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中国の沿岸地帯、上海から海岸線にそって飛行し、台湾にほど近い厦門に到着する。
この沿岸地域は中国でも経済発展が著しい地域で、高速道路や新幹線などの交通インフラ、工場や製造業の設備投資も集中し、高層マンションやオフィスビルが立ち並ぶ不動産投資の集中している地域でもあったので、飛行機から見える陸地はとても興味深い。

飛行機で厦門空港に近づき、飛行高度が落ちてくると、たくさんの鉱山や石切り場が見えてくる・・・厦門は石の採掘でも有名で、友人の建設会社員はよく取引先を連れて行っている。
地面にある大きな穴が、高速道路のすぐ近くに開いている所が飛行機からよく見える。
そのたくさんの大きな穴は石の採掘場で、山を削るだけでなく地下まで採掘した跡だった。
それが高速道路の脇にある大きな穴で、高速道路が崩れたりとか何かしら影響しないのか心配になるぐらいだった。
これを見て思ったのが、中国のインフラ投資はGDPの4割を占める成長ドライバーであったが、これが段々と伸び率が低下すると同時に、たとえば、廈門の大きな穴を埋めたてる必要があるかもしれないし、もの凄い金額のメンテナンス費用がかかるかもしれない・・・ということだった。

厦門の採石場と高速道路のメンテナンスの関係はよく分からないが、中国人は一気に急激な投資で高速道路網を広げたので、その後のメンテナンスの難易度やかかる費用を十分に考えていないで作ったような気がする。
日本でもトンネルの崩落やがけ崩れなどが多く起こり、作ったインフラの維持管理は大きな問題になっているが・・・中国でも同じというか、さらに投資額が大きかった分、今後の大きな問題になりそうだ。
過去20年間でおよそ20兆元以上の高速道路投資をしており、日本と同様に1%の維持費用が毎年かかると、2000万元(3兆円以上)の維持費用が毎年の負担になってくるかもしれない。

中国の固定資産投資には、日本でいう公共投資と民間設備投資を足し合わせたものだが、投資項目では道路・鉄道などの交通インフラ投資、ダムや河川などの水利資源投資、製造業の投資、不動産関連投資などが上げられる。
この固定資産投資全体では、水利資源の投資は続くものの、交通インフラや不動産関連は伸び率があきらかに鈍化してきているし、米中摩擦とサプライチェーンの再構築によって製造業の投資も先行き不透明で、すでに投資全体の長期的な伸び率が鈍化し始めている可能性もある。
中国は広大な国土を持つので、高速道路や鉄道をどんどん建設することはできるが、誰も使わない高速道路を作っても無駄だ。
インフラの更新投資はまだ10年以上先の話だろうが、長期的には人口のピークアウトとともに膨大なインフラの更新時期が重なってくる。

日本でも高度成長期には民間設備投資がGDPの20%以上、公共投資がGDPの10%近くを占めていた。
この投資がリードする経済から、消費中心の経済に移行したのが、バブル崩壊の1990年代だった。
中国も固定資産投資がリードする経済構造から消費中心の経済に移行する時期に入っている・・・としたら、中国の投資は継続的にGDP比が低下していく局面に入ったのだろう。
中国の長期トレンドは屈折点に入っている気がする。




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