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中国社会科学院学術委員の余永定氏の12/26の発言・・・
現在最も危険なのは、経済成長の伸びが相当安定したペースで鈍化していることだ。このペースでは、5年もかからないうちに、経済成長の周期が終わるだろう。」
また、中国人民大学国際通貨研究所の向松祚氏の発言・・・
自身が入手した「重要研究機関の内部調査結果」では、今年のGDP成長率は実際、1.67%であることが分かった。また、別の試算方法ではマイナス成長だった。」

このところ中国の学者の間では経済成長の鈍化が傾向的に起こっていることに不安を指摘する声が増えてきた。
2008年のリーマンショックでは40兆円規模の経済刺激を行い中国は成長軌道を回復したが、今回は財政出動も金融緩和に効きづらい、長期的な成長鈍化に見舞われようとしているのかもしれない。
財政出動については・・・中国は今まで20年以上にわたり巨額のインフラ投資(固定資産投資)を行い経済を支えてきたが、これ以上の財政拡大も乗数効果が下がるだけで効果の限界が見えてきている。
さらに金融政策についても・・・すでに巨額の債務(地方政府だけで40兆元、家計債務がさらに40兆元、さらに・・・)があり、金融緩和で大幅に融資が増えて経済が刺激される局面ではない。
財政出動も金融緩和もその限界が見えてきたのが現在の中国で、この点を中国の学者は懸念しているというわけだろう。
この1月にも預金準備率の引き下げを行ったが、短期的に預金準備を引き下げたり、減税したりという延命政策は出るけど、抜本的な経済政策は効果が見込めない。

問題は長期繁栄の末期にこうした現象が現れることだ。
80~90年代の日本では、逆に三重野さんの「バブル退治」で極端な引き締め政策を実施した結果、不良債権の山を作りその処理に10年かかり、三つの過剰からのデフレにさらに10年かかった。
中国はこうした日本のバブル崩壊からの長期停滞をよく勉強しているので、三重野さんのような「バブル退治」はやらない。
その分、財政や金融政策を小刻みに使い、景気の下振れを防いできた。
しかし、それでも長期繁栄の末期症状は出てきているし、それに輪をかけるのがトランプ大統領との摩擦だ。

すでに今回の米中摩擦への対応として、海外企業や一部中国企業も中国外に生産をシフトし始めている・・・これはサプライチェーンの全面的見直しであり、構造的な変化だ。
もしそんな時、強烈な金融緩和をすれば、中国内の資本が一段と海外に流出してしまい、人民元は下落する。
そうなると、人民銀行は人民元を買い支え、ドルを市場に放出する・・・外貨準備がさらに減少し一定水準を下回れば、外貨準備を元に投資をしているSAFEやCICも資金難になる・・・投資している金融商品や株式を売却する・・・と悪循環に陥ることになる。

それほどのタイミングで、トランプは対中摩擦を仕掛けた。
中国にできる事は構造変化をゆっくりと進ませるため、小刻みな延命政策を打っていくことだけかもしれない。






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