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長期金利が世界中で上昇し日本の10年債利回りも上昇している。
その背景にはもちろん米債を中心としたグローバルな長期金利の上昇があるし、また、日銀は前回の決定会合で量的緩和政策をやや柔軟にしたこともある。

前回7月の日銀決定会合で、日銀は従来のイールド・カーブ・コントロールで0.1%でキャップをかけていた変動幅を0.2%程度と長期金利のレンジを2倍に広げ、国債買い入れ額も柔軟にすると決定した。
市場はこの日銀の容認姿勢を見通して0.1%を越え上昇し、0.155%に達した。
日銀の買入れ減額でさらなる長期金利の上昇を容認したのかもしれない(ステルス・テーパリング)と市場は受け止め、長期金利0.2%に向けて日銀黒田さんの7月発言を試すだろう。
でも、わずかな長期金利の上昇だが意外とストレートに貸出金利の上昇につながり、量的緩和政策の効果を薄めてしまうリスクも高くなっている。

すでに各メガバンクの貸出金利は10bp程度上昇してきたし、固定金利の住宅ローンであるフラット35も9月に5bp程度上昇し、10月もさらに2bpと小刻みに上昇している。
もし日銀が0.2%までの長期金利の上昇を容認しているとすれば、長期金利を元にしている固定型住宅ローン金利は一段と上がることになる。
短期プライムレートに連動する変動金利は今のところ横ばいだが、固定金利との差が大きくなっているため変動金利が上昇してくるのは時間の問題だろう。
もし、7月の黒田発言どおりの20bpの長期金利の上昇がローン金利全般の上昇にながると、住宅や不動産には明らかなマイナス効果が出てくる。
それを懸念した売りが住宅・不動産株にはすでに見られる。

そろそろ、黒田さんはガッツリとした国債買い介入をするなどの明確な意志を示さないと、ズルズルといってしまう。
ここで景気の腰を折ったら来年の参院選挙や消費税引上げに大きな悔恨を残すことになるだけに、黒田総裁はいきなり正念場に立たされている。




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