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今年の株安の震源地は米国ではなく中国だ。
今年の1月まではトランプの法人減税により米国株が急上昇したことで各国ともに株価上昇の恩恵を受けてきたが、1月後半からトランプの関税引き上げ政策が発動されグローバル市場は株安に転じた。
しかし、その後は再上昇した米国株や日本株、往来相場に終始している欧州株、下落トレンドの上海株や香港株と値動きがバラつき、特に上海株は1月高値から29%の下落、香港株は25%の下落・・・中国が株安の震源地になったのは間違いない。

経済実態への影響として、まず最初に注目されたのが中国の7-9月期のGDP速報だ。
実際の対中国関税引き上げ時期は、7月初旬に第一回目、8月下旬に第二回目、そして、9月に第三回目が行われたが、中国の7-9月期GDPや経済指標には部分的にしか表れていない。
7-9月期GDPは前年同期比+6.5%と4-6月期の+6.7%から若干の低下にとどまった。
9月の工業生産は前年比+6.0%、小売りは前年比+9.2%とあまり変化していないし、固定資産投資も1-9月で前年同期比+5.4%と比較的堅調だった。
9月のCPIは+2.5%で食品価格が+3.6%と上昇したが、食品の輸入価格が関税の影響で上がってくるはずだが極端な動きは見られない。
GDPの伸びは確かに予想+6.6%を下回りリーマンショック後の最低の伸び率を記録したが、上海株価の29%下落は市場がさらなる中国経済の減速を見ている証左だろう。

HSBCは「中国経済は勢いを失いつつある。対米貿易摩擦のせいにするのは簡単だが、現在の景気減速は主に国内に要因がある。インフラ投資は縮小し、自動車販売は伸び悩んでいる」とコメントし、OCBCは「関税の駆け込み需要が続くが、5050億ドルの対米輸出に25%の関税が掛けられれば、来年の中国GDPの伸びは6%以下に鈍化する」と懸念を示した。
いずれにしろ、2019年が中国の正念場になると思われる・・・それを市場が織り込んで上海株価が3割の下落を演じたといえる。

中国経済への影響は対米輸出に高関税ー米国への輸出が減少ーグローバル企業が中国の生産拠点を移転ーグローバルなサプライチェーンの再構築という経路をたどると想定でき、中国の工業生産の減少と外国企業の中国投資の減少と二つの影響が考えられる。
グローバル企業が中国の生産を中心としたサプライチェーンを見直すとしたら影響は長期化する。
IMFが10月発表した中国の経常収支は2018年975億ドルの黒字となっており、2017年の1648億ドル、2016年の2022億ドルの黒字から大幅に減少する予想だ。
ただ一方、市場はこうした長期的な影響まで織り込みに行っているのだろう。
今後の市場の見方で重要なのは、この株価下落が中国経済の悪化をどこまで織り込んでいるかの判断で、いつ、どのような形で、悪化を織り込み自律反発するかを想定しておく必要があるかもしれない。




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