
リートの運用は分配金利回りが4%と高く、キャピタルゲインをそんなに狙わなくても期間トータルリターンを安定して稼ぐことができる。
長期運用には、この分配金利回りにより安定的に期間収益を稼げるのがうれしい。
そのためにもリートの分散投資をきちんと理解しておきたい。
今まで、リートの中心セクターであるオフィス、景気敏感サブセクターである物流を取り上げてきた。
今回は外国人観光客の増加で注目されているホテルリートを取り上げたい。
ホテルリートはホテル不動産を所有するだけで、実際のオペレーションはホテル事業者に任せている。
ホテル事業者との契約には固定報酬タイプ、固定+変動タイプ、変動報酬タイプと複数の契約が混在しているが、ホテルの稼働率が安定的に高まるとともに成功報酬的な変動タイプの契約が増加してきた。
固定+変動と変動報酬タイプのホテルがリートの収益を決める最大要素のなるので、これら契約のホテルがよく見ることが大切だ。
ホテルリートの分配金は賃料報酬と保有ホテル数(+クオリティ)で決まる。
さらに変動賃料はホテルの収益力によって決まり、保有ホテル数は系列ホテルブランドからのパイプラインで決まる。
だから、この二つを見て投資すればいいわけだ。
まず、変動賃料だが、客室稼働率やADR(客室単価)が基礎指標となり、稼働率とADR(客室単価)を掛け算したRevPAR(稼働している客室単価)が最も重要な評価項目となる。
各ホテルリートは月次でこの3指標を開示しているので、投資家はこの開示資料から変動賃料の増減を予測する。
JHRと星野リゾートを実際に比較してみよう。
JHR(8985)の主要11ホテルでは、今期(1月ー5月)で稼働率87.5%、ADR(客室単価)15310円、掛け算したRevPARは13396円で前年比+2.2%となっている。
稼働率も高めに維持されているし、RevPARも順調に伸びている。
このホテルにはヒルトン、マリオット、日航ホテルなど部屋単価の高い有名ホテルが含まれている。
単価の低いシティホテルから高級ホテルまで、バランスの良い安定したホテルポートフォリオになっている。
一方、星野リゾート(3287)は個別開示しかないが、主力の星のや軽井沢でみると、今期1-4月の稼働率71%~84%、ADRは64000~71000円、RevPARは48000~60000円。
星のや軽井沢は部屋単価が7万円近くと高級ホテルだが、稼働率は7-80%と低め、すでに高い部屋単価がさらに上がるとは考えにくく、RevPARの伸び率も限界がある
高級ホテルは客室単価がすでに高く大きな伸びしろがない分だけ、クオリティが高いが成長の点では見劣りしてしまう。
一方中間価格のホテルは需要がタイトになる(稼働率が上がる)と客室単価が上がりやすいので、RevPARの伸び率が高い・・・つまり、分配金の成長力がある。
それだから、星野リゾートも高級な星のやだけでなく界ホテルも増えてきたし、チサンインなどのビジネスホテルにも力を入れているということだ。
もう一つの重要な要素である新規投資対象ホテルのパイプラインだが、ここでは星野リゾートが非常に強いポジションにある。
星野リゾートグループとの優先契約があり、クオリティの高い系列ホテルを優先的に回してもらえる特権を持っている。
でも、JHRも国際的なホテルブランドであるヒルトン、シェラトン、マリオットなどだけでなく、メルキュールやイビスなどとも連携し保有ホテルを増やしている。
いずれにしても変動賃料の成長率と新規ホテル投資が成長ドライバーである。
財務面ではどちらも遜色がない。
NAV倍率も両社1.1倍程度、NOI利回りも7%程度、分配金利回りも4.4%程度とほぼ同水準だ。
LTVも40%以下、格付けも両社ともにA格近辺にあり、両者ともに良好な財務状態といえる。
今後、東京オリンピックに向けて海外訪問客は増え続ける予想で主要ホテルにはしばらく強い需要がありそう。
今後のリスクとしては、世界景気の後退によるビジネス出張の減少、地震や台風などの自然災害などが考えられるが・・・他のサブセクターに比べ、景気後退にも比較的強くディフェンシブなセクターだ。ホテルセクターを組み入れる価値がありそうだ。
にほんブログ村