
台湾のコウさんに初めて会ったのは社会人5年目ぐらいの時で、本部長のカバン持ち兼通訳でアジア出張した時だった。
コウさん主催のディナーで、人生初めての「ツバメの巣」を食し、お客さん一人一人とする「乾杯(カンペイ)」の儀式を経験したのも懐かしい思い出だ。
その後証券会社の自己勘定運用を担当していた時、台湾株と加権指数の裁定取引を行うチームを台北に作ったのもコウさんの提案があったからだ。
そして運用会社に移ってからも、コウさんが取締役で入っている台湾の保険会社の資金を受託運用した・・・台湾のコウさんとは30年以上に及ぶ長い関係で、台湾は最も親近感を感じる国だった。
不思議に思っていたのが、日本と台湾の国家関係が揺れ動いてきたことだ。
昔は台湾が中国を代表する国だったが、1972年の日中国交回復から中華人民共和国が正式に中国になり、英国の香港返還後、中国が「一つの中国」として香港と台湾を支配下に置いた。
「一国二制度」と言いながら、その後ずっと、中国は香港と台湾の民主化運動や独立運動を警戒し、様々な圧力を掛け続けている。
日本ー台湾の民間レベルでは安定した緊密な関係が続き、最近でも鴻海が苦境のシャープを買収したり、東北の大震災の時は台湾から200億円もの義援金が贈られたにもかかわらず、日本政府も北京に遠慮して台湾関係の改善に踏み出せずにいる。
しかし、トランプ政権が1979年の断交以来の台湾関係を修復する動きに出た・・・具体的には、トランプ政権が米台の議員の交流を含む「台湾旅行法」を成立させ、中国の圧力により台湾と断交したエクアドルや中南米国に圧力をかけたり、さらに北京の反対を押しのけて台湾への軍用部品の売却を実行したことだ。
さらに先週、南シナ海で中国駆逐艦が米国駆逐艦に急接近したニュースとともに、ペンス副大統領が中国批判の演説を行った。
この米国の変化が極東アジアの地政学を大きく変化させるきっかけになるかもしれない。
日本もそろそろ中国に遠慮せずに台湾関係を変更する時期にきていると思う。
九州から奄美大島、沖縄など南西諸島、台湾、そしてフィリピン、さらにベトナムをつなぐラインが中国を封じ込める一本の防衛線になるからだ。
フィリピンは米軍がすでに撤退しているので剛腕のドゥテルテ大統領も単独では中国に強硬策は取れないし、独立派が活動しいるが台湾も単独では中国に対抗できない。
でも、日本、台湾、フィリピン、ベトナムがお互いに協力し包囲陣を構築すれば、一定の発言力を得て東・南シナ海での中国の拡張主義を抑え込むこともできるだろう。
中国が黙っていないだろうが、トランプ政権が動いている間に、日本も台湾との国家関係を改善すべき時期に来ているのではないだろうか?
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