
強気市場では誰でも強気発言をするので、ほとんどの評論家の発言は全く参考にならないし聞く必要もない。
でも、強気市場だからこそ強気市場を否定する情報には気を付けなければならない。
人間には自分にとって不都合な事実を無視するクセがあり、強気の派手なニュースばかりに注目してしまうが、逆にその不都合な事実こそ重要である場合が多い。
いろいろなアンテナを張り巡らして不都合な事実をとらえるのがワシ流だ。
国慶節のニュースを読んでいてちょっと気になったのが、「金融P2Pで損した投資家が国慶節を国難節と呼んでデモ行進をした」というニュースだ。
中国の金融P2Pはネット・サイトを通じて個人の資金を集め、銀行が見向きもしない小企業や個人に小口融資する仕組みだ。
その手軽さから人気が沸騰し、2015年には金融P2P事業者は3500社と急増し、融資残高は1兆5000億元=24兆円に成長した。
しかし中国では悪徳業者も多く、融資に参加した個人投資家に返金されない事例が増え・・・結局、当局が規制を強化することになった。
これが流れの逆転をまねき、今年6月以降243社の金融P2Pが破たんし、社会問題となって抗議のデモ行進が国慶節にまで行われた・・・それがニュースになったというわけ。
巨大な中国経済にとって、金融P2Pの融資規模24兆円はたいした問題じゃない。
融資に参加した個人投資家には身ぐるみ剥がされた人もいて大きな問題だが、中国経済全体では十分に吸収できる微々たる問題にすぎない。
でも、ワシがちょっと気になるのは、この金融P2P問題がシャドーバンキング問題につながることだ。
さらにもう一つの「中国当局はこのほど、債務超過に陥った地方政府傘下の投資会社を清算し破産させる方針を明らかにした。」というニュースだ。
要するに、深刻な債務超過に陥った地方政府傘下の融資平台を切り離して破産重整(日本の会社更生)や清算を実施するという方針を中国政府が出したということだ。
融資平台は地方政府の公共事業を支えた融資プラットフォームだが、債務超過になった場合、地方政府と切り離されて処理されることになる。
投資家は地方政府の傘下だからと安心していたら、突然、切り離され破たん処理されるというリスクに直l面するわけだ・・・そんなことが起こるのが中国という国だ・・・中国人に生まれなくて本当に良かった。
これはとてつもない金額で、この焦げ付きや債務超過が表面化したら・・・考えるだけでも恐ろしい。
この規模で破たん処理されたら、中国政府は知らんぷりして安泰だが、融資平台の理財商品に投資してきた個人はパニックを引き起こす可能性もある。
現在のところ、目立った問題は生じていないようで、すぐに株式市場に影響するわけではない。
今後、リスクシナリオ(可能性が低いが起きると問題になる)として、中国の融資平台関係のニュースには気を付けておきたい。
にほんブログ村