資金の運用ではこのキャッシュフローを最も重視して運用している。
現役時代の貯蓄や保有資産にはできるだけ手を付けず、毎月のキャッシュフローを安定させ、生活のための支出とバランスさせることが高齢者の貧困回避に一番大切なことだ。
高齢者は常に貧困と隣合わせにいることを忘れない方がいいだろう。



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