
日本市場では外人投資家は毎日の売買の半分以上、保有率で40%という大口の投資家だ。
昨年10兆円以上という大幅な売り越しを記録したが、これが日本株の年間上昇率マイナスに直接つながった・・・ということで、外人投資家が売れば下がるし、買えば上げるというのが日本市場の現状でもある。
しかし、ファンダメンタルに目を転じると、日本は米国や欧州ともかなり異った局面にあるし、アジアの他の国とも大きな違いが広がっている。
たしかに需給面ではNY市場との連動性が高い日本市場だが、2019年はファンダメンタルの違いが日本の株価に影響し始めるのではないかと考えている。
まず第一に金融の抜群の安定性と、それによる不動産市場の堅調さだ。
昨年12月の東京都心の空室率が2%を割り込み、バブル期以来の低水準を記録した。
全国の主要都市でも名古屋2.90%、大阪2.86%、横浜2.70%、札幌2.32%、福岡2.20%とすべて3%を割れと好調なオフィス需給を映している。
この不動産市場の好調さの要因の一つは国内の金融の安定性であるのは間違いない。
FRBの金融政策やECBの出口政策が話題になるが、日銀の永久緩和はまさに一番の金融安定要因だ。
リートの上場時価総額は2013年の7.6兆円から2018年の13兆円まで5年で7割以上の急増をしているが、様々な要因があるにしても、日本の金融環境が安定していたことが大きい。
リートは公募増資による調達資金に加え、ローンによってレバレッジをかけて不動産投資を行っている。
LTVは40-50%(負債/資産価値)で安定しているので公募増資した分ローンも増やしてきたし、しかも調達金利はリートの信用力で変わるが、主要リートで年1%以上だったのが年0.5%まで低下している。
日銀の量的緩和、ゼロ金利政策の恩恵を大きく受けてきたのが不動産市場だったといえる。
2019年、不動産市場の堅調な日本が世界でも注目されることになるだろう。
第二の要因は国内のイベント効果が大きいことだ。
今年は元号の改変、新天皇の即位、参議院選挙、消費税の引上げ、ラグビーのワールドカップ、来年は東京オリンピック、そして、その先は大阪の万博とつながる・・・日本はビッグ・イベントの集中時期に入る。
もちろん、高度成長期とは違いこれで日本経済が急成長するわけではないが、成熟経済にあってもイベントの効果は大きく、これに伴って販売促進や設備投資が刺激される。
Jホテルリートが東京オリンピックの会場であるお台場でヒルトン東京を624億円で買収したが、この物件は2018年1月に600億円でヒューリックが購入したもので、わずか1年で4%程度の値上がりを示した。
当然、オリンピックに向けたホテル投資だが、こうしたイベントに向けた投資も東京の至る所で増えてくると見られる。
小売り関係でも新天皇の即位や消費税(ポイント還元)に向けた販売促進やキャンペーンが続々と打たれるはずだ。
さらに訪日外国人が年3000万人以上という時代、こうしたイベント効果はバカにできないだろう。
・・・というわけで、2019年は日本の隠れた強さが表に出てくる年を考えている。
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