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英国のEUからの離脱法案が大差で否決され、ブリグジットが不透明になった。
一応、4月の離脱期限に向けて、(1)英国・EU間での合意のないまま離脱するシナリオ、(2)メイ首相が退陣し次の首相がEUとの合意を作り離脱するシナリオ、(3)EU離脱の見直し・・・といくつかのシナリオは考えられる。

このままいくと、一番可能性が高そうなのが(1)の合意のないEU離脱シナリオだが、これが起こるとどうなるのか?・・・英国は通貨統合には関係ないので、域内の関税、単一市場へのアクセス、人の自由な移動などが制限されるハード・ブリグジットになるかもしれないと警戒感が広がっている。

でも、これで英国経済が崩壊するとか考える人はいるかもしれないが、一時的には混乱しても別に英国とEUは新たなヒト・モノ・カネの動きのルールを決めればいいだけかもしれない。
そこは「大人の国」のイギリス、大人の対応で切り抜けるのかもしれないし、ミステリー好きのイギリス人には格好のトーク・ネタになっているのではないかとも想像できる。
イギリスという国は「ネス湖の恐竜」とか、「ミステリー・サークル」とか、人をびっくりさせて楽しむところがあり、一時的ヤバイと思っても何となくうまく乗り越えてしまう。

まあ、仮に合意のない離脱を決定しても、その後に急速に歩み寄り、次のルールを作るかもしれない。
あるいは、離脱を一時棚上げにして、国民投票か総選挙を行い、新たな民意で離脱をやめたということになるかもしれないし、・・・なんとかしてしまうのがイギリスという国だと思う。
だから、このブリグジットでグローバル市場が大暴落するとは思えない。
昔、これをブリブリ・エグジットと呼んでいたのを思い出した。
クレヨンしんちゃんのような茶化した話題だと思ったからだ。

でも、国民投票が「YESかNOか」の単純な投票で行われるためYESとNOの中間的な意見が反映されないことが問題だろう。
人間はいろんな条件付きで物事を判断しているのに、無条件での残留か離脱を問われたら、けっこう悩んでしまう人たちが多いかもしれない・・・もし、自分がそういう立場にいたらムチャクチャ悩む。
移民の制限は必要だけど、単一市場の経済的メリットは大きいからだ。
もう一つ、国民投票で多数となったEU離脱を覆すのにどういう政治プロセスが必要なのかが分からんことも大きな問題になるだろう。
国民投票、リファレンダム、これって現在の間接民主主義の世界ではきちんと定義されていない。
日本でも政治体系の中で国民投票が出てくるのは、憲法改正の手続きだけだ。
国民投票で多数決された案件は、どこまで有効性があるのか? これを覆すには何がいるのか? きちんと定義する必要があるだろう。
投票で自らの代表を選びその代表が議会で国家の意思決定をするのは、直接民主主義である国民投票が有効な決定にならないからだ。
この程度の国民投票をわざわざ実施して、得意の「ミステリー・サークル」を作り出し、2年もの間楽しんできたような気がしてならない。



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