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金融庁は日本の運用業界が特殊な発展をしてきたことをよく理解しているからこそ、欧米諸国で常識となっている原則を相次いで導入した。
英国の規範を手本にしたコーポレートガバナンスコードとスチュワードシップコードだ。
コーポガバナンスコードでは、上場企業に向けて株主権の保護や株主との対話、情報開示と透明性、取締役会の責務などの原則を・・・スチュワードシップコードでは機関投資家の受益者責任を明確にして、利益相反、経営者との対話(経営モニタリング)、議決権行使と結果の公表(定期報告)などが定められている・・・そして、ほとんどの上場企業、運用会社がこれにそったガイドラインを作った。

金融庁が金融レポートを発表し、国内投信についても金融庁の圧力が増している。
販売や運用手数料の高さも指摘されているし、手数料控除後のリターンが低いとか、販売会社と運用会社の系列関係などの問題点も挙げられている。
ご指摘ごもっともという感じだが、問題は金融庁の言う通りにしていると、手数料の低い(ノーロード+低信託報酬)のインデックスファンドばかりになってしまう。
本当に、日本の投信業界はインデックスファンドばかりでいいのだろうか?
逆に金融庁のこうした行政指導が運用会社の創意工夫やイノベーションを妨げてしまうこともあるかもしれない。
NISAでインデックスファンドを買うだけの業界になったら、誰もイノベーティブな発想で面白い投信を作ろうなんて思わなくなってしまう。

たとえば、金融庁に問題視されている毎月分配の投信だ。
2000円程度の基準価額の投信が年800円の分配金、20%の分配を出したりしている。
そして毎月分配投信は、タコ足で自分が払い込んだおカネをもらっているだけだとか、高い分配で複利効果が全くないとか、分配金に税がかかるので無駄が多いとか批判される。
でも、多くの高齢受益者のアンケートでは年金不足を投信の分配金で埋めてくれるのでありがたいとか、元本部分は相続で親族のモノになってしまうが分配金は生きている間に自分が使えるのでありがたいという声をよく聞いた。

投資常識からいえば金融庁の言う通りで、タコ足配当は永続的でないので問題はある。
だが、高齢者の事情を考えれば投資理論がすべてではないだろう。。

欧米の仕組みや理論をそのまま日本に持ち込もうとしても、投信ガラパゴスの投資家編・販売会社編・運用会社編で書いてきた通り欧米とは投信業界の生い立ちが違い、全く同じにはならない。
役人が形式だけでやると、手数料が安く効率的なインデックス投信だらけになる・・・それが本当に投資家のためになるのだろうかとも思う。
それより日本の金融事情にあった、日本の投資家のニーズにそった投信のイノベーションが日本の投信ガラパゴスを変えていくのではないだろうか?
金融の常識で縛り付けるのではなく、業界の自由度を高めることでイノベーションを刺激し、日本の投資家に合った投資を広げていくことも大切なのではないだろうか?






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