
SECに証券取引法違反容疑で提訴されていたイーロン・マスクが、2000万ドル(22億円)の制裁金とテスラ会長辞任でSECと和解し、CEOを続けることになった。
テスラ株式の非公開化に関したイーロンのツイートの中で、420ドルで株式を買い戻すための資金が確保された(funding secured)という表現が問題にされた。
その後、テスラ株式の乱高下によるインサイダー取引疑惑もあったかもしれない。
でも、その時点ではサウジアラビアとの交渉が進んでいたわけでウソではなかったし、価格についても時価の20%プレミアムの420ドルも普通だし、インサイダー取引もなかったようだ。
最終合意されていないディールをツイートした罪なのか、株価を乱高下させた罪なのか、なんだかもう一つ訳わからん提訴と和解だった。
でも、それで22億円もの制裁金を払うというのは、イーロン自身にも問題があることを自分で認めたということだろう。
テレビ収録の現場で大麻をプカプカ吸ったり、神経を疑われるようなツイートをしたり、ちょっとした変人ぶりが目立ち「コイツ、大丈夫か?」みたいに見られている時期だけにイーロンの信用をガタガタに壊してしまう。
会長職は辞職してもCEOは継続するので、テスラ株価は一件落着で大幅に戻った。
しかし、テスラのようなキャッシュフロー赤字の企業は常にファイナンス問題が頭痛のタネになっているはずで、CEOとしてイーロンの信用問題は根本的な弱みとなる。
今後テスラの資金調達にどうのように影響するか、よく注意して見ていかなければならない。
イーロンが設立したスペースXでも、企画している月周回旅行の最初の「お客さん」が日本人のZOZOタウン社長だと発表されたが、一連の流れで考えていくとこれもなんか裏の背景がありそうだ。
月旅行の費用が1000億円以上と日本人にはとてつもない金額だが、ワンビリオンダラー=1000億円程度なら支払える金持ちのアメリカ人はいくらでもいる。
さらにイーロンは「我々が彼を選んだのではなく、彼が我々を選んだ」と言った。
その意味は、普通に考えると、アメリカの金持ちには相手にされなかったので、話に色気を見せたアジア人の金持ちをうまく引きずり込んだ、ということだ。
イーロンは自分自身で証明する必要がある・・・それにはテスラの経営を軌道に乗せ、スペースXが約束通りZOZO社長を月旅行に連れて行くことだ。
テスラの第3四半期電気自動車生産が8万台を超えたと発表された。
これで年間目標の10万台をクリアしてくるし、このペースだと年間20万台生産も可能だが・・・安定した生産体制を作り黒字経営できるかがテスラの正念場になるだろう。
若くして創業した会社が合併後ペイパルとして成長し、火星に移民する民間宇宙旅行会社スペースXを創業し、テスラに投資し会長まで登りつめた、天才起業家として高く評価されてきたイーロンマスクだが、稀代の詐欺師として名を残すかの分かれ目だ。
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