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安倍さんがデフレ克服を言い出してからもう4年以上たっているが、物価が上がってこないし、まだまだだと思っている人が多いと思う。
日銀短観の9月調査だが、数字をよく見ると「デフレ克服へ最後の関門」まで来ていると思うんじゃ。
日本のマスコミは業況判断DIが前期比低下したことで「経済は悪化した」というが、実態を良く見ていない。
ワシの注目する短観の数字を以下にまとめてみた。

日銀短観の判断DI
Mar-17 Jun-17 Sep-17 Dec-17 Mar-18 Jun-18 Sep-18
業況判断 大企業 16 20 23 25 23 22 21
中堅企業 15 16 18 19 20 20 17
製品需給 製造業 -8 -6 -5 -2 0 -2 1
製品在庫 製造業 8 8 8 7 6 6 7
販売価格 製造業 -4 -3 -2 -1 1 5 7
仕入価格 製造業 16 13 14 18 26 30 27
雇用判断 大企業 -8 -10 -11 -13 -18 -16 -18
中堅企業 -17 -17 -22 -27 -29 -25 -27

一番の注目点は、バブル崩壊後90年代からずっと言われてきた設備、雇用、債務の三つの過剰が明らかに解消されてきたことだ。


(1)国内製品・サービス需給DI、これこそデフレの象徴みたいなものだったが、ついにプラス(需要超過)に転換した。
過去20年のレンジはピーク2000年-18~ボトム2009年-59と、設備過剰と供給過剰を反映してマイナス圏で推移してきたが、ついに初めて2018年9月は+1とプラス圏に浮上した。
価格判断DIもタイト化した需給を表してる。
販売価格DIは9月+7と徐々に上昇していると答えた経営者が増えてきたし、仕入れ価格DIは+27と、原油価格や原材料価格の上昇が顕著になってきた。

(2)雇用判断DIだが、これは巷に言われている通りの大幅な人手不足が明確になっている。
大企業でも9月-18と不足状態だが、中堅企業はもっと厳しく-27と大幅な人手不足だ。
これに呼応して、ソフトウェア・研究開発投資が大幅に増えてきている。
大企業のソフト・研究投資は前年比+9.6%、中堅企業ではさらに高く+17.6%で、人手不足を補うために省力化のソフト開発に力を入れている様子が見られる。
人手不足が日本企業のボトルネックとなるかは、外国人への労働市場開放とともに、AIやソフトウェアによる代替効果で決まる。

というわけでデフレの根源であった設備・雇用・債務の三つの過剰はすでに解消されてきたといえる。
あとは企業経営者自身がデフレ発想を転換できるかだ。
つまり、原材料の高騰により上昇した仕入れ価格をそのままにして企業の利益マージンを抑えてしまうか、それとも、販売価格を引き上げて利益マージンを確保するのかという選択と・・・
もう一つは、雇用不足のまま売上げの低下を容認するのか、それとも、利益マージンを確保し賃金を上げて安定的な雇用状態を作り出すのかという選択で、この二つの発想転換を試されている。
この発想転換ができた時本当に意味でデフレ克服といえるはずで、これが最後の関門となるだろう。



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