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この本はなんと1969年に書かれたチャート分析の教科書だ。
チャートは学んで忘れろと言われるテクニックで、形のとらわれすぎると失敗してしまう微妙な分析ツールだ・・・しかし、株価の動きから、市場の心理の変化をとらえる・・・使い道によっては便利で簡単な分析手法だ。
株価はランダムに動くので、過去の株価の動きを示すチャートが未来を示すことはありえない。
しかし、株価は市場心理に影響されて急落や急騰を繰り返す・・・これはファンダメンタルでは説明しきれないもので、市場心理の急激な変化が要因だ。
その意味で市場心理の動きを示唆するチャートを見るのは有効といえる。

この本の中に「一日の反転」という言葉が出てくる。
「一日の反転は、恐怖の売りの終わりにしばしば現れる。セリング・クライマックスと呼ばれるが、特別な意味がある。」
「長期的な上昇や下落のあとに数か月間に記録された一日の売買量をはるかに上回る売買量とともに現れる。その日はギャップ(窓)を開けて寄り付き、急激に上昇または下降する。値動きの幅も通常なら2-3日で動く分を短時間で記録する。しばらくの激しい値動きの後、突然の反転が起こる。そこからそれまでとは逆に急激な反対売買が起こり、株価は下落または上昇する」

こうした激しい株価変動は長い間市場を見てきた人は何回も経験している。
売りが売りを呼ぶ、心理的にも非常にキツイ場面で、起こる現象だ。
昔の人はこのセリング・クライマックスを「コツンと音がした」と表現した。
これは「コツン」と株価が底を叩いた音だとされてきた。
ホントに「コツン」という音を聞いたわけではなく、音を聞いたような感じになるほどの急激な市場変化だということだろう。

というわけで、このセリング・クライマックスのクラシカルな条件は、(1)寄り付きから大きな売り注文が出て、多くの銘柄が売り気配となり、ギャップ(窓)を開ける、(2)その後も急激な一方向の値動きで、短時間で2-3日分の動きを記録する、(3)売買高が急増し、過去数か月の一日売買量を大きく上回る出来高を記録する、(4)突然、反対売買が急激に出て株価が反転し、反対方向に急激に動く、ということになる。

先輩ディーラーA氏。
まだ、東証に場立ちがいて体育館のような場所で注文・約定が行われていた頃の話。
このA氏は「場立ちの足音」を聞いてセリング・クライマックスを判断していた。
ドッ、ドッ、という場立ちの足音がいつもより格段に大きく煩雑に聞こえると「コツン」は近いと言っていたのを思い出す。
顧客トレーダーB氏。
当時のトレーディング・フロアーには大きな株価ボードがあり、そこに数百という銘柄の株価・前日比が出ていた・・・赤の表示が前日比プラス、青の表示が前日比マイナスだった。
このB氏は「相場が下がり、表示の赤がどんどん減って青がどんどん増えていく・・・そして青ばかりになると、そろそろ「コツン」が来るぞと身構えたそうだ。
というように、昔はそれぞれがこのクライマックスの判断を経験的にやっていた。
今の電子化された市場は全く役に立たないけど・・・それでも電子化された市場でもセリング・クライマックスは起こる。

昨日24日のNY市場の急落を受けて今日は朝から売り気配の銘柄が多く、しかも寄り付きは窓を開けての急落し、その後は下げ続け、大引けは1000円以上の大幅な下落になった。
しかし、クリスマスで外人は少なかったと言われるが、売買代金は2兆5000億円で通常の範囲だった・・・というわけで残念ながら、セリング・クライマックスの条件には当てはまらない。

でも、インデックス売買が中心になっている現在の市場では、このクラシカルなセリング・クライマックスの条件も変わってきているだろう。
後編では、インデックス売買中心の現在の市場で、セリング・クライマックスがどう起こるのかを考えてみたい。



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