7972BB11-D039-44F8-AFBA-E0B30A163DAF
















ガラパゴス化した投信ビジネスは、個人投資家、販売会社、運用会社、規制当局などの様々な組織・個人が長い時間をかけて作り上げてきた特殊な慣行とシステムによって成り立っている。
前回は販売会社の側から投信ガラパゴスを見てきたが、今回は運用会社の側から見てみよう。

まずは運用会社のトップ人事が金融グループ親会社によって決まることだ。
独立系運用会社は別だが、日本の大手運用会社はすべて金融グループの子会社だ・・・三菱UFJ国際投信は三菱UFJグループ、アセマネONEはみずほグループ、SMAMはSMBCグループ、日興アセット(ちょっと違うところもあるが)は三井住友信託、野村アセットは野村証券、大和アセットは大和証券、東京海上アセットは東京海上といった具合だ。
運用会社の社長はグループ人事で決まり、グループ役員が社長として運用会社にきて任期3-5年程度でぐるぐると変わっていく。
運用会社の社長はグループの意向に逆らえないし、運用現場を経験していない社長が経営改革するには任期が短すぎるという訳で、運用会社は旧態依然とした経営が続いてしまうケースが多い。

次に強い現場(ファンドマネージャーやリサーチなど)が運用会社の根幹だがそれも限界がある。
ファンドマネージャー、アナリスト、マーケティングなどの専門職は非常に強いプライドと受託者責任を感じて仕事している・・・それが運用会社の基本にあり、競争力の源泉だ。
その彼らは社長や取締役などの経営陣を、親会社からフラフラ降ってくる落下傘部隊と呼んでいる。
経営陣がどうであれ、自分たちが運用会社を担っているという強烈な自負があるからだが、所詮、彼らも雇われで自分たちが経営者になれるとは思っていない。
それが大きな問題で、彼らの強いモチベーションもどこかで限界に達してしまう。
ビル・グロスやジョージ・ソロスのように自らの運用力で運用会社を成長させていく運用者は日本ではきわめて少ない。

もう一つはグローバル運用の体制をつくるコスト(高額報酬で一流ファンドマネージャーやアナリストを雇う)が高く、グローバル運用の規模が小さい運用会社では費用対効果が見込めないためだ。
となるとグローバル株・債券の投信をつくるときは、海外の運用会社の商品を導入しなくちゃならなくなる。
国内の販売会社と海外の運用会社の間にたって、海外投信の目利きをしてアレンジし国内投信として設定するのが日本の運用会社の仕事になってしまった・・・これは両者の間で投信という箱だけを作る「箱貸し」と呼ばれる。
大半の運用報酬は海外の運用会社に取られ、わずかな報酬と引き換えにグローバル運用のできない運用会社になってしまった。

こうした金融グループの傘下の運用会社には自ら経営改革していく経営体制はない、ファンドマネージャーやアナリストも優秀な人材はいるが将来運用会社を発展させるようなポジションには就かない、グローバル運用体制の構築ができないという運用会社の事情が投信ガラパゴス化を一段と進めてしまったように見える。

運用会社のレベルアップと金融グループからの独立が必要だが、なかなか難しい道のりだろう。
その点、独立系の運用会社は運用者=経営者で伸びていく可能性がある。
レオス・キャピタル、鎌倉投信・・・などなど、日本の投信ガラパゴスを変える存在になるかもしれないが・・・



にほんブログ村